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 第46回 ホンダの新ハイブリッドIMAシステム
本田技研工業㈱は、軽量・小型なハイブリッドシステムをコンパクトな5ナンバーサイズのボディに搭載して、優れた燃費性能と気持ちのよい走りを実現した5ドアハッチバックのインサイトを発売しました(写真1)。
写真1.5ナンバーサイズを維持し、200万円を切る価格など画期的な戦略で登場した新型インサイト。

 ●新ハイブリッドシステムの概要

主動力のエンジンに補助動力のモーターを組み合わせたホンダ独創のハイブリッドシステムのIMA(インチグレーテッドモーターアシスト。パラレル方式)で(写真2)、低燃費と排出ガスのクリーン化を実現しています(10・15モード燃費30.0㎞/L)。
 1.3Li-VTECエンジンは、必要に応じて全気筒を休止する可変シリンダシステム(VCM)を採用して、低燃費と力強いトルク特性を両立しています。このエンジンとIMAによって1.5Lクラス並みの安定したレスポンスと加速性能を発揮します。

 ●ハイブリッドシステムの構成部品の特徴

 ①薄型DC(直流)ブラシレスモーター(図1):軽量かつ高効率の三相交流同期型で、クランクシャフトを回転させるモーターとしての機能と回生ブレーキ時の運動エネルギーやエンジン出力を電気エネルギーに変換するジェネレータとしての機能とエンジンを始動するスタータとしての機能を併せ持っています。積層したケイ素鋼板のスロットに磁石を挿入する構造で、生産効率のよいIPMローターを採用し、ステータの平角断面巻き線の巻き数を増やし、必要出力を確保するためにコイルの高密度化を図っています。また電磁部幅を薄型化して、従来比で約22%の薄型化と約15%の軽量化を達成しています。


 ②高効率とコンパクト化したPCU(パワーコントロールユニット。図2、3):モーターECU、DC-DCコンバータ、インバータおよび相電流センサから構成されています。モーターの駆動および電力エネルギーの回生を走行状況とバッテリ残容量に応じて最適に制御します。





 ③効率化、小型・軽量化した高出力Ni-MH(ニッケル水素)バッテリ(図4):100Vで、1モジュール(14.4V)は12セルで構成されています。モジュール当たりの出力と耐久性を約30%向上させてモジュール本数を従来の11本から7本に削減しました。これによってモーターに必要な出力と容量を確保しながら約31%の小型化と約35%の軽量化を実現しています。





④優れたパッケージングを実現したIPU(インテリジェントパワーユニット。写真3、図5):PCUとバッテリおよびジャンクションボードで構成されるIPUは、従来比約19%の小型化と約28%の軽量化で、荷室下への配置ができるようになったためパッケージング効率に大きく寄与しています。










⑤トルクフルで低燃費な走りを引き出すCVT(無段変速機。写真4):発進時のストール回転数を下げ、より低い回転でクラッチをつなぐ制御を導入して、発進時の加速性能と燃費を向上させたコンパクト、高効率、高トルク容量のCVT(ホンダマチックS)を採用してハイブリッドシステムの性能を発揮させています。

 

 

 


⑥あらゆる走行状況で軽快な走りと低燃費を実現するハイブリッドシステム(図6):精密なエンジンマネージメントで、停車時/加速時/クルーズ時それぞれにおいて、エンジンのバルブ制御とモーターアシストの組合せを最適に制御しています。その結果、あらゆる走行状況で低燃費と軽快な走りを実現します。また低速時にはモーターだけで走行し、停車時にはアイドルストップすることで燃費性能を高めています。








 

 

 

 

 

 

 
















 ●エンジンの改良点

 気筒当たり2個の点火プラグで点火時期までを可変制御して燃費性能の向上を目指し、可変バルブ制御技術を応用して減速時に全気筒のバルブ作動を休止させて電力エネルギーへの回生効率を大幅に向上させています(図7)。また大流量EGR、高着火性両針点火プラグ、ピストンパターンコーティング、ピストンリング低張力化など、細部にまで改良が施されています(写真5)。



 

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