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Vol.4 不正改造への対処


皆さん。こんにちは。整備工場現場の知恵の「検査員 ヒデ」です。今回で、整備工場現場の知恵Vol4となりました。皆様からのご好評頂きましてありがとうございます。
さて、皆様の工場は、3月度は忙しかったですか?3月度は、車検の台数が大幅に増えているのではないでしょうか。某ディーラーの営業マンなどに聞くと「今年の3月は異常に車が売れていない。」と聞きます。しかし、サービスの方は今まで以上に忙しかったとか。
お客様の車両の入れ替え時期がだんだん長くなってきて、今までは5年で新車の購入をされていた方が、7年で乗り換え、さらに9年で乗り換えと長くなってきています。その分車検や整備が増えてきているのではないでしょうか。
しかし、工場での売り上げなどは何故か減っていませんでしょうか?当社も前年度の売り上げや前々年度の売り上げの比較をしてみると、減っていたり、少し増えていたりして、今までのような右肩上がりには中々いきませんね。前年度の売り上げを維持する為にも少しでも多くの入庫を期待したいものです。

さてそんな入庫の増加を期待する中で、今までのお客様や新規のお客様で不正改造車や車検不適合車などが入庫してきた時にはどうされていますか?「もちろん、不正改造車の車両は全て断っている。」「車検時の時と同じように戻してもらっている。」などのお言葉をもらいます。当然、車検時には不正改造への適合のサインや適合標章の発行などは出来ませんよね。
しかし、一般メンテナンスや修理の時はどうでしょうか?当社では、先月の末頃に当社に定期監査がありました。この時に監査官が言っておられた事を言います。「不正改造車や不適合車の車両の修理の入庫はどうされていますか?どのように対処をされていますか?」と尋ねられました。殆どの皆さんは「断っている。」「適合するように戻してもらっている。」「適合するように戻してから整備をしている。」と言う答えが殆どらしいです。
私は、「お客様に不適合部分を伝え、書面上にチェックして、お客様にサインを頂いております。」と答えました。この答えは○検といわれました。「そうですか。書面上の書類を見せて頂けませんか?」○H「この書類です。」○検「問題ないですね。これからもお願いします。」とのことでした。
監査官いわく、「現在、不正改造車の車両が増えているのが現状です。今年度から、監査等が厳しくなった為に、ディーラーや整備工場で不正改造の為入庫を断わられて修理が出来ない状態で走行していて、車両が危険な状態になり、事故や高速道路での故障が多くなってきています。だから、不正改造車が入庫してきても出来るだけ断らずに保安基準に適合するための整備・修理をしてあげてください。」といわれました。

 ここで当社の取っている方法をご紹介いたします。当社では、お客様の車両が入庫し、受付をする時点で不正改造があった場合は、書類(保安基準不適合のための復元のお願い)に「お客さま名」「登録番号」「確認者(受付者)」を記入して、不適合箇所を記入するようにしています。
 同時に、お客様にご説明をして簡単な整備で不正改造箇所が治せるようだったら、修理をいたします。しかし、不正改造部分が多い場合や、その場では出来ないような改造の場合などは、出来るだけ詳しく書類に書き、その内容をお客様に詳しく説明をいたします。
 この時に、整備振興会などの資料などを使い説明をします。受付時点ではお客様に「不正改造の復元のお願いの主旨に同意して復元をいたします。」の部分に?と署名をいただきます。また、受付時点で発見できない不適合箇所があった場合は、不適合箇所が発見できた時点で書類に記入してお客さまの車両を納車時や引取り時に詳しくご説明をしてから、署名をいただきます。その後、一部コピーしてお客様に控えとしてお渡しいたします。
 当社では、「保安基準不適合のための復元のお願い」にサインをいただいて、不正改造箇所と車両の全体写真をデジカメで撮影をしてから、自社の控えの裏面にプリントアウトするようにしています。
その後、修理をするのですが、これだけでは安心が出来ません。修理の内容を把握する必要があります。お客様に御署名後、修理内容についてお話させていただきます。修理・整備の内容で不正改造箇所に関連する項目については、整備をする事は出来ません。もちろん、不正改造部分を適正にもどす事は問題ありません。

例えば・・・
 自動車に不適合のマフラーを取り付けていた車両が入庫したとします。車両の受付をした時点では、中々判断がし難いと思いますが、外観上やエンジンをかけた時点の聴感で判断します。その後、お客様に整備内容についてお話をさせていただき、整備の内容で例えば、ブレーキパッドの交換を依頼された場合は、整備を受け付けます。
 しかし、エンジン不調の修理や、マフラーやタービンの修理に関しての整備の場合は、マフラー交換が必要になる旨をお伝えします。この関係はエンジンの修理の場合は、エンジン関連の部品が不適合となりますので整備を行うことが出来ません。しかし、エンジン関係でない場合には整備を受け付ける事が出来ます。
 ブレーキパッドの交換依頼を受け付け、整備士に指示書と分解整備記録簿を製作し、整備の指示をします。この時に前記の通りお客様より頂いた「保安基準不適合のための復元のお願い」を一緒に整備士に渡します。

 注意事項として、
@ 車両を預かっている場合は、「保安基準不適合のための復元のお願い」を常に車両に積み込んでおく。
A 不正改造と関連のある整備に関しては整備が出来ない事を説明する。
B 出来るだけ詳しく書き、分り易くお客様に説明をする。
C 「保安基準不適合のための復元のお願い」を一部コピーして、ファイルに閉じ保管をしておく。
D 写真は、「全体像」「不適合箇所」を数枚撮っておく。
E 整備士に不適合箇所を伝え、その旨の内容を良く説明をしておく。

以上、が注意事項として挙げられると思います。
不正改造の車両が入庫しても、不正改造の旨をお客様にしっかりと伝え、適合するように直してあげるのが一番ではないでしょうか。これも整備工場の務めのひとつと思います。
色々な不正改造はあるでしょうが、「この状態は不正改造に当たりますので、こういう感じに修正や改造されてはいかがですか?」「この改造は構造変更をすれば、問題ありませんので、構造変更検査をされてはどうですか?」と尋ねるのも一つの案ではないでしょうか?
この様にする事によって、一般整備の入庫率を高めるとともに、お客様への信頼感や自分の車両は不正改造である認識を持ってもらいます。さらに、次回の車検整備をする場合、お客様にはすでに認識をして頂いておりますので、不正改造部分を適合するように整備が出来ます。また、構造変更検査のお勧めなどが出来ますので、整備の売り上げの向上やお客様からの信頼やトラブルを回避する事が出来るでしょう。
検査員 ヒデ



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