Motown21トップ技術革新 > 作業現場の智恵:整備作業編


 新しく「整備工場現場の知恵」を担当することになりました「検査員 ヒデ」です。関西の片田舎の整備工場で、専ら検査員を担当しています。因みに、年間1300台程度の車検をこなしています。
 このコーナーを担当するために、今一度検査の方法や記録簿の書き方など、自分なりに見直してみました。かなりいい加減にやっていたなーと、反省しきりです。そんな中からの実務体験をもとに、思いつくままに書いて見ます。
 ご意見やご感想など、なんでも結構です。お寄せください。できれば、愛読者の皆様と一緒に、よりよい検査の方法や整備のあり方を模索できたらと思っています。

 さて、最近の自動車整備業界も目まぐるしく変化をしていますね。例えば、平成18年度から指定整備工場の減点制度の導入により、車検を今まで通りのやり方で作業・検査していると「ミス」や「抜け」などにより、指定工場の停止や認証工場の停止、検査員の解任など会社として大きなマイナスになってしまいます。
 また、新車ディーラーなどの顧客囲い込みや、車両が良くなった為に車が壊れないなどで、自社の車検台数や整備入庫台数の減少などの影響が日増しに増えていると思います。当社も、それなりに創意工夫などをしていますが、その減少の1社に数えられるでしょう。
 検査員として、皆さん一生懸命勉強しましたよね。そして現在、まだまだ勉強していかなければ情報の不足や間違った事を繰り返してしまい、お客さまにご迷惑をかけたり、書類監査や定期監査で指摘をうけたりします。
 ですが、情報をしっかり受け止め、勉強を重ねる事により監査の時の指摘などを、回避する事が出来るのです。整備振興会や日整連からの情報などを参考にして、日々の努力と勉強が今後の自動車整備業には不可欠となってまいります。自社にとって一見不必要な情報だと思っても、とりあえず目を向けて、今後の自整業の発展に貢献したいものです。
 現在の車両法では基本的には「お客様責任」「使用者責任」となっていますが、一般的にお客さまは「車は壊れない物」「エンジンオイルを交換していたら全てが大丈夫」「車検をしたから全てが大丈夫」と思っていて、自己管理責任などという意識がほとんど持っていないのが現状かと思います。
 そこで、検査員は、お客さまに直接お話する事が多いと思いますので、お客さまのお車の情報や、整備の情報などを、お客さま以上に知り、またお客さまに情報をお伝えしなければなりません。「お客様のお車が現在どのような状態であるのか?」「今後のメンテナンスをどのようにしなければならないのか?」「乗り換えの時期をどの時点でしたら良いのか?」など情報を的確にお伝えして、新車購入時期や車検をして頂いてからの自社への入庫率を高める事が必修となってきます。
 お客さまに情報であるメンテナンスの仕方、お客さまのお車の状況などを、的確にお伝えし、自社の良い所や特徴を認識していただければ、新車購入、車検、12ヶ月点検、一般整備などの入庫率は高まります。結果として自社の売上げを伸ばすのは、検査員である私たちと思います。
 今回、この企画に対して経験と知恵、実績を踏まえて「整備工場現場の知恵」の証して色々紹介させていただきたいと思っております。「これで間違いない」とは思いません。また、間違っていると思われることなどもあるかと思いますが、皆様に一つの事例と思っていただき実行できるようであれば実行して頂ければ幸いです。

ついつい忘れるダンプベッセル比の記録簿の記載
 今回は検査のために入ってきた、ダンプトラックについて考えてみます。弊社での工夫をご紹介させて頂きたいと思います。
 ダンプトラックの種類は「普通のダンプ」と「土砂禁ダンプ」とに分かれますよね。また、「普通ダンプトラック」と「小型ダンプトラック」とにも分かれます。
 検査の基準により、検査証との同一性を確認点検しなければならないのはご存知と思いますが、「土砂禁ダンプ」以外のダンプには、指定記録簿に「ダンプベッセル比計算」を必ず記入するようになっています。が、結構これが「記載漏れ」になっている場合が多く、指定整備の立ち入り監査や書類監査などでよく引っかかるケースが多いみたいです。
 例えば、下記のように指定整備記録簿にベッセル比の計算式を記入しますよね。(下記記載例参照)

    

 これを指定整備記録簿のどこに記載するかといえば「走行テスト等の方法と結果」の欄に記入します。
 以前は、当社でも「手書きで」計算式を書いていましたが、忙しさにかまけて記入を忘れることがありました。後で記録簿を綴る時などに、記入漏れを発見して訂正することができればいいのですが、見逃したりすると大変です。それが原因で、指定整備工場の停止なんていやなものですよね。
 検査員も人間ですので忘れなどもあると思いますが、少しでも記載漏れをなくすために、当社の取っている方式をご紹介させていただきます。
 当社では、計算式の手書きを減らすように「計算式ハンコ」を作りました。このハンコを、バインダーに記録簿を挟み込む前に、車体の形状がダンプであれば自動的に捺しています。したがって、受入検査時の時点では、数字だけを記入すれば出来上がるようにしています。(左記−写真)
 このようにすれば、後は長さ、幅、高さ、積載量を記入して計算をするのみとなり、ベッセル比による判定ミスや記録簿の転記ミスなどを防ぐ事ができます。当社でも、この方法で記載漏れを「0」にすることができました。
 このハンコのもう一つの利点として、最大積載量の記入を受入時に、最大積載量スッテカーの確認にも使っています。荷台の長さ、幅、高さを測って記入をして、後方の確認時にスッテッカーを確認記入しています。これにより、最大積載量ステッカーの確認も同時に行うと言う訳です。
 最後に、これも忘れないで下さい。軽四のダンプです。書類監査の時に聞かれたのですが、「軽四のダンプはどうされていますか?」答えは「もちろん、「計算式ハンコを捺して計算してますよ」です。やはり、3号や4号様式でのダンプは、皆さん注意をして記入するのですが、6号様式では忘れがちみたいです。車体の形状がダンプであれば「計算式ハンコ」を捺す。その後、受入検査時で土砂禁ダンプの場合は記録簿に「土砂禁」とハンコの上に記入する。こういった方法を取る事によって記載もれを一つでもなくせるのであれば、良い方法ではないでしょうか。
 「計算式ハンコ」と同様なハンコも他にも用意しています。それは、「スピードメーター用ハンコ」です。これは、フルタイム4WD車や1995年以降のベンツ車に使っています。ベンツはFR車でスピードセンサーがフロントABSセンサーを利用してフロントタイヤの回転数を読み取り、スピードメーターに換算しています。
 この場合、マルチテスターであればスピードメーターの誤差を測定することは出来ますが、その他のテスターでは測定が不可能になっています。これも、当社ではハンコを作り出来ない車両は走行テストをして記入するのみで検査をしています。(下記写真参照)
これらの方法を取る事によって、監査時などの証拠や、「丁寧な検査をしている」と印象づけることも大切だと思います。
  完成検査時の記録簿の記載は、1度の確認より2度の確認、3度の確認をする事によって検査員の忘れや、記録簿の記載ミスなどが防げるものと思います。
  お話した通り、検査員の記載ミスや忘れなどにより、書類監査や定期監査時で指摘を受けるケースを少しでもなくす事が18年度からの監査に対しての予防策と思います。
 また監査で指摘を受けた場合、改善報告などの処置をしなければなりません。その後の改善がされているかの監査が必ずあると聞きます。
 今回からの「整備工場の知恵」として触れていく予定です。この方法が一番良い方法とは思いません。また、私の経験も検査員としては少ないです。皆様からのよりよい知恵がありましたら、自社でも実行をしたいと思っております。ご感想やご意見がございましたら遠慮なく言っていただけたら幸いです。


                                   検査員 ヒデ