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トヨタ、国内市場を再強化



 トヨタ自動車はトヨタ店、トヨペット店、カローラ店の3チャンネルに、新VI(ビジュアルアイデンティティー)を導入すると発表した。日産自動車が「ブルーステージ」「レッドステージ」での全車種併売、ホンダが「プリモ」「ベルノ」「クリオ」の3チャンネル一本化と、相次いで販売網の再編に動き出すなかで、現行チャンネルに新規投資を行う新VI導入は、複数チャンネル体制をトヨタが今後も維持していくことを意味する。全車種併売化やチャンネル統合で日産やホンダの国内販売台数は、縮小均衡に向かうと見られている。登録市場で圧倒的シェアを持つトヨタだけが、トヨタブランド4チャンネルを維持することで、さらなるシェア上昇につながる可能性が濃厚だ。

 国内メーカーの販売チャンネルは、トヨタを除けば、すべてのメーカーが1チャンネルに移行したことになる。ホンダの四輪販売店は、まだ看板や店構えは変わっていないが、3月から全車種併売に移行。8月頃には、販売店の屋号が順次「ホンダ カーズ」へと変更される。日産販売店は、看板こそレッドステージとブルーステージが残っているが、すでに全店が全ての車種を取り扱っている。

 日産やホンダが販売チャンネルを統合したのは、新車の市場規模が縮小均衡に移行しつつあるからだ。ピーク時は登録・軽合計で780万台に達した国内市場も、今では600万台を下回るレベルにまで落ち込んでいる。登録車が不調な一方、軽自動車は05年、05年度ともに過去最高を更新していることからも、消費者ニーズは、低価格・小型化への移行を強めているといえる。

 これまで、トヨタに追いつけ追い越せと、拡大路線を追求してきた日産やホンダは、この市場構造の変化に見合った、スリムな販売網が必要と判断。複数チャンネルを維持するには、それなりの車種数が必要であり、チャンネル統合は、車種数の削減を意味する。日本メーカーは、グローバル事業を急拡大しており、限りある経営資源を、成長性のある海外市場に投入しようという算段だ。

 中長期的に、これまでのような成長が見込めない国内市場で、トヨタがトヨタブランド4チャンネルを維持するのは、国内の事業規模を今後も拡大していく、という姿勢の表れだ。もっとも、トヨタの場合、03年2月に発表した新「商品・流通政策」で、「ビスタ」と「ネッツ」を統合。新生「ネッツ」は、若者と女性をターゲットにしたチャンネルと位置づけている。市場の変化に合わせた販売チャンネルの見直しを、トヨタは日産やホンダにさきがけて実施してきたとも言える。

 トヨタは、新VIで、3チャンネルにテーマカラーを設定した。トヨタは、上品さと品格を象徴する「トヨタボルドー」、トヨペットは、洗練された知的イメージの「トヨペットグリーン」、カローラは、親しみやすく居心地の良い「カローラオレンジ」を採用した。それぞれのカラーとロゴ、トヨタのブランドマークをあしらった、新型の店頭サインを順次、各拠点に導入し始めている。また、トヨタは「クラウン」、トヨペットは「マークX」、カローラは「カローラ」をシンボル車種として位置づけ、トヨタは高級車、トヨペットはミディアムカー、カローラはコンパクトカーのチャンネルとしての位置づけを、これまで以上に明確化していく考えだ。

 同社の国内事業にとって、今年はいろいろな意味で節目の年でもある。06年という今年は、トヨタチャンネル創立60周年、トヨペットチャンネル創立50周年、そして「カローラ」誕生40周年にあたる。各チャンネルでは、シンボル車種を中心とした記念特別仕様車の投入や、サービス・中古車での記念施策も展開する予定だ。

 マイナスが続く登録車市場がなかなか反転しないなか、新車の投入予定が少ないホンダや日産にとっては、今年も厳しい販売状況が続くと見られている。一方で、トヨタブランド4チャンネルとレクサスブランドを擁するトヨタは、投入車種数で他メーカーを圧倒。トヨタの強さが、一層、際立つ年になりそうだ。