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収束が見えない
タカタのエアバッグ問題


収束が見えないタカタのエアバッグ問題

写真1タカタエアバッグに起因するリコール問題の収束が見えない。米上院の委員会が11月21日にタカタ、ホンダ、クライスラーを呼び公聴会を実施したが、事態は収束に向かうどころか、リコール規模のさらなる拡大も懸念される状況になっている。対策費用がかさめばタカタの経営にも影響が出かねず、問題がどこまで広がるのか注視される。
 タカタはシートベルトを始めとした安全装置の専門メーカーで、ホンダと共同でエアバッグを開発したことでも有名だ。今回の不具合でもホンダのリコールが最大だが、独立系の部品メーカーとして、国内外の自動車メーカーに幅広く取引があり、トヨタ自動車、日産自動車、マツダ、富士重工業などもリコールを届け出ている。リコールの規模は世界で1千万台を超えており、タカタは対策費用として、今期476億円の特別損失を計上し、最終損益が250億円の赤字になる見通しだ。
 不具合の原因は、エアバッグを膨らませるインフレーター(膨張装置)にある。タカタが米子会社で2001年9月から02年9月までに製造したもので、同装置を製造する際、ガス発生剤を充填した後の吸湿管理が不適切だったというものだ。車両の使用過程で外気温などの影響によりガス発生剤が膨張し、エアバッグ展開時にインフレーター内圧が異常上昇し、金属製のインフレーター容器が破損して乗員を傷つける恐れがある。タカタは助手席、運転席のエアバッグにガス発生剤を使っている。13 年からのリコールは助手席エアバッグが多いが、運転席用も同じ理由でリコールが始まっている。
  日本では死傷事故は確認されていないが、米国では飛び散った金属片でドライバーが顔面を負傷する事故や死亡事故が発生している。NHTSA(米国運輸省高速道路交通安全局)はドライバーに早急にディーラーに車両を持ち込むよう、呼びかけており、米上院・商業科学運輸委員会の公聴会でも、タカタやホンダなど自動車メーカーの対応が遅すぎたのではないか、との批判が議員から相次いだ。
写真2  公聴会終了後の25日、同委員会はタカタが多くの疑問に答えていなかったとして、さらなる情報を12月12日までに提示するよう書簡で要請した。翌26日にはNHTSAが、高温多湿地域に限定して行っている運転席用エアバッグのリコール対象地域を12月2日までに全米に拡大するようタカタに要求した。現在、地域限定リコールは助手席用114万台、運転席用320万台の延べ434万台で、対象地域が全米に広がれば、この数倍の規模になると見られる。NHTSAは、要請に応じない場合、1台あたり7千ドルの民事制裁金を課す可能性があるとしている。
 タカタはメキシコ工場での代替品の生産能力を月間30万個から同45万個に拡大するとしているが、対象地域が一気に広がると、生産が間に合わない可能性が出てくる。今期250億円を見込む赤字額もさらに拡大する可能性が高い。
 米当局の動きを見て、日本の国土交通省も対策を強化し始めた。日本でのリコール対象台数はこれまでのところ254万台で、100万台が未改修となっている。自動車メーカーやタカタに対し回収・修理を急ぐよう要請するとともに、まだリコールの対象になっていない車両についても、安全性を早急に確認したい意向だ。
  米上院がタカタに送った書簡には、ガス発生剤として使っている硝酸アンモニウムの安全性についての質問も含まれている。同物質は吸湿性が高いため、他のエアバッグメーカーは使っていない。インフレーターを小型化できる利点があるが、製造時の検査体制の不備、湿度管理の不徹底が大量リコールにつながった。タカタは、現在、生産中のものは、添加剤により吸湿性の問題を解消したとしているが、今後、米上院の調査がガス発生剤の物質の選択が適当だったのか、という点に移っていくことも予想される。