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第7回 トヨタ「RAV4」
新型RAV4は、新開発のプラットフォームを採用し、エンジン、トランスミッション、サスペンション、ブレーキなどを一新し、キビキビと軽快に「走る・曲がる・止まる」ことのできる基本性能を追求するとともに、クラス世界トップレベルの安全・環境性能を実現しています。


 ●トヨタRAV4の新型4WDシステム

このほどフルモデルチェンジされたトヨタ自動車鰍フ中型SUV「RAV4」には、路面状況によって前後輪に最適なトルク配分を行なうアクティブトルクコントロール4WDが採用されました。また電動パワーステアリング(ESP)とVSC(ビークルスタビリティコントロール。ブレーキ制御と駆動力制御)を協調制御するS-VSC(ステアリングアシスティング・ビークルスタビリティコントロール)に加えて、前後輪のトルク配分を行なう4WDの電子制御カップリングを協調制御しています。このシステムは、世界初のシステムです。


 ●アクティブトルクコントロール4WD

 図1のようにリアデファレンシャル前部に配置された電子制御カップリングの伝達トルクを制御することで前後輪のトルク配分を前輪駆動状態から直結4WDの間で連続的に可変して、さまざまな走行条件で最適な駆動力配分を行ないます。このシステムは、一般的なフルタイム4WDのようなセンターデファレンシャルが不要になるため、システムの簡素化による小型・軽量化が図れ、安定性と低燃費化を実現しています。
 各種センサの情報を基に4WDコンピュータが、路面状況や走行状態に応じた、きめ細かな前後輪トルク配分を行ないます。


図2にアクティブトルクコントロール4WDのシステム図を示します。簡単に、その制御を説明すると、次のようになります。

 [通常走行時制御]スロットル開度、エンジン回転数、シフトポジションなどの信号からエンジン駆動トルクを算出して最大限の加速性能を確保するように後輪への伝達トルクを最適に制御します。またスロットル開度信号や車輪速信号から運転者の操作状況および車両が安定していると判定された場合には、後輪への伝達トルクを下げて前輪駆動に近い状況にします。

 [発進時制御]エンジントルクから推定される全駆動トルクを最適に前後輪に分配することで、直結4WDと同等の発進性能を確保しています。なお4WD特有のタイトコーナーブレーキング現象を回避するために、低速旋回時には後輪へのトルク伝達を最適化しています。


 ●電子制御カップリングの構造と作動

  このアクティブトルクコントロール4WDの心臓部である電子制御カップリングの構造を図3に示します。メインクラッチ、コントロールクラッチ、フロントハウジング、シャフト、アーマチュア、カム、ピストンおよび電磁ソレノイドで構成されており、二つのクラッチは、それぞれアウター側がフロントハウジングに、インナー側がシャフトに継合されています。
 その作動の状況を図4に示します。前後輪に回転差が生じている状態で電磁ソレノイドに流れる電流をコントロールすることで、後輪への駆動力伝達量を無段階にコントロールします。電流量が小さい場合は、メインクラッチが伝達する駆動力は小さくなり、プロペラシャフトからの駆動力は制限されて後輪に伝達されます。一方、電流量が大きい場合は、メインクラッチが伝達する駆動力は増大して直結4WDに近い状態で動力が伝達されます。

    


 ●S-VSC+アクティブトルクコントロール4WD

 4WD車では、またぎ路での制動・駆動、後輪が横滑りしやすいときや前輪が横滑りしやすいときに電動パワーステアリングシステムとVSCとの協調制御を行ない、加えて前後輪トルク配分を含めた協調制御を行なっています。この機能は、クルマがスリップして不安定な状態になると、4輪のブレーキ油圧を制御し、電動パワーステアリングはドライバーの操舵トルクアシストを行ないます。特に旋回加速時において、駆動輪のスリップ状態や旋回状態に応じて、エンジン出力の調整と駆動輪および必要に応じて旋回外輪へ自動ブレーキを掛け、かつ前後輪の駆動トルク配分を行なう電子制御カップリングを制御してクルマの安定状態を保ちながら、運転者の意図する加速に近づけるように4輪に駆動力を配分します。これによって、従来の機構に比べて、より滑らかな加速性や高い安定性を確保しています。