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自動車メーカーがカーシェアに続々参入


自動車メーカーがカーシェアに続々参入

 車を所有せずに利用する共同利用型サービスへの取り組みを自動車メーカーが強化している。トヨタ自動車が新会社「トヨタモビリティサービス」を4月に設立するのをはじめ、日産自動車とホンダがそれぞれカーシェア事業を開始した。スマートフォン(スマホ)の普及と情報通信技術の進化により、様々なものをシェアする経済(シェアリングエコノミー)が車にも広がるのではないか、との見通しがあり、メーカーも自ら実証実験や事業に参入する背景には、こうしたシェアリングエコノミーが車にどう広がるのか、その需要動向を探る狙いがあるとみられる。

シェアリングエコノミー

政府CIOより転載

 トヨタは2016年に「モビリティサービスプラットフォーム」(MSPF)の構築を発表し、スマホでドアを開閉できるシステム「スマートキーボックス」(SKB)を開発。17年1月に米サンフランシスコ、7月にハワイ州でカーシェアリングの実証実験を始めた。12月末には東京と札幌のレンタリース店でも開始し、無人でのレンタカー貸し出しなどを行う。

「モビリティサービスプラットフォーム」(MSPF)の構築

 新会社、トヨタモビリティサービスはトヨタフリートリーストヨタレンタリース東京を統合して発足するもので、従来の法人向けリースに加え、カーシェアリングなど新たなモビリティサービスに取り組むことを目的にしている。
 ホンダはレンタカーの長時間利用を前提に、カーシェアリングサービスのように無人ステーションで車を借りられる新サービス「エブリ・ゴー」を17年東京・横浜・大阪で開始した。 エブリ・ゴー 同社はこれまで「ホンダカーズ・スムーズレンタカー」の名称でーシェアリングの実証実験を行ってきた。エブリ・ゴーは8時間以上の利用を基本に、気軽に借り出せるカーシェアリングの利便を兼ね備えた新サービスとして展開する。IC運転免許証を会員証代わりに活用することで会員証を不要としたことも特徴で、専用機器にIC運転免許証をタッチするだけでドアを開錠できるようにした。
日産e‐シェアモビ  日産自動車はカーシェアリングサービス「日産e‐シェアモビ」を18年1月から開始した。15分200円の短時間利用から夜間での利用など多様な料金パックを用意。ホンダと同様に、運転免許証を会員カードとして利用する。貸し出す車両は新型「リーフ」と「ノートe‐パワー」の2車種。新車の魅力を知ってもらい、日産ディーラーに誘引する狙いもある。
 メーカーがカーシェアリングサービスの実証実験や事業化に力を入れている背景には、スマホの普及により、同サービスの利用者が増えるのではないか、との見通しがある。いつでもどこでもウェブサイトで予約し、無人ステーションで何時でも何時間でも利用できることは、税金や保険、駐車場代など車の保有コストの高さを嫌う消費者には魅力だ。もう一つは、車の販売が減少するのではないかとの懸念があることだ。今まで車を持っていた人が所有をやめ、共同利用に移行すれば、当然、車の販売台数は減る。それを見越して、消費者の動向を把握しておく狙いがあると見られる。
 カーシェアリングサービスはオリックス自動車の「オリックスカーシェア」や三井不動産リアルティの「カレコ」、パーク24の「タイムズプラス」があるが、シェア1位はタイムズプラスだ。主力事業のコインパーキングの一角をカーシェア用に活用して成功した。車は必ず保管場所が必要であり、コインパーキング事業との相性が良かったと見られる。
 利用者の立場に立ってみると、カーシェアは高い保有コスト負担することなく、車を利用できる良さがある。それ自体はレンタカーと同じだが、無人ステーションで貸し借りするので、夜中の借り出しや返却も可能だ。ただ、需要が集中する土日の昼間などの時間帯は予約しようとしても空車がないことが多い。そう考えると、カーシェア(公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団2016年3月調査=わが国のカーシェアリング車両ステーション数10,810カ所(前年比14%増)、車両台数19,717台(同20%増)、会員数846,240人(同24%増))によって所有から使用へと、車の使い方を即変えるかというと、一概にそうとは言えない。
 言うまでもないが、車が足である地方は、引き続きマイカーが中心と見られている。カーシェアはむしろ、車を持っていない都市部の人に車を運転する機会を提供できるという効果がある。メーカーもどちらかというと、ディーラーと縁がない人に最新の車を試乗してもらえる機会と捉えている面がある。
 カーシェアを本格的に事業としていくのか、それとも新車を売るための一つの手段としていくのか、「まだ、その判断はつかない」(日産)と、メーカー自身もまさしく実験的に取り組んでいる。益々加速する情報通信技術の進化が車の使い方をどう変えるのか。そこにメーカーはどう対応していくのか、その模索が始まったところだ。