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スロースタートな自動車保有関係手続きのOSS


ワンストップサービスの利用がなかなか伸びない。同サービスは、型式指定車の新規登録を対象に、昨年12月26日から、東京、神奈川、愛知、大阪の4都府県でスタート。4月24日からは埼玉県と静岡県でも始まっている。今後、順次適用地域とサービスが拡大していく予定だ。

スタート当初、日本自動車販売協会連合会(自販連)は、登録全体の1割をOSSで行いたいと目標を掲げていたが、これまでの実績は、目標には、ほど遠い状況にある。ユーザーへの認知が進んでいないほか、ディーラーが前向きに取り組めない事情があるからだ。

OSSは、1月から本格稼動したが、自販連によると、3月までの累計登録件数は313件。新年度になっても、4月の登録実績は、わずか23台(ユーザーによる申請を含めても26件)と、対象地域の登録全体(4月は24万2000台)の0.1%にも満たない状況にある。
サービス開始から4ヶ月が経過して、徐々に件数が増えていかなければならない時期だが、ペースはむしろ下がっている状況。システムの構築に多額の費用をかけているにも関わらず、このような状況になっていることに、関係省庁や自販連も対応に迫られている。


OSSはユーザーが公的個人認証サービス電子証明書(ICカード)付きの住基カードを保有していることが条件。このため、同カードの普及が遅々として進んでいない状況下では、OSSも当然、ある程度の苦戦は予想された。しかし、これほどまでに厳しい状況は、予想以上と言える。

ここまで利用が進んでいない背景には、ディーラー自身が消極的にならざるを得ない理由がある。OSSは、登録手続きのために役所や警察署に担当者が出向く必要がなくなる。このため、ディーラーは、コストが下がった分の代行手数料を、ユーザーに還元しなければならない。ユーザーにとっては、新車購入時の代行手数料が安く済むことと、新車が早く手元に届くことがOSSのメリットだ。だが、ディーラーにとっては収益の減少につながるため、OSSを積極的に推進することが難しい。

自販連によると、代行手数料の割引幅は、おおよそ2割程度とされる。通常1台あたりの代行手数料が3万円とすると、単純計算で6000円の減収になる。いくら役所などに出向く手間が減るといっても、この減収はディーラーには痛い。
また、オンライン申請といっても、慣れるまでには、データ入力などにそれなりの時間を要する。従来の紙の申請もできるため、ディーラーが会社全体でOSSに前向きに取り組んでいるとか、セールス担当者がよほど、オンライン申請に興味を持っていないと、なかなかユーザーにOSSを勧めることがないという。

ユーザーへのOSSの認知もほとんど進んでいないといっていい。電子政府構想を推進する政府は、テレビや新聞を使い、関係省庁がもっとOSSを宣伝すべきだが、ほとんどそうした取り組みがなされていないのが実態だ。

肝心の住基カードの発行態勢も、自治体によってまちまち。発行手数料が自治体によってはかなり高かったり、申請当日にカードを受け取ることができない自治体もあるという。そもそも、日常生活での利便性があまりあるとは思えない住基カードを、自動車を買うためだけに、わざわざ役所に出向いて取得するというのも、ユーザーの立場から見れば意見が分かれるところだろう。

OSSは順調にスタートを切ったとは言えないが、OSSを活用したことのあるディーラーは、オンライン申請によって確実に業務が効率化しているとも言う。市場が頭打ちの新車販売業界において、長い目で見るとオンライン申請は必要との声も聞かれる。OSSは08年までには、軽の登録(届出)や継続検査などにも適用されることになっている。住基カードがどこまで普及するかが成否の分かれ目だ。