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 第48回 トヨタ「クラウンマジェスタ」の世界初の安全技術

トヨタ自動車㈱は、同社のフラッグシップ「クラウンマジェスタ」に世界初という3種の安全技術を投入しました。
5代目となるマジェスタは、国内での使用環境を踏まえた全長5m未満のボディサイズに、「高い質感の室内空間」と「充実の基本性能」を有し、乗る人すべてへの「快適性」を追求して『TOYOTAブランドの最高級セダン』に相応しいクルマとして開発したとしています(写真1)。

 3種類の安全技術は、①出会い頭での側面衝突事故を予測してエアバッグを早く展開する「前側方プリクラッシュセーフティシステム」、②前面衝突または後面衝突の直前に後席の背もたれを起こす「プリクラッシュシートバック」、③側面衝突時に乗員間でぶつかる二次被害を抑える「後席センターエアバッグ」です。

 ●前側方プリクラッシュセーフティシステム

 マジェスタには、従来からトヨタが実用化している前方+後方対応のプリクラッシュセーフティシステム(詳細省略)が採用されていることはもちろんですが、これに新開発の前側方プリクラッシュセーフティシステムが追加されました。
 これはフロントバンパー左右に設けられたレーダー(ミリメーターウェーブレーダーセンサ。ミリ波帯の電波を送受信して障害物の認識を行う)で自車の斜め前方から接近する車両との衝突を予知し、衝突の可能性がある場合は表示とブザーで警報します。衝突の可能性が高い状態になった場合は、AVS(Adaptive Variable Suspension system。衝突の可能性が高いと判断されるとショックアブソーバの減衰力を最適化して車両の応答性を高める)制御およびブレーキアシスト制御(衝突の可能性が高いと判断されるとブレーキ油圧を加圧助勢してブレーキペダルを踏んだ際のブレーキ効果を高める)を行います。さらに衝突の可能性が非常に高いと判断した場合は、シートベルトの巻き取りを行うことによって衝突した際のプリテンショナの効果を高めます(図1)。
 前側方プリクラッシュセーフティシステムは、ドライビングサポートコンピュータが自車への側面衝突の可能性が非常に高いと判断したときは、エアバッグセンサアセンブリの判定閾(しきい)値を判断して側面衝突用エアバッグの応答性を向上させます(図2)。
 ドライビングサポートコンピュータは、通常のプリクラッシュセーフティシステム用ミリ波レーダー(フロント)および左右ミリ波レーダーからの情報をもとに前方対応制御と前側方対応制御の間で調停処理を行います。
 前側方プリクラッシュセーフティシステムの構成部品を図3に示しておきます。システムは、①左右レーダー、②ヨーレートセンサ、③ステアリングセンサ、④スピードセンサ、⑤ストップランプスイッチで構成されます。
 側面衝突エアバッグ閾値制御の作動条件は、車速が約15㎞/h以上、相手車速が約25㎞/h以上、自車への側面衝突の可能性が非常に高いと判断されたとき、となっています。プリクラッシュシートベルトの作動条件は、車速が約15㎞/h以上、相手車速が約15㎞/h以上、フロント席の乗員がシートベルトを装着しているとき、となっています。

またプリクラッシュブレーキアシストの作動条件は、車速が約30㎞/h以上、相手車速が約15㎞/h以上、ブレーキペダルが踏まれているとき、となっており、衝突警報制御が作動する条件は、車速が約15㎞/h以上、相手車速が約15㎞/h以上であることです。

 ●プリクラッシュシートバック

 これはミリ波レーダー(フロント&リア)で自車前方および後方の車両や障害物との衝突を予知し、衝突の可能性が高いと判断された場合、リアシートバックをリクライニング位置からニュートラル位置まで前傾させて後席乗員の着座姿勢を整えます。これによってシートベルト拘束性能を最大限に活かして後席乗員保護性能に寄与するものです(図4)。
 図5にプリクラッシュシートバックシステムの構成部品を示しておきます。システムは、①左右のミリ波レーダー、②スピードセンサ、③ドライビングサポートコンピュータ、④プリクラッシュシートバックコンピュータ、⑤リアシートリクライニングアジャスタアセンブリ、⑥スキッドコントロールコンピュータ、⑦コンビネーションメーターアセンブリで構成されています。
 プリクラッシュシートバックの作動条件(前方対応時)は、車速が約15㎞/h以上、衝突する対象物との相対速度が約30㎞/h以上、衝突する可能性が非常に高いと判断されたとき、リアシートをニュートラル位置より後傾させているとき、リアシートリクライニング作動がマニュアル操作されていないとき、となっています。
また後方対応時の作動条件は、自車が前進中、停車中または車速が約5㎞/h以下で後進中、追突される車両との相対速度が約15㎞/h以上、追突される可能性が非常に高いと判断されたとき、リアシートをニュートラル位置より後傾させているとき、リアシートリクライニング作動がマニュアル操作されていないとき、となっています。












 ●SRS後席センターエアバッグ

 マジェスタは後席中央に固定式の大型センターコンソールが設定されていますが、このセンターコンソールの最上部にエアバッグを搭載しています。車両側方からの衝突によって強い衝撃を受けた場合に展開し、反対側に座る乗員やコンソールへの二次衝突の衝撃を軽減し、後席乗員の頭部や肩まわりの安全性確保に貢献します(図6、写真2)。