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 第66回 トヨタヴィッツのアイドルストップシステム「スマートストップ」

 トヨタ自動車㈱は、1999年の初代発売以来ヨーロッパ(車名:ヤリス)をはじめ世界70カ国以上で、累計350万台を販売し、国内でも140万台を販売しているコンパクトカー「ヴィッツ」をフルモデルチェンジしました。


 新型ヴィッツは、3代目にあたり「コンパクトカーに対する多様なニーズを捉えるあるべき姿」を追求することを開発のテーマとしています(写真1)。
その結果、精悍さを増したスタイルとともに、外見はコンパクトでも広い室内空間と上質なインテリア、豊富なユーティリティを実現。またアイドリングストップ(エンジンストップアンドスタート)システムを採用して26.5㎞/ℓ(10・15モード燃費)の低燃費を達成しています。


 ●ヴィッツの搭載エンジンは?

 新型ヴィッツには、1L3気筒エンジンの1KR-FE型エンジン、1.3L4気筒の1NR-FE型エンジンおよび1.5L4気筒の1NZ-FE型エンジンの3種類のエンジンが、それぞれの個性を強調した4グレード(F、Jewela、U、RS)にあわせて搭載されています。
 1NR-FEエンジン(写真2)は、Dual VVT-i(吸排気連続可変バルブタイミング機構)を採用しており、Super CVT-i(無段変速機)と組み合わせられています。アイドリングストップシステムは、この1.3L1NR-FEエンジンのSMART STOPパッケージ(2WD)にのみ搭載されています。

 

 

 ●アイドリングストップ(以下スマートストップ)システムの概要(図1)

 スマートストップシステムは、P・N・Dポジションで、クルマが停止中に出す排気ガスおよびアイドリング騒音の低減、燃料消費量の低減を図るため、キーまたはエンジンスイッチを操作しないでもエンジンを停止・起動させるシステムです。赤信号や交通渋滞でクルマが停止し、エンジンがアイドリング状態に入ると、システムが自動的にエンジンを停止させ、Dポジションでブレーキペダルから足を離すと、バッテリからスタータに電力が供給されてエンジンが起動します。またDポジションでアクセルペダルを踏み込んだ場合も同様にエンジンを再始動(起動。スイッチやキーでエンジンをかけることは始動)します。

●スマートストップシステムの構成と機能(図2)
 このシステムは、エンジンストップアンドスタートコンピュータ、バックアップブーストコンバータ(エコランビークルコンバータ)、常時噛合いスタータなどで構成されています。エンジンストップアンドスタートコンピュータが複数のセンサやスイッチ、エンジンコントロールコンピュータからの信号をもとにエンジン停止と起動を制御します。
このシステムには、リングギアとピニオンギアが常時噛み合った状態の常時噛合いスタータ(写真3,4,5)を採用し、エンジン起動時のノイズを低減したうえ、エンジン起動までの時間を短縮しています。
エンジンが停止すると、エンジンコントロールコンピュータはエンジン停止時のクランク角度を記憶し、その記憶されたクランク角度に基づいてエンジン起動時に、どのシリンダから燃料を噴射し、点火するのかを決定してエンジン起動時間の短縮を図っています。アイドリングストップ時には、CVTの電動オイルポンプを作動させることで、CVT油圧を確保します。これによって、より滑らかな発進ができます。
アイドリングストップからエンジン起動する際、スタータが作動してリングギアが
回転します。これによってリングギアのインナーレース(ピニオンギア側)がワンウェイクラッチのスプラグをアウタレース(クランクシャフト側)に押し込み、インナレースとアウタレースを係合させるため、リングギアの回転がクランクシャフトへ伝達されてエンジンが起動(始動)します。また坂道などでの発進をスムーズに行うためにブレーキペダルを放してからエンジンは起動して駆動力が発生するまでスキッドコントロールコンピュータがブレーキ油圧を制御します。
エンジンが起動すると、クランクシャフトがリングギアよりも速い速度で回転
し始めます。このときワンウェイクラッチのスプラグの係合が解除され、リングギアとクランクシャフトの係合が解除されます。その後スタータの回転が停止し、リングギアの回転も停止します。
なお、スタータの寿命を管理するために、エンジンストップアンドスタート
コンピュータは、スタータの作動回数をカウントしています。一定の回数を超えると、エンジンストップアンドスタートコンピュータはストップアンドスタートインジケータランプ(写真6)を点滅させてスタータの交換を促します。スタータを交換した場合は、スタータの作動回数記録を消去する必要があります。