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Vol.3 現場での基準値



 2月度の車検台数、修理入庫台数、販売台数、はどうでしたか?

 我々、整備業は2月、3月は車両販売が多い関係で、他の月よりも車検台数が多いと思います。社長はよく言われませんか。『車検の入庫台数は前年対比いくら上がっているの?』『前年対比から上がっているの?』と、私にも結構言われます。

 車検は、前年対比より、前々年の同月と対比して上がっているのか、下がっているのかを、見極めないといけませんよね。確かに、毎年前年対比プラスになっていれば「前年対比いくら上がっているの?」と言われるのは分かるのですが、車検は乗用車が2年に1回のペースでやってきますので、前年対比よりは、前々年対比でどの位差異があるかを見極めるほうが、良いと思いません?

 そして、前々年対比が上がっているのであれば、上がっている条件を探せば、今後の経営策などが分かるのではないでしょうか?また、下がっているのであれば下がっている理由や条件を考えなくてはなりません。下がっている理由は、@2回目の車検入庫率の低減、A車両の買い替えが多かった、B次月の車検入庫が多かった(先食い)、などはないでしょうか?

 因みに2月度、当社実績は前年対比101%、前々年対比96%でした。前年対比よりかは上がりましたが、残念ながら前々年対比よりかは下がってしまいました。これを、前記のように考えてみました。前々年の車検台数が多かったのは、前々年の3月の車検が多かった(先食い)みたいです。3月に前倒しの車検が多かった為に、今年の車検台数は少し減ったみたいですね。しかし、前々年度の再度の車検入庫率は少し上がったみたいです。現在、当社は3番目の理由で少し少なかったのではと現状見極めています。車検入庫台数を増やすのには、2回目の入庫促進率を上げるのが、もっとも早道の対策になるのではないでしょうか?


 さて、前号でも書きましたが、完成検査時などに、記録簿へ数値などを記入するのですが、時間がなかったり、覚え間違いなどで、数値の記入が間違っているパターンが少し見られるのではないでしょうか?また、現在は平成10年度以降、排気ガス基準や、ディーゼルの排気ガス基準、ホーンの音量計(騒音計)の基準など様々な基準が変わってきています。さらに今後も基準値が変わってくることになっています。

 記録簿の数値を間違って記入すると、監査では1箇所に付き30点の減点となり、指定整備10日程度の停止が来ると聞いています。停止などが来ると、お客様からの信用も落としますし、売り上げも極端に落ちてしまいます。しかも、改善命令など、大きく社内で変化をともわなければなりません。

 ここで、当社の採っている方法をご紹介させて頂きます。当社では、完成検査の内容が、 スピードメーター→ブレーキ→サイドスリップ→ヘッドライト→排気ガス→ホーン→外観周り→下回り→エンジン回り と大きく分けて決めています。その他、ダンプやトラック関係など若干変更がありますが、おおむね上記のように大きく分けています。

 やり方としては、メーター毎に基準値を書いておくことです。当社では、テプラーを使用して、各テスターに貼り付けています。

 まず、スピードメーターですが、これは、スピードメーターの表示部分に大きく基準値(右記写真参照)を書いています。これは、お客様に誤差などの説明をする時にも結構便利ですね。平成19年度以降の製作車に関しては、平成20年より車検時の基準値が変わってきますので要注意ですね。

 ブレーキ関係、サイドスリップに関しては、変わっていませんので基準値は貼っておりません。

 ヘッドライトに関しては、当社では、下目兼用テスターを使用していますので、上目の基準は変わっていませんから貼っておりませんが、下目の測り方と基準値(右記写真参照)を貼っています。

 次に、排気ガスですが、これも排気ガスメーターに型式と基準値を書いてテスター台に貼っております。ディーゼル黒鉛基準も同じようにしたかったのですが、これは基準値や型式などが多いために、ディーゼル黒鉛の基準値を書いたシートをディーゼル黒鉛テスターの横に置いています。テスターを使用するのも検査員がすると思いますので、型式と基準値を毎回見直せるようにディーゼル黒鉛テスターの横に置いています。

 ホーン(音量計・騒音計)テスターですが、これは平成16年度の製作車と、それ以前の製作車で測り方が違ってきますので要注意が必要です。まず基準値からご説明いたしますと、

 【平成16年度以前の車両に関しては前方2メートルの位置、高さ1メートルの位置で音量計の補正回路はC特性、2回測定した平均値が基準で90〜115db。】

 【平成16年度以降の車両は車両中心線上の自動車前端から7メートルの位置、高さ0.5〜1.5メートルの最大となる音の位置、音量計の補正回路A特性、2回測定した平均値が基準で93〜112db】

 となっています。自社のピットで測定するのですが、2メートルの位置と7メートルの位置に白い線を引いております。

 騒音計にも基準値と測り方をテプラーにて製作、貼り付けております。

 当社では、完成検査場が音量計と車両の間に7メートルの距離が取れるのでこの形にしていますが、7メートル取れない工場場合は、工場の敷地内で7メートルの位置が取れるようにしておきます。

 「当社ではホーンの点検はすべて聴感でしているので、問題ない」とは思わないでください。実際、【平成16年度以降の車両のホーン聴感は7メートルの位置にて聴感をしなさい。】となっていますので、聴感の場合でも自社敷地内で7メートルの位置を把握するようにしてください。監査時に、「この車両のホーンを確かめるのにどのようにして検査していますか?」と尋ねられたら、「この位置からここまでが7メートルとなっています。ここで聴感して問題がありませんでした。」と答えれば問題がありません。

 外観周り、下回り、エンジン・ミッションに関しては目視や程度の状況など様々な事がありますのでこれは省略させて頂きます。
このように、基準値を貼ったり、書いている事によって、社員の教育にもなりますし、検査員の見落としや、社員の見落としを少しでも防げるようになります。皆さんの会社ではどうでしょうか?「検査員が頭の中に覚えているので問題はありません。」「記録簿を再度チェックして、基準値を確認しています。」「社員に徹底的に教育をしている」などのお言葉を頂くのではないでしょうか?

 自分もそうしていました。また間違った基準値も覚えておりません。しかし、現在の社員に検査員資格を、今後取りに行かすのであれば、このような方法で基準値を覚えられないでしょうか?新しい基準が出来た時には、基準値をテスターに貼り付ける。これ一つで教育、覚え間違い、覚え忘れが一つでも減るように、心がけたいものと思っております。


<編集後記>
 先日、検査員講習に行ってまいりました。振興会の常務いわく、「テスターに基準値を貼ってみてください」といわれました。「監査で覚え違いなどで指摘を受けるケースが後を絶たない。昔からの検査員の基準値が抜けていない」といわれ、ごもっともと思いました。皆さんの会社でも一度試されてはいかがでしょうか?


検査員 ヒデ