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 第56回 ホンダ CR-Zの3モードドライブシステム
本田技研工業㈱は、クルマの可能性を広げ、新時代の楽しさを創造する新たなチャレンジとして、ハイブリッドカーならでは“ワクワク”を伝えるスポーティクーペ「CR-Z」を発表しました(写真1) 車名のCR-Zには、Compact Renaissance Zero(コンパクトルネッサンス ゼロ)の略で、従来のクーペの価値にとらわれず、新しいコンパクトカーを創造するという志のもと、原点(ゼロ)に立ち返ってチャレンジする意が込められています。Emotional(見て触れてときめく所有する歓び)、Exciting(積極的に走りたくなる運転する歓び)、Smart(エコで使えて自己を解放できる自由を楽しむ歓び)を目指して開発されました。



 ●ハイブリッドシステムのおさらい

  ホンダ独自の「主動力のエンジン」と「補助動力のモーター」を組み合わせたハイブリッドシステムは、低燃費と排出ガスのクリーン化を高水準で実現しています(写真2)。低速域から強力にアシストするIMA(インテグレーテッドモーターアシスト)と新しく採用した1気筒あたり4バルブの1.5Li-VTEC(低回転時に吸気バルブの1個を休止する)エンジンを組み合わせることで、1000~1500rpmで最大トルクを発生しながら高回転域までストレスなく吹き上がります(写真3)。軽量ボディと合わせて2Lガソリンエンジン車クラスの力強い加速感をもたらします。ゆとりの動力性能を確保しながら25.0㎞/L(JCO8モード走行燃費:22.8㎞/L)の低燃費(いずれもCVT車)を実現して、環境対応車普及促進税制および環境対応車普及促進対策費補助金の対象車となっています。  トランスミッションは、6MT(写真4)とCVT(パドルシフト付き)が用意されており、6MTと1.5Lエンジンと組み合わせた最高出力は84kW(114PS)/6000rpm、最大トルク145Nm(14.8㎏m)/4800rpmで、CVTと1.5Lエンジンの組合せでは83kW(113PS)/144Nm(14.7㎏m)と、ややCVTとの組合せが劣ります。これをアシストするモーター(薄型DCブラシレス)は最高出力10kW(14PS)/1500rpm、最大トルク78Nm(8.0㎏m)/1000rpmの性能を発揮し、システムトータルでは最高出力は91kW(124PS)/6000rpm、最大トルクは174Nm(17.7㎏m)/1500rpmに達します。

 
 
 

 ●3モードドライブシステム

  このハイブリッド車には、DBW(ドライブバイワイヤ)、モーター、トランスミッション、EPS(電動パワーステアリング)、エアコンを統合制御し、スイッチ操作で走りのテイストを選択できる3モードドライブシステムが採用されています(写真5、6。図1)。  

積極的に走りを楽しむSPORTモード:エンジンのレスポンスを高め、MT車ではモーターのアシストレスポンスを向上させ、CVT車ではエンジン回転数を高めになる変速比として加速感を強調しています。EPSは手応えのあるステアリングフィーリングが得られる設定としてワインディング路などで力強い走りを楽しむことができます。
走りと燃費性能のバランスに優れたNORMALモード:低速域から力強いトルクが発生するハイブリッドシステムの特性を活かし、日常の扱いやすさを追求しています。EPSは軽快なフィーリングが得られる設定としてキビキビした走りが楽しめるようにしています。
実用燃費向上を図ったECONモード:エンジンのスロットル開度を控え目に制御しながら最適なエンジン効率を求めたモーターアシスト、エアコンの省エネ運転、アイドリングストップ時間の延長などで実用燃費向上に貢献します。 なお、スピードメーター外周のリング状アンビエントメーターは、NORMAL/ECONモード時には、低燃費走行するほど照明色がブルーからグリーンに変化し、低燃費運転を視覚的に支援します。またSPORTモード時は、常時レッドが点灯してスポーツイメージを演出します。



 
 
 

 ●3モードドライブシステムを成立させる高精度な統合制御の内容

DBW(ドライブバイワイヤ)制御:SPORTモードではドライバーのアクセルペダル操作量に対してスロットル開度を大きく制御。ハイレスポンスで力強い加速を実現します。6MT車はトルク感を(図2左)、CVT車は中間開度での伸びやかな加速感を(図2右)重視したセッティングになっています。一方ECONモードでは、ペダル操作量に対してスロットル開度を小さくし、エンジン回転を抑える制御としています。
EPS制御:NORMALモード/ECONモードでは、街中でも扱いやすい操舵力設定とし、軽快でキビキビした操舵フィーリングを実現。またSPORTモードでは、しっかりとした手応えが得られる設定としてスポーツ走行でも安心感のあるハンドリングを実現しています。
モーターアシスト制御(6MT車):SPORTモードでドライバーのアクセルペダル操作量から加速状態にあると判定した場合にモーターアシスト量を急速に増加させて強力なトルク感をもたらします(図3)。
CVT変速比制御(CVT車):SPORTモードでエンジン回転数が高めになるローレシオ側に制御して伸びやかな加速感を実現。ECONモードでは逆にハイレシオ側に制御することによってエンジン回転数を低くして燃料消費量を抑えます(図4)。
エアコン制御:ECONモードでエアコンをONしている場合、外気温の条件によって内気循環への切換えやファンの風量抑制などでコンプレッサの作動頻度を低減してエンジン負荷を軽減することでエンジン回転数を低くして燃料消費量を抑えます。