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 第55回 ニッサンフーガの新型サスペンション

日産自動車㈱は“伝統的な高級車の枠を超えた抜群の走行性能と快適性、質感の高いインテリア”が高い評価を受けてきた「フーガ」をフルモデルチェンジして発売しました。新型フーガは二代目にあたり、初代の持つ特徴を継承しながら、セダンの本質的な魅力である「走・美・快」の最高峰を作り出して、日産のフラッグシップとなる高級セダンとしています。



 このフーガには、より滑らかで安定感のあるコーナリングを実現する「コーナリングスタビリティアシスト機能」など、意のままに操れる爽快な走りを実現する先進技術とSKY(Start ITS from kanagawaの略で、2006年から神奈川県で実施している情報通信による交通環境データ活用で交通事故低減と渋滞緩和を推進することを目的としたITS実証実験)プロジェクトの成果を実用化した見通しの悪い交差点における「安全運転支援機能」をはじめとした多彩な安全技術を搭載しています。  
 ここでは、オーソドックスな走りに貢献する新型サスペンションを紹介します。

 

 ●新型リアサスペンション

 まるでレールの上を走っているような操縦安定性を生み出す専用設計の4輪独立懸架サスペンションは、フロントにダブルウィッシュボーン式を採用していますが、今回リアサスペンションに新型マルチリンク式を採用して、心地よい乗り心地と俊敏なフットワークを両立させています。
 このリアサスペンションは、日産独自のリンク配置最適化で、サスペンションの高い横剛性によるハンドリング向上と低剛性メンバーインシュレータでロードノイズ低減を高次元で両立させています(写真1)。またサスペンションメンバーの高剛性化でロードノイズ低減効果を高め、各リンクの入力分担を最適化することで、ハンドリングとスタビリティを両立させています。
 3.7LのV6エンジンを搭載した370GTのTypeSには、スポーツチューンドサスペンションを装着していますが、これには日産独自のRAS(Rear Active Steering。後輪ステア機構)システムの出力効率を向上したリンク配置で軽量化を実現しています(写真2)。
 リンク配置最適化としては、図1のようにリンクの弾性中心とサスペンションメンバーの弾性中心のオフセットを小さくすることで、高いサスペンション横剛性を確保しながらメンバーインシュレータを低剛性化することで高い音振性能を実現しています。また図2のようにサスペンション横剛性をコントロールするリンクとコーナリング時のトー変化特性をコントロールするリンクを分けることで、ハンドリングとスタビリティを両立させています。

 
 
 
 

 ●ダブルピストンショックアブソーバー

 スポーツチューンドサスペンションとコンフォートサスペンションには、新開発のダブルピストンショックアブソーバーを採用しています(図3)。
 これは従来両立が難しかった走行時の「車両のフワフワとした大きな動きの抑制」と「路面から伝わる不快なビリビリとした振動の遮断」を高次元で両立させたものです。これらの動きと振動の周波数の違いに着目して、周波数に応じて減衰力を切り換えます。これにより不快な振動を約20%改善できたと報告されています。
 新型ショックアブソーバーの構造は、図4のようにダブルピストンを採用して、周波数感応ユニットでピストン内部のオイル流路を開閉して、入力に応じて減衰力の高低を切り換えて、フワフワ感とゴツゴツ感を抑制しています。
 図5は、ショックアブソーバー単品別のフワフワ・ゴツゴツ感両立性評価指標の比較です。このショックアブソーバーは基本的な減衰力を変化させることによって、スポーティにもコンフォートにも対応できるというものです。