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 第65回 デュアルクラッチコントロール方式を採用した日産フーガハイブリッドシステム

 日産自動車㈱は、躍動感のある美しいデザインや広く快適な室内空間、意のままに操れる爽快な走りを実現する数々の装備や技術などが高く評価されている高級セダン「フーガ」に、日産独自の1モーター2クラッチ方式のハイブリッドシステム「インテリジェント・デュアルクラッチ・コントロール」を採用して19.0㎞/ℓ(10・15モード燃費)とコンパクトカーなみの低燃費、とダイレクト感のある爽快な走りを実現しています(写真1)。


 サスペンションには、ダブルピストンショックアブソーバを採用して、電動油圧式電子制御パワーステアリングと電動型制御ブレーキを世界で初めて搭載しています。これらによって上質な乗り心地と洗練された走りを両立させています。そのほか、エコドライブのアドバイスからハイブリッドシステムのエネルギーの流れまで、さまざまな情報をグラフィカルに提供するインジケータ(エネルギーモニター/アクセルガイド/ECOドライブインジケータ/バッテリ残量ゲージなど)を装備しています。

 ●ハイブリッドシステムの構成(図1)

1. エンジン:フーガハイブリッドに搭載されているエンジンは、V6 3.5L DOHCエンジン(VQ35HR)で、ハイブリッド用に進化させています(写真2)。最高出力は225kW(306PS)/6800rpm、最大トルクは350Nm(35.7㎏m)/5000rpmを発揮します。  
2. トランスミッション:これもハイブリッド用に変速特性をモーター出力特性に合わせて最適化して、息の長い伸びやかな加速フィーリングが楽しめます。
3. リチウムイオンバッテリ:車載用に独自に開発した最新のリチウムイオンバッテリを搭載しています(写真3)。これはモーターによる走行領域を広げる高い出力と高速のモーター制御を可能にした素早い充放電能力を持つバッテリです。高出力を実現する薄いラミネート構造のセルや安定性の高いマンガン系の電極材料などの最新技術を採用したうえ、安全性を考慮してバッテリ本体の強度を高めています。
4. クラッチ:フーガハイブリッドは、1モーターで走行と発電を行う効率的なシステムで、2個あるクラッチの1個は、エンジンとモーター間の接続に使用します(写真4)。停止したエンジンをモーターと完全に切り離してモーターへの負荷をなくして、出力をロスすることなく走行に活かします。もう1個のクラッチは、変速時と発進時に使用し、モーターの回転を素早く制御してエンジン始動時やクラッチをつなぐときのショックを吸収します。
5. モーター:交流同期モーター(HM34)で、最高出力は50kW(68PS)、最大トルク270Nm(27.5㎏m)の性能を持っています(写真5)。

 ●フーガハイブリッドの作動

 モーターとエンジンの得意な領域を使い分け、状況に応じて効率のよい走りを選択します。発進から高速までの幅広いモーターの走行領域、エンジンとモーターによる圧倒的なフル加速性能、エンジンで効率よく走行しながらの発電、減速エネルギーを電気に変換する回生ブレーキなど、モーターとエンジンそれぞれの特性を組み合わせて、高いエネルギー効率と走る楽しさを追求しています(図2)。

1. 発進時/信号待ち(クリープ)/中高速(バッテリ残量が 多い場合):クラッチ1を切り離してエンジンを完全に停止し、モーターだけで走行します(ただし、バッテリ残量が少ない場合やアクセルの踏込み量が多い場合はエンジンがかかります)。
2. 中高速またはバッテリ残量が少ない場合:エネルギー効率のよいポイントでエンジンを使いながらモーターで発電し、バッテリに充電します。
3. 減速:クラッチ1を切り離し、エンジンを完全に停止し、減速エネルギーを回生して、効率よくバッテリに充電します。
4. 全開加速:クラッチ1をつないでエンジン動力とモーターの動力を組み合わせてパワフルでレスポンスのよい加速を楽しめます。