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トヨタがマツダと資本提携、その意味は?


トヨタがマツダと資本提携、その意味は?

 トヨタ自動車とマツダが資本業務提携すると発表した。トヨタはマツダ株の5.05%、 マツダはトヨタ株の0.25%を取得する。8月4日付で合意し、10月2日に払い込む。両社は2015年に包括的業務提携を結び、協業を検討してきた。今回、米国での新工場建設を含む広範囲での協業で合意したことを受け、マツダも出資する相互出資の関係に至った。マツダにとってフォード・モーターとの資本提携解消で失っていた米国の生産拠点を得られることは大きな成果だと言える。
 米新工場は両社の折半出資で建設し、2021年の稼働を目指す。トヨタ用とマツダ用のラインを1本ずつ設け、年間生産能力は30万台とする計画だ。投資額は16億ドル(約1744億円)で、約4000人を雇用する計画だ。トランプ米大統領はさっそく「米国の製造業にとって素晴らしい投資だ」とツイートした。トヨタは新工場で「カローラ」を、マツダは北米市場に新しく導入するクロスオーバー車種を生産する。今回の決定を受けて、トヨタは先に発表していた19年稼働予定のメキシコ工場での生産車種をピックアップトラック「タコマ」に変更した。
 マツダは11年にフォード・モーターとの米合弁事業を終了し、15年にはフォードが残っていたマツダ株全株を売却して、1979年から36年間続いた資本関係もなくなっていた。北米には13年に稼働したメキシコ工場があるが、ここは「デミオ」「アクセラ」といったコンパクト車を生産している。米で売れ筋の「CX-5」や「CX-9」といったクロスオーバーSUVは日本からの輸出だ。今は為替が1ドル=109円程度と円安方向であるため利益が出ているが、これが再び100円を切る円高になると、一気に業績が悪化する恐れがある。
 メキシコ工場でSUVを生産することもできたはずだが、トランプ政権がカナダ、メキシコ、米国の無税輸入の枠組みである北米自由貿易協定(NAFTA)の見直す方針を示しており、将来、メキシコからの輸出に関税がかかる恐れがある。資金力のある大手がひしめく米市場での単独での工場建設は中堅のマツダにとっては負担が大きい。トヨタとの共同運営はマツダにとって、リスク回避という意味で願ったりかなったりの事業形態と言える。
 両社は電気自動車(EV)の基本構造に関する技術の共同開発も行う。軽自動車から小型トラックまで適用するEVプラットフォームを開発するというもので、ハードとソフトを共同開発し、それぞれの車両に使っていくという構想だ。トヨタもマツダもEV市場は「発展期にあり予測が難しい」としており、開発面で両社が協力することで、効率的かつ臨機応変に世界のEV化に対応していく狙いがある。開発にはマツダの強みであるモデルベース開発を生かしていく方針だ。 
 このほか、両社はインターネットに常時つながるコネクテッドカーや先進安全技術でも協力し、車載マルチメディアシステム関連技術を共同開発する。また、先進安全技術分野ではトヨタの車車間、路車間通信技術をマツダとの連携で推進する。商品補完ではすでに実施している北米でのマツダからトヨタへの小型車供給に加え、国内でトヨタからマツダに小型商用2ボックス車を供給する。グローバルに商品補完の可能性も検討していく。
 トヨタとマツダの資本提携によって、国内メーカーは、トヨタ陣営、日産陣営、そしてホンダの3つに分かれた。トヨタは子会社のダイハツ日野に加え、いすゞスバルにも出資しており、マツダが新たに資本提携の枠組みに加わることになる。残るは今年2月に業務提携の覚書を交わしたスズキと資本提携に踏み込むかどうか。環境・安全、情報技術、商品・ユニット補完等、幅広い分野での連携を検討するとしており、こちらも資本提携に発展する可能性が高い。日本メーカーはほぼ半数がトヨタ陣営となる。世界の自動車メーカーはIT企業も交え、電動化や自動運転技術を競っている。これだけのメーカーが集まるトヨタ陣営は、その提携効果を十分に発揮できるのか、その効果が問われる。