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三菱自動車、日産傘下で再スタート


三菱自動車、日産傘下で再スタート

燃費不正問題に揺れた三菱自動車日産自動車の傘下で再スタートを切った。ルノー日産アライアンスの一員として、今後は日産との事業面での連携を加速していくことになる。一方、日産は三菱自のプラグインハイブリッド車(PHV)の技術や東南アジアのプレゼンスを手中に収め、世界ビッグスリーに肉薄する地位を手に入れた。
三菱自 臨時株主総会
14日に幕張メッセ(千葉市美浜区)で三菱自が開始した臨時株主総会。日産から34%、2370億円の出資を受け入れたことに伴う新役員体制が発表された。日産からは6月に技術担当副社長に就任した山下光彦氏に加え、ゴーン氏、旧通産省OBで日産副会長、ルノー社外取締役を務めた伊佐山建志氏ら、合計4人が新たに取締役に選任された(山下氏、ゴーン氏を除く3人は社外取締役)。

益子修会長兼社長は会長職をゴーン氏に譲った一方で、社長とCEO(最高経営責任)職は続投になった。辞任するつもりだった益子氏を引き留めたのはゴーン氏だ。業界関係者によると、「ゴーン氏は三菱自の中で益子氏しか知らない。益子さんがいなくなってしなっては三菱自をコントロールできなくなる。日産の出資は当初から益子氏の社長続投が前提だった」という。

三菱自は2000年代の度重なるリコール隠し問題でブランドが失墜し、当時、提携していたダイムラークライスラー(現ダイムラー)にはトラック・バス部門だけを持っていかれ提携を解消された。苦境から経営を再建した益子氏には、その経営手腕を評価する声がある。ただ、その益子氏でさえ、開発部門の不正に気付くことはできなかった。自浄作用のない組織をどう生まれ変わらせるかが益子氏の仕事になる。

日産傘下となったことを強く印象づけたのが、14日に発表された組織改正だ。これまでの業務執行体制はCEOの下に開発、品質、生産、購買、国内営業などの部門を配置する体制だったのに対し、2017年1月1日からは、最高執行責任者(COO)のもとに、チーフプランニングオフィサー(CPLO)、チーフコンペティティブオフィサー(CCO)、チーフパフォーマンスオフィサー(CPO)、チーフファイナンスオフィサー(CFO)と4人の責任者を配置する。商品戦略・商品開発、購買・生産・物流、海外営業、財務・経理の4つの機能軸で権限と責任を明確にするものだ。CEOが経営戦略を構築し、COOが4人をとりまとめて戦略の実行を推進する。日産と同じ組織体制にすることで、協業をやりやすくする狙いがある。

燃費不正の舞台となった開発部門は、プロダクトエグゼクティブに集中していた権限と責任を分散し、3人の責任者で推進する体制にする。その呼称もプログラムダイレクター、チーフプロダクトスペシャリスト、チーフビークルエンジニアといった具合に日産と同じ呼び方に変更する。

日産は三菱自との提携効果を2017年度から創出する考えだ。最も早く効果を出すのが開発領域で、まずは三菱自のPHVの技術を日産が活用する。プラットフォーム、モーター、インバーターといった技術を共用し、日産は開発コストを削減する。日産はPHVを電気自動車(EV)を補うものと位置づけて開発を検討してきたが、三菱自との資本提携により独自開発をやめた。今後はEVもプラットフォームなどの技術を共有し、車両はそれぞれで開発する。

プラグインハイブリッドEVシステムの特長

さらに中期的には生産や購買でもシナジーを追求する方針だ。相互の工場の活用や、部品の共通化も進むと見られる。購買での協業は日産・三菱自の双方のサプライヤーにとって、取引先拡大のチャンスが広がることになるが、日産は競争力のないサプライヤーには容赦ない。1999年の日産リバイバルプランでは多くの日産系サプライヤーが消えていった。当時を思い起こし、三菱自の地元サプライヤーは戦々恐々としている。

一方、ゴーン氏は三菱自の代表取締役会長に就任したことで、日産、ルノーに加え、三菱自からも報酬を得ることになる。三菱自は取締役の報酬を従来の年間9億6千万円以内から20億円以内へと倍増したことに加え、別枠で10億円以内の業績連動分を設けた。臨時株主総会では、株主から「不正を起こした反省がない」と厳しく批判された。益子社長は「優秀な人材を確保するために必要だ。国際的にみて適正な水準だ」などと理解を求めたが、ゴーン氏に対しては「いったいいくら稼ぐつもりなのか」と日産OBからも疑問の声が上がっている。




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