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トヨタが定額乗り換え放題サービスに参入。その狙いは?


トヨタが定額乗り換え放題サービスに参入。その狙いは?

 トヨタ自動車が、毎月一定額を支払えば、好きなだけ車種を乗り換えらえる定額乗り換え放題サービス「KINTO」を導入すると発表した。個人向けリースの派生版と言えるもので、欧米ブランドが導入している。11月1日に名古屋市で開催したトヨタ販売店代表者会議で発表した。同時にカーシェアリングへの本格参入も表明。「所有から利用へ」の流れに対応するため、トヨタは新たな施策を相次ぎ導入する。
 代表者会議でトヨタは、2022〜25年までにトヨタ、トヨペット、カローラ、ネッツの4チャンネルでの全車種併売化を発表した。すでに一部ディーラーの幹部には伝えられ、報道も出ていたが、この日に正式に発表した。トヨタはこれまでもチャンネル別の専売車種を順次、減らしてきた。一方、チャンネルを維持し、一定割合の専売車は残す方針だった。全車種併売によってチャンネルの特色がなくなることは大きな方針転換だ。
 ディーラーには「チャンスが広がる」という前向きな見方がある一方、「競争が激しくなり、勝ち負けがはっきりする」と危機感を持って受け止める向きもある。ただ、国内市場の縮小傾向を背景にディーラーは概ね納得している。これまでと大きく異なるのは、自動運転、コネクテッド、シェアリング、電動化のいわゆる「CASE」をめぐる競争が激しくなる中で、「車を造る会社からモビリティサービスの会社になる」という豊田章男社長のトップダウンの方針を呑まざるを得ない、という状況もあったようだ。
 トヨタの国内販売の行方を予想する上でモデルケースとなるのが東京での取り組みだ。法人需要が多く、所有から利用へという流れが一番加速するとみる東京都区部をテリトリーとする東京トヨタ、東京トヨペット、トヨタ東京カローラ、ネッツトヨタ東京の直営4販社を2019年4月に統合する。新会社の社名は「トヨタモビリティ東京」とし、発足と同時に、全ての店舗で全車種を取り扱う体制に切り替える。チャンネル別のマークは順次、グローバルで使用しているトヨタのロゴマークに統一する。  トヨタにとって、販売政策の大きな転換となる全車種併売とチャンネル統合が東京区部でスタートすることになる。
 そもそも販売チャンネルを複数持つのは、効率的にシェアを拡大するためだ。チャンネル別の専売車種を設定することで、販売店どうしを競合させずにシェアを上げることができる。しかし、市場が縮小する局面では、1車種あたりの販売台数は徐々に減少し、車種開発のコストがかさむようになる。日産自動車やホンダ、マツダ、三菱自動車は1990年代後半から2000年代前半にかけて、すでに1チャンネルに移行している。
 トヨタは4チャンネルについて、全国レベルでは現状を維持するとしている。チャンネルは地域に根付いている、としているが、全車種併売化になれば、複数チャンネルの意味はなくなる。トヨタ社内の組織体制も、すでにチャンネル別の組織はない。東京に続いて、他の地域でもチャンネルの統合が進むことが考えらえる。
 全車種併売化とともに、新たに導入するのがカーシェアリングと定額乗り換え放題サービだ。カーシェアリングは販売店の試乗車を活用するもので、店舗やレンタカーの拠点をカーステーションとして活用する。パーク24などがコインパーキングなどを利用して、不特定多数のユーザーを対象に展開するサービスとは異なり、主にトヨタ車ユーザーへのサービスになるものと見られる。
 一方、定額乗り換え放題サービスは、個人向けリースの派生版と言えるもので、毎月一定の金額を払えば、リース期間中に何度でも車種を換えられるというものだ。高級車をいろいろ乗りたい人のためのサービスと言われており、欧米ブランドが導入している。ただし、利用額が月額20万円以上となるなど、一般の消費者には手が届きにくいサービスだ。トヨタでもトヨタブランドだけでなく、レクサスブランドも含めたメニューとすることが予想され、その場合、利用額は月額20万円以上になるとみられる。レクサスユーザーの数は限られており、サービスの利用が広がるのか、ディーラーは懐疑的だ。
 豊田社長は、トヨタの競争相手はもはや自動車メーカーではなく、ライドシェアやカーシェアを展開するIT業界だとして、トヨタ自身がモビリティサービスの会社になる方針を掲げている。それを裏付けるように、海外でウーバー・テクノロジーズなどの配車大手に出資。9月にはウーバーなど配車大手の筆頭株主になっているソフトバンクグループと提携した。
 トヨタは全車種併売化しても、年間150万台の国内販売を維持するとしている。販売台数は120万台まで減少すると見るが、残る30万台を新たなモビリティサービスで補完するという。モビリティのサービス化、いわゆる「MaaS」でも国内5000店のネットワークを活用し、現在のシェアを獲得する戦略のようだ。