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 第67回 日産の電気自動車「リーフ」の構造と作動

 日産自動車㈱は、持続可能なゼロ・エミッション社会に向けた新しいモビリティを提案する新開発の量産型電気自動車(以下EV)の「日産リーフ」を昨年12月から全国一斉に発売しました(写真1)。
リーフは、走行中にCO2などの排出ガスをまったく出さないゼロ・エミッション車として、高い環境性能を達成すると同時にリチウムイオンバッテリーと電気モーターの搭載による力強く滑らかな加速性能、あらゆる速度域で高級車のような静粛性能、優れた重量バランスによる高い操縦安定性を実現させており、従来のクルマにない運転感覚を確保しています。リーフは、さらに先進的なITシステムによる便利で機能的なサポートやEVのもたらす快適な生活を通じて、これまた従来のクルマにない新しい価値を提供します。


 ●ガソリンエンジン車との構造比較

 リーフは、EV専用車として設計・デザインされており、大人5人がゆったりと乗ることができる室内空間(図1)と、お客様のニーズを満たす200㎞の航続距離(JCB8モード)を達成しています。
またガソリンエンジン車との構造を比較すると、図2のようになり、ガソリンタンクにあたるバッテリーにリチウムイオンバッテリーを、エンジンに当たる部分がモーターということになります。その間の様々な制御回路が必要になるということです。
その結果、ガソリンエンジンと比較してエネルギー損失が非常に少ない。極めて効率の高いパワートレインとなっています(図3)。

 ●リーフのパワートレイン構成部品の特徴

 リーフのパワートレインは、モーター、インバーター、DC/DCコンバーター、リチウムイオンバッテリーから構成されています。
①モーター
三相交流同期モーターを採用し、最高出力80kW、最大トルク280Nmを達成しています(写真2)。アクセルを踏んで発進した瞬間から瞬時に最大トルクを発生し、日産独自のモーター制御技術(磁気回路の最適化と高き巻線密度による高効率化)でガソリン車では味わうことができない瞬発力のある力強く連続的な加速を実現しています。また、中低速では、3リッターガソリン車なみの加速ができ、最高速度は145㎞/hにまで達します。
そのほか、エンジンのような振動がなく優れた遮音技術の採用と合わせて抜群の静粛性を実現したうえ、減速時には発電機として減速エネルギーの一部を電気として回収する回生機能を備えてエネルギーの再利用を実現しています。
②インバーター
直流を交流に変換し、電流量をコントロールすることによってモーターの出力を制御します(写真3)。オリジナル開発で、高価な基板を使わずに半導体を配線板に直接実装する方式を採用したパワーモジュールをはじめ構成部品を専用設計しています。
③DC/DCコンバーター
オーディオ、ナビ、ヘッドランプなどの直流12V電源で作動する電装品のためにリチウムイオンバッテリー以外に別のバッテリーが装着されています。このバッテリーを充電するために走行用のリチウムイオンバッテリーの360Vの電圧を下げる役割を果たすのがDC/DCコンバーターです。
④リチウムイオンバッテリー
EVの性能・コスト・居住性に大きく影響するバッテリーには、従来のバッテリー(2000年2月発売のハイパーミニ用)と比較して約2倍のエネルギー密度を実現した軽量コンパクトな大容量リチウムイオンバッテリーを採用しています(写真4)。このバッテリーは、2kWhの容量で、最高出力90kW以上を達成したうえ、より多くのエネルギーが蓄えられるので、フル充電で200㎞の走行ができます。
バッテリーの最小構成単位であるセルには、シンプルな構造が特徴の薄型ラミネート構造セルを採用しています。これにより部品点数が少なく低コスト化を実現しながら車両レイアウトの自由度を高め、居住性と大容量バッテリーの搭載を両立したパッケージングが可能になりました。またラミネート構造セルは、表面積が大きいので冷却性能に優れています。この利点を生かして、さまざまな使用環境下でも安定した性能が発揮できます。
バッテリーの正極にマンガン系材料を採用していますが、資源的にも豊富で安定した結晶構造を持つため、低コストで高い信頼性を確保しています。
バッテリーパックを、車体中央床下に配置したため、優れた重量バランスと低重心を実現しています。また高剛性ボディとあいまって、意のままのハンドリングの実現にも貢献しています。