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VOL28 超高張力鋼板のスポット抜きのテクニック

 今回は、随分以前に触りのみ紹介したドリルに関して、書かせていただきます。
まず、最近の自動車安全ボデーは、衝突時の搭乗者の保護のために、衝突時の室内キャビンの安全性の確保をしています。
 これは、プロである皆さんは、当然ご存じだと思いますが、ボルトで外れる外板パネル以外の、ピラーやロッカーパネル、フレームなど内部のリーンホースが異常に厚く、また鋼のようにしなやかで非常に硬くなっていますよね。
 ですから、通常に使っていたスポットドリルや、エアーソーではまるで歯が立ちません。スポットを数か所抜いたら、切れなくなり1つの部品を外すのに、何本ものドリルを使い、時間と体力を大変に消耗していたはずです。
 ここで、私や仲間たちと最近使っているドリルを紹介します。
私自身、このメーカーの講習会を主催したり、拝聴したりして、まさに目から鱗でした。

まずメーカーの紹介ですが、中央砥研材株式会社と言います。そして商品は、

1. 通常ハンドドリルスポット用 8.2ミリ径  C-17VR  (写真1)
2. 同上            6.5ミリ径  C-15VR  (写真2)
3. 同上 長尺 150ミリ   8.2ミリ径  C-17VRL (写真3)
4. 同上            10 ミリ径  C-20VR  (写真4)
5. エアースポット用      8.0ミリ径  RC-30N (写真5)
6. センターポンチドリル    2.0ミリ径  SC-2.0  (写真6)

   

以上になります。
 見た目は、通常に使っているものと変わりないですが、研磨力とスピードが格段に違います。またこのメーカーの特筆するところは、理論がしっかりしていて、ユーザーに対しての説明責任を、確実に果たしているところです。
 実技指導の前に、1時間程度の座学を行い、ドリルや部材に対しての理論や考え方、使用に対しての注意や方法などを、まさに目から鱗のように教えてくれます。
 さて使用方法ですが、この考え方が理論的です。
 まずこのドリルの刃を使うにあたって、使用する機械の選択から始まります。

1. 回転速度が1200rpm以上あること
2. ハンドドリルに関しては、強い研磨力が必要なためトルクが重要で、途中でのドロップがないようにするため、エアーツールは不向きであり、回転速度が間に合うのであれば、かなりの容量のコンプレッサーが必要
3.

上記の条件を完全に満たして、なお且つ使用時には、ドリル用の切削液(オイル)を、使用時に一回ずつ付けて使用する。理由としては、部材とドリル自体の研磨温度を抑えて、部材の熱変化を起こさせまいようにするためです。
ちなみにわが社では、メーカーの開発の方に推奨していただいた(写真7)の機械を購入しました。
作業手順はごく簡単で、今までの作業と基本的には変わりません。ハンドドリルを使える部分であれば、

1. センターポンチドリルで、少しだけスポット面を削り、ポンチの変わりをし、ハンマリングの歪みを解消したセンタリングをする(写真8)
2. 部材のスポット径に合わせた、サイズのドリルを使用し研削する

 上記のごく当たり前な、非常に簡単な作業なのですが、なぜ理論的なのかと言うと、まず回転の設定を早くして、早く削れるようにし、部材の熱を抑えるという簡単なことです。
 いままでの理屈では、厚く固いものに穴を開けるには、回転を遅くしすこしずつ切っていきましたが、そうすると当然切れた切子や、ドリルがやけどするほど熱くなっていました。
 ですが高回転を可能にするドリルの、特殊な刃先形状や、特殊な刃先のコーティングにより、まさに何倍もの切削スピードで穴が開き、なんと作業直後の刃先や部材、切子などに触っても、ぜんぜん熱くありません。
 一本ずつの単価は少し高いですが、本当に便利なものです。
 消耗品の金額にしては、多少高いですが、持ちよく使えるのでコストはかからないと思います。
 皆さんも早速導入してはいかがですか。