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ホンダが「フィット ハイブリッド」で
5度目のリコール


ホンダが「フィット ハイブリッド」で5度目のリコール

写真1ホンダが新ハイブリッドシステムを搭載した「フィット」シリーズでリコール(回収・無償修理)を繰り返している。10月23日に5度目のリコールを発表。経営陣が責任をとって11月から報酬の一部を自主返上するまでの事態に至った。 開発段階での品質チェック体制を強化するというが、すでに影響は生産や新商品の投入遅れにつながっている。
 「お客様、社会に多大なるご迷惑をおかけした」として、ホンダの経営陣は11月から伊東孝紳社長が20%、その他の代表取締役、経営会議メンバー、開発、生産、品質担当役員が10%とそれぞれ報酬を自主返上する。この日、同社は「フィット ハイブリッド」、「ヴェゼル ハイブリッド」「N-WGN」(エヌワゴン)の3車種、合計42万台をリコールすると発表。 フィット ハイブリッドに至っては昨年の発売以来、5度目という異例の事態であり、経営責任を内外に明確にしなければならないと判断したようだ。
写真2  今回のリコールはエンジンの点火コイルの雑防抵抗の構造が不適切なため、エンジンに不具合を起こす可能性があるというものだが、過去4度は新型のハイブリッドシステムに問題があった。同社は不具合の原因を「モーターとエンジンを組み合わせて制御するシステムの開発過程において、さまざまな使い方を想定した検証が不十分だった」と説明している。
  対策として、「技術・商品開発、量産移行段階で様々な使い方を想定した検証を一層強化していく」、とし、開発会社である本田技術研究所での「開発プロセスでの品質保証体制を強化するとともに、生産、品質、カスタマーサービス部門のエキスパートの連携によるチェック体制を強化していく」としている。再発防止施策の責任者として、11月1日付で四輪事業本部に品質改革担当役員を配置するとともに、本田技術研究所の副社長を兼務する人事を発表した。現在、四輪事業本部長の福尾幸一専務執行役員が、品質改革担当と研究所の取締役副社長を兼務することになる。品質チェック体制の強化で問題がどう改善されるのか注目されるところだ。
 同社が不具合の原因に挙げたモーターとエンジンを組み合わせたシステムとはまさしくハイブリッドシステムのことだ。だが、ホンダがハイブリッドシステムの開発に取り組んだのは、当然のことながら、これが初めてではない。これまでと異なるのは、ハイブリッドシステムの変速機構に、マニュアルトランスミッション並みに燃費がいいデュアルクラッチトランスミッション(DCT)を初採用したことだ。
 このDCT、そもそも制御が非常に難しいと言われている。フォルクスワーゲンが「ゴルフ」に搭載したDCTも不具合が多く、購入者や専門家から酷評されている。ホンダは、ただでさえ制御が難しいDCTをハイブリッドシステムに組み込むことにチャレンジしたのだから、発売当初は新技術にかける姿勢への評価も高かった。しかし、発売直後から不具合が続発。ホンダ系のサプライヤーからは、「情けない」という声が聞かれていた。
写真3  さらに今までと違ったのは、このハイブリッドシステムが外資系サプライヤーとの共同開発だったこと。ホンダはこれまでのハイブリッドシステムでは、自社の変速機を使っていた。新型フィットでは、四輪用のDCTの開発経験がないことを理由に、独シェフラーのDCTを採用したのだ。ハイブリッドシステムを構成するユニットとしてのDCTの開発について、シェフラーもホンダとの共同作業にかなり苦労した。
  ホンダはリコールの頻発を踏まえ、品質の総点検を行っている。このため新車の発売スケジュールが3〜6カ月遅れている。この影響から、10月から国内で減産を実施。毎週金曜の生産を停止している。減産の背景には、海外シフトを加速し、国内生産に占める輸出の割合は1割未満に減少しているため、国内販売の状況が直接生産に影響を与えやすいという事情もある。海外生産は拡大しており、ホンダにとってみれば、国内の減産の影響は限定的と言える。だが販売店は相次ぐリコールの上に、新車の投入遅れに見舞われており、しばらくは我慢を強いられる状況が続きそうだ。