高出力な3.5ℓV6の2GR-FSEエンジン(アスリート用2GR-FEをベースにハイブリッド用にチューニング)とMG2を組み合わせたFR駆動方式ハイブリッドシステムです。ハイブリッドトランスミッションは、主にMG1、MG2およびエンジン動力をタイヤを駆動する動力とMG2を駆動するための電力を発電するMG1に分配する動力分割機構で構成されています。また新開発の高回転・高出力MG2と2段変速式リダクション機構を組み合わせることで高出力化とコンパクト化の両立、発進から最高速までショックを感じさせないスムーズな加速を実現しています(図2,図3)。
システムの主要な構成部品の機能を簡単に説明しておきます。
①2GR-FSEエンジン:ハイブリッド用チューニングを施されたエンジンですが、始動・停止を頻繁に繰り返すハイブリッドの特性に合わせて吸気バルブの開閉タイミングを調整するとともに吸気、圧縮の抵抗を低減してエンジンをスムーズに回転させます(図4)。
②モーター:エンジンとは異なり、回り始めた瞬間から最大トルクを発生して力強く滑らかな走り出しを可能にします。パワーコントロールユニットの可変電圧システムによる高電圧(650V)駆動によってモーターの高回転化、高出力化を実現しています。
③2段変速式リダクション機構:モーターの回転を車軸に伝える前に減速して大きなトルクを発生します。低速域をカバーするローギアと高速域をカバーするハイギアの二つの減速比を備えることで、低速域の力強い加速とともに中高速域の伸びやかな加速を実現しています。幅広い車速域でモーターのパワーを効率よく活用できるので、発進・加速性能はもちろん燃費の向上にも貢献します。
④ジェネレータ:モーターと同じ永久磁石交流同期型を採用して、動力分割機構によって振り分けられるエンジンの動力の一部を使って発電し、モーターやバッテリに電力を供給します。
⑤動力分割機構:エンジンからの動力を車軸(出力軸)とジェネレータの発電とに効率よく振り分ける役割を果たします。エンジン、モーター、ジェネレータの3回転運動を遊星歯車(プラネタリギア)で一つにまとめ、この働きによって、それぞれの回転が自在に変化します。クラッチも変速機も使わず、ギア比を無段階に変化させるとともに、アイドルストップ、モーター発進、走行中のエンジン始動やモーター駆動そして効率のよいエネルギー回生などを制御します。
⑥パワーコントロールユニット:モーター&ジェネレータ駆動用の電圧を上げる可変電圧システムの昇圧コンバータとバッテリの直流をモーター&ジェネレータ駆動のための交流に変換するインバータを組み合わせたものです。昇圧コンバータは、バッテリからの直流電圧(288V)を最大650Vまで昇圧します。小型化を図ったユニットは、従来の補機用12Vバッテリ格納スペースに搭載しています。
なお性能は、次のとおりです。
システムとしての最高出力は254kW(345PS)で、エンジンのみの最高出力は218kW(296PS)/6400rpm、最大トルクは368Nm(37.5㎏m)/4800rpm、モーターの最高出力は147kW(200PS)/5615~13000rpm、最大トルクは275Nm(28.0㎏m)/0~3840rpmです。 |