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第16回 ホンダストリーム 新型2Lエンジン
 本田技研工業鰍ヘ、5ナンバーサイズで取り回しのよい、低床プラットフォームによりスタイリッシュで、ほとんどの立体駐車場に入庫できる低全高(1545o)の新型ストリームを発売しました。
 新型ストリームは2代目にあたり、ハンドリングやアクセルワーク、乗り降り、シートアレンジの動作など、人がクルマと接するときの動きに対して心地よい一体感を感じられ、毎日の生活で積極的に使いたくなる7人乗り乗用車として開発されています(写真1)。
写真1 低全高フォルムや快適な室内空間、」力強い走行性能を実現した2代目ホンダストリーム。

 具体的には、ボディ骨格の高剛性化によって走行性能を向上させるとともに居住性を大幅に向上しています。特に新開発された2Li-VTECエンジンとCVTの組合せ(FF車)で、低中速域から力強くスムーズな走行性能を実現しています(写真2。なお4WD車の2Lエンジン搭載車は5速ATとの組合せ)。


写真2.新開発された2Li-VTECエンジンはCVTと組み合わされて搭載されている(FF車)。


 ●新型2Li-VTECエンジンの概要

  ホンダ独自のVTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)を進化させ、低負荷走行時にインテークバルブが閉じるタイミングを遅くする可変吸気量制御のi-VTECエンジンで、バルブタイミング制御と同時にDBW(ドライブバイワイヤ)によってスロットルバルブを最適に制御することで吸気に伴うポンピングロスを大幅に低減しています。またエネルギー効率を高め、クルーズ走行時の燃費性能を大きく向上させています。そのうえで、吸気効率や圧縮比の向上などによって低速域からの力強いトルクを発生させ、徹底したフリクション低減や高精度の空燃比制御などで優れた低燃費を実現しています。
 特に新型2Lエンジンでは、i-VTECに加えて全域でトルクフルな特性が得られる3ステージ可変管長インテークマニホールドを採用して「平成22年度燃費基準+10%レベル」を達成する低燃費を実現しています(10・15モード燃費14.8q/L。FF車)。同時に「平成17年排出ガス基準75%低減レベル」の認定を取得しています。
 なおFF車に組み合わされるCVTは、力強い食いつき感のある発進特性と変速ショックのない滑らかな加速特性で、全域でハイレスポンスな走りを実現するトルクコンバータ付きです。


 ●2Lエンジンの詳細

  @i-VTEC
 これについては、技術トレンド第4回に詳しく説明してありますので参照してください。ここでは簡単に説明しておきます。
 エンジン低負荷時(クルーズ状態で走行、一定条件内で)にインテークバルブの片側の閉じるタイミングを遅らせる機構がi-VTECです。この機構によって、低負荷時にも通常より大きくスロットルバルブを開けることができるようになり、空気の吸入抵抗(ポンピングロス)を減らし、燃費の向上と排出ガスの低減を実現させています(図1)。

 Aバランサ機構
 このエンジンには、4気筒エンジンの二次振動を効果的に低減させる2本のバランサシャフトがシリンダロアブロックの下に配置されています(図2、写真3)。これはクランクシャフトがバランサチェーンによってリアバランサシャフトを駆動させ、リアバランサシャフトがヘリカルギアによってフロントバランサシャフトを反転駆動させています。またバランサケースを上下分割にし、半割のベアリングを採用することでバランスウェイトとジャーナルの外径を最適化しています。

 B3ステージ樹脂製管長切換えインテークマニホールド
 インテークマニホールドに吸気管長の異なる2系統の吸入通路を設け、コンピュータからの信号でアクチュエータを作動させて通路の切換えを行って低速・高速とも十分な動力性能が得られるようにしています(図3、写真4)。約3200rpmまでと約4700rpm以上のエンジン回転数では、コンピュータの信号によってアクチュエータが作動してバイパスバルブが開き、プライマリ側に加えて吸気管長が短く、径の太いセカンダリ側からも空気が吸入されます。また3200rpmから4700rpmのエンジン回転数のときは、アクチュエータがバイパスバルブを閉じて吸入空気が吸気管長が長く、径の細いプライマリ側からのみ吸入されます。
 なおバイパスバルブには、モニタが付いていて、コンピュータが信号と作動が一致しているかどうかを監視しています。

 Cピストンオイルジェット
 シリンダブロックからオイルを噴射して効果的にピストンを冷却するピストンオイルジェット(写真5)を採用したことによって、耐ノッキング性能を向上し、高圧縮比化(10.5)に貢献しています。
 これらの技術によって、全域で高トルクを発生し、特に市街地での発進・加速で多用される低速トルクを向上しています。

図1.i-VTECのイメージ図。低負荷時にインテークバルブの片側を閉じるタイミングを遅らせる。


図2.新しく設けられた二次振動低減用バランサシャフトは2本シリンダロアブロック下に配置される。


写真3.2Lエンジンのカットモデル。シリンダブロック下のバランサシャフトが見える。


図3.樹脂製管長切換えインテークマニホールド。1.8Lエンジンは2ステージだったが、2Lエンジンでは3ステージで切り換えられる。


写真4.2Lエンジンのカットモデル。樹脂製インテークマニホールド側。


写真5.効果的にピストンを冷却するピストンオイルジェットを採用している。