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トヨタが新設計思想の新型車を
今年投入


トヨタ自動車の新設計思想(TNGA)

  トヨタ自動車が新設計思想「トヨタニューグローバルアーキテクチャー」(Toyota New Global Architecture (TNGA))に基づいて設計した新型「プリウス」を今年中に投入する。プリウスを手始めに、今後投入する新型車に新設計思想を取り入れていく。狙いは個別車種の開発費を削減する一方、持続的成長のための先行技術開発に経営資源を振り向けることにある。フォルクスワーゲンやゼネラルモーターズといった世界の大手自動車メーカーも同様の取り組みを進めており、トヨタが設計改革によっていかに商品力を高め、世界販売の拡大につなげていけるのかが注目される。
  トヨタが3月に発表した「もっといいクルマづくり」の取り組み状況説明会。ここで新設計思想の推進状況が説明された。その柱は、パワートレーンユニットとプラットホームの刷新にある。これら車の基本構造を一体的に開発し、車の基本性能や商品力を飛躍的に向上させていくとしている。部品・ユニットも一定のグループに区切って開発し、それらを共用していくことで、従来比で20%の開発費削減を狙う。仕入れ先との協力で得られた原価低減の成果を含めて、「先行技術開発や商品力強化に再投資していく」という戦略だ。
TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)
  トヨタの車種開発はこれまで車種単位で行われてきた。このため、プラットホームの数は細かく分けると100種類、エンジンは16の基本型式をベースに、排気量、燃費・出力、プラットホーム、排出ガス規制対応を掛け合わせると800種類にも及んでいる。世界生産・販売台数が1千万台を超え、この方式を続けると開発費や部品管理費が膨大になり、将来の成長に向けた先行技術開発がおろそかになるという危機感がトヨタにはある。
  確かに、自動車業界では環境、安全、快適の各分野で技術革新が目白押しだ。特に安全分野では米グーグルが自動運転で話題をさらい、欧米の自動車メーカー、メガサプライヤーが開発を加速。人が運転に介在しない「完全自動運転」も視野に入れた技術の蓄積にしのぎを削っている。トヨタも先進安全システム「トヨタセーフティセンス」を2017年までに日米欧のほぼすべての車種に設定すると発表しており、この分野の開発競争が加速していく見通しだ。
衝突回避支援パッケージ
  トヨタは新設計思想の根幹に、パワートレーンとプラットホームを位置付けた。新パワートレーンユニットは、エンジンの熱効率、トランスミッションの伝達効率を上げることで、パワートレーン全体で燃費を25%向上、動力性能を15%向上させる。新型プリウスから搭載されるハイブリッドシステムでは、電池、モーター、インバーターの小型化・高効率化を図り、燃費性能を15%以上高めるという。
  プラットホームはアンダーボディやサスペンションを刷新・新開発するとともに、低重心化のためパワートレーンユニットを低配置する設計にする。骨格構造を見直し、ボディ剛性を30〜65%向上させる。パワートレーンとプラットホームをそれぞれ連携させながら開発し、車の基本性能を向上させていくことで、開発費の抑制と同時に、商品力の向上も両立する。車種・プラットホームをまたいで採用する機能部品「TNGA部品」によって、部品の共用化も推進する。
  まず2015年中に発売予定のFF系のミディアム車から導入し、その後、コンパクト、ラージ、FR車にもそれぞれに対応した新プラットホームを開発し、20年頃に世界販売台数の半分に導入していくとしている。今年フルモデルチェンジするプリウスがTNGA全面適用の第1弾となる見通しだ。
 トヨタが取り組む新設計思想は「トヨタの車づくりの文化を変える大改革」と加藤光久副社長は述べている。車両開発の主役だったチーフエンジニアは残るが、内外装のデザインなど、主にユーザーの目に見える部分の作り込みがその役割になる。TNGAをベースとした新しい車づくりを導入しつつ、いかに車種ごとの個性を出していけるかが、トヨタの成長の鍵を握ることになる。





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