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上期の国内生産、2年ぶりマイナス


上期の国内生産、2年ぶりマイナス

自動車の国内生産台数の減少傾向が続いている。
 日本自動車工業会が発表した2015年上半期(1〜6月)の国内生産台数が、前年同期比8.2%減の465万840台と、13年以来、2年ぶりに減少した。水準もリーマンショックと東日本大震災直後の09年、11年をのぞき、過去10年間で最低だった。円安によって輸出は増加傾向にあるものの、国内市場の落ち込みが想定以上に大きい。

【2015年上半期(1〜6月)車種別生産台数】
2015年上半期(1〜6月)車種別生産台数

 上半期の輸出は前年同期に比べ0.5%増の217万7637台と3年ぶりに増加した。12年12月の安倍晋三政権発足前後から超円高の修正が始まり、マイナスが続いていた輸出が少しずつ回復しつつある。

【2015年上半期(1〜6月)車種別輸出台数】
2015年上半期(1〜6月)車種別輸出台数

 これに対し、国内販売は前年同期比11.0%減の267万6582台と大きく落ち込んだ。前年同期は消費税引き上げ前の駆け込み需要で1〜3月の販売が大きく伸びたため、その影響が表れていると見られる。
 国内販売で特に落ち込みが大きいのは軽自動車だ。登録車の上半期の販売が前年同期比7.9%減の163万1178台だったのに対し、軽自動車は同15.4%減の104万54046台と2桁のマイナスとなった。市場を牽引する軽の大幅な落ち込みに加え、登録車も決して小さくないマイナスとなったことが、国内生産の足を引っ張っている。

【2015年上半期(1〜6月)車種別販売台数】
2015年上半期(1〜6月)車種別販売台数

 自動車生産台数の減少は日本のものづくり力を低下させる。それは海外での競争力も低下させ、基幹産業の屋台骨を揺るがす。それだけに、今後の国内市場の動向や輸出の水準には注視が必要だ。このペースでいけば、今年は年間生産台数が1千万台を下回る可能性が濃厚。10年からの過去5年、生産台数は1千万台を下回り続けているが、今年はレベルが一段と低下する可能性がある。
 国内生産が減少しているのは、自動車メーカーが小型車の生産を相次いで海外に移しているためでもある。その代表例がメキシコでの生産だ。これまで国内メーカー各社は、米国向けの小型車は日本で生産してきたが、マツダとホンダがメキシコに新工場を稼働。「デミオ」「アクセラ」「フィット」の生産を始めた。メキシコでの歴史が長い日産も、メキシコでの生産能力増強に動いている。
 人件費が高い米国では、小型車の生産はコスト的に不釣合いだが、メキシコなら日本や米国よりも人件費が安く、コスト面で有利となる。メキシコは労働倫理も高いとされ、自動車の生産に向いているとされる。メキシコには欧米自動車メーカーが工場を構え、日産、ホンダ、マツダと進出が続いた。トヨタ自動車も19年の進出を発表し、日本車の生産が拡大する見通しだ。
 日本が国内生産台数を維持するには、国内販売と輸出の両輪を強化していく必要がある。日本市場では環境対応、安全運転支援技術など、新技術を搭載した車を積極的に投入することで、需要を引き出すことができる。
 保有台数は減少傾向に転じており、販売店もサービス収入だけでなく、新車販売をより強化していく体制が求められる。メーカーも、モーターアシストやハイブリッド車、高度運転支援システムといった新技術車を積極的に投入する必要性がある。
 輸出も一定程度の割合で行なっていくことが国内生産の規模を維持するために重要だ。リーマンショック後の超円高時に比べ5割もの円安に振れている現在の為替相場は、輸出を増やす好機と言える。
 日産は北米向けSUV「ローグ」を16年3月に九州で生産することを決めた。またホンダは、国内生産の落ち込みをカバーするため、欧州向け「ジャズ」(フィット)をメキシコでの生産から日本での生産に切り替える。三菱自動車は生産台数が振るわなかった米国での生産を11月末で終了し、日本からの輸出に切り替えると発表した。トヨタは為替に関わらず、年間300万台の生産を維持することを表明している。トヨタはこのための、競争力の高いフレキシブルな生産システムを完成させた。
 超円高を経験し、部品を含めた日本の自動車産業のコスト競争力は向上している。これが今年下期以降の生産動向にどう反映されていくのか、注目されるところだ。