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トヨタがダイハツを完全子会社化


トヨタ自動車がダイハツ工業を子会社化する

トヨタ、ダイハツロゴトヨタ自動車ダイハツ工業を完全子会社化することになった。1998年にトヨタの連結子会社となって18年。ダイハツは7月27日づけで上場廃止となり、8月1日付でトヨタの完全子会社になる。ダイハツブランド、そして軽自動車事業は今後、どうなるのか。
 ダイハツは1967年にトヨタと業務提携し、98年にトヨタの連結子会社になった。これまでトヨタとの小型車の共同開発、トヨタ車の受託生産、小型車・軽自動車のトヨタへのOEM(相手先ブランドによる生産)供給と、協力関係を深めてきた。日野自動車とともにトヨタグループの一角を占め、社長もトヨタから派遣してきた(現在の三井正則社長はダイハツ出身)。
  ダイハツは国内ではスズキと並ぶ軽の最大メーカーでもある。スズキとシェアを競い合うことで軽の市場を拡大してきた。燃費性能や安全性向上にもいちはやく取り組む一方、九州・大分に生産拠点を設け、調達コストや製造コストの引き下げを積極的に進めてきた。軽自動車の市場が国内の4割にあたる200万台規模に拡大し、同社の市場でのプレゼンスは否応なしに高まっていたところだ。
  そんなタイミングでのトヨタによる完全子会社化はどんな意味を持つのか。トヨタの豊田章男社長は記者会見で「ダイハツにこの話をしたのは昨年の秋だった」話した。「トヨタは2年前にようやく前を向いていけるようになった。この先へ準備していけるタイミングがこの時だった」と話す。一方の三井社長は「ダイハツはこの10年間構造改革に取り組んできた。改革にメドがつき、この先の成長を考えた時に、トヨタも同じ思いだということで意見が合った」と今回の合意の経緯を説明した。豊田社長は会見で「ダイハツブランドがなくなることは絶対にない」と断言。「トヨタ、レクサス、ダイハツの3つのブランドのすみ分けができる」と強調した。
  ではトヨタにとってダイハツを完全子会社化することの狙いは何か。それは「小型車事業」の強化だ。発表文によると「トヨタとダイハツは、共通戦略のもと、両社の技術・ノウハウや事業基盤を融合することで両ブランドの特色を活かした魅力的でグローバル競争力のある商品を展開する」とし、ダイハツが主体となって、小型車領域での両ブランドの商品を開発する、としている。これまでもリッタークラスの小型車の共同開発や、ダイハツからのOEM供給を受けてきたトヨタだが、もう一段の小型車強化が必要と判断したのは新興国市場の難しさだ。
エティオス   トヨタが2000年代の中頃のグループの総力を挙げて開発した新興国戦略車「エティオス」は、新興国市場を狙ってトヨタが初めて開発するモデルとして注目された。しかし、品質基準が高く、人件費などのコストが高いトヨタとトヨタグループのサプライヤーによる開発では十分なコストダウンができず、結果として、新興国市場を開拓するには力不足の車になってしまった。
  トヨタはその後、フォルクスワーゲンなどのモジュール戦略に対抗し、3千点の部品を作り直し、車づくりを大きく変える「トヨタニューグローバルアーキテクチャー」(TNGA)に取り組んできた。昨年12月に発売した新型「プリウス」は、その第1弾モデルだ。豊田社長は「TNGA(トヨタニューグローバルアーキテクチャー)」をやってきた中で、小さい車づくりの難しさを実感した」という。ダイハツを完全子会社化するのは、軽で培った開発ノウハウを新興国の小型車戦略に生かすためだ。
  ダイハツはこれからグローバルに通用する小型車の開発に経営資源を厚く配分していくことになると見られる。そうなると心配されるのは、軽自動車の開発リソースが減るのではないかということだ。軽は国内市場の4割を占め、無視できない市場だ。軽自動車税の引き上げによってこのところやや不調だが、高齢社会の進展により、ニーズは強まっていくと見られる。ダイハツがこれまで通り、軽の開発を続けていけるのかは注視しなければならないところだ。
軽自動車及び登録車保有台数と軽のシェア
  トヨタはダイハツのライバルであるスズキとも提携交渉を行っていることが報道された。即座に両社は否定したが、トヨタ・スズキの提携話はこれまでも折につけ浮上してきた。スズキは昨年、5年あまりかかって、ようやくフォルクスワーゲンとの提携解消に漕ぎつけた。経営の後ろ盾が欲しいスズキがトヨタにアプローチしている可能性はある。スズキとトヨタの関係の行方が今後は注目される。