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コロナの影響 いつまで?


コロナの影響 いつまで?

 不要不急の外出自粛要請や自動車メーカーの一時生産休止によって、4月に急落した国内の新車販売。予想された通り5月は前年同月比44.9%減とさらに減少幅が拡大し、東日本大震災直後の2011年4月のマイナス幅(47.3%減)に次ぐ落ち込みとなった。6月に入り徐々に経済・社会活動が戻りつつあるが、今後は景気低迷による需要減少も懸念される。その一方、感染防止のためマイカーの価値が見直される気運もあり、コロナ後の車の需要動向に関心が集まっている。

世界保健機関(WHO) が3月11日、新型コロナウイルスの パンデミック(世界的な大流行) を宣言してから3カ月あまり。多数の感染者、死亡者を出した欧米では感染の第一波のピークを過ぎ、社会・経済活動が再開され始めた。日本でも4月7日に7都府県に緊急事態宣言が出されてから約1カ月半。5月25日には同宣言が全面解除され、街中に人が戻り始めている。

こうした中で、日本自動車販売協会連合会(自販連)全国軽自動車協会連合会(全軽自協) が6月1日に発表した5月の新車販売台数は21万8285台と前年同月に比べ44.9%の減少となった。4月の28.6%減から、さらにマイナス幅が拡大したもので、大型連休を挟んだ外出自粛要請によって客足が激減したことが大きく影響したものとみられる。中古車の登録も同18%減と2桁のマイナスとなった。

5月の 新車販売で特に新型コロナウイルスの影響が大きく出たのが軽自動車だ。登録車が前年同月比40.2%減だったのに対し、軽は同52.7%減と5割以上のマイナスだった。海外からの部品調達の遅れが影響しているもので、 メーカー別 ではスズキが同55.4%減、ダイハツ工業が同59.9%減、ホンダが同47.6%減と、スズキ、ダイハツの落ち込みが特に大きい。

輸入車も例外ではない。6月5日に日本自動車輸入組合(JAIA) が発表した5月の外国メーカー車の新規登録台数は1万2522台と前年同月に比べ46.4%減少し、過去最低だった4月の36.9%減からさらに減少幅が拡大した。ブランド別ではメルセデス・ベンツが同40.7%減、BMWが同53.9%減、フォルクスワーゲンが同57.4%と主要ブランドが4〜6割弱の落ち込みとなった。

国内自動車メーカーの生産は徐々に再開され始めているとはいえ、コロナ前のペースからはほど遠い。依然として海外からの部品調達がネックになっているからだ。グローバルなサプライチェーンを構築している自動車産業にとって、全世界に広がったコロナ禍は部品の代替調達も難しくしており、供給面での新たな課題に直面している。部品の供給状態をみながらの不安定な生産がしばらく続くとみられ、メーカーは正常化の見通しを立てにくい状況が続いている。

正常化の時期はいつなのか。それを予測する目安として注目されていたメーカー各社の決算も、今期見通しを正式に示したのはトヨタ自動車いすゞ自動車 だけだった。トヨタは情勢が不透明ななかでも、取引先に対しあえて「基準」を示す必要性があると判断したとし、世界の連結販売台数は前年同期比22%減の700万台、売上高は同19.8%減の24兆円、営業利益は同79.5%減の5千億円という見通しを発表した。

もっとも、トヨタが一番言いたかったのは、連結販売700万台で5千億円の利益が出る筋肉質の企業体質になったということだ。リーマンショック直後の2009年3月期は15%減の756万台で赤字に転落したが、固定費削減などの体質改革を進めて体質が強化されたことで黒字にできるようになったと強調した。

併せてトヨタは回復ペースのイメージとして、4〜6月期に前年同期比6割、7〜9月期に8割、10〜12月期に9割、そして年末から年明けにかけて前年並みに戻るという見通しを示した。

トヨタはこの数字を底として順次、上方修正を図っていくものとみられるが、少なくとも、 決算発表時点(5月11日) の段階では、リーマンショック時よりも台数見通しは厳しいということになる。

コロナ禍で強い逆風に見舞われている自動車産業だが、わずかにプラス面もある。それは、ウイルスへの感染を避けるため、移動手段として車を保有する、すなわちマイカーを持つことの価値が見直されているということだ。

言うまでもなく、新型コロナウイルスは終息したわけではなく、これから感染拡大の第2波、第3波が到来することが予想されている。密閉・密集・密接のいわゆる「3密」を避けて移動するためには、電車・バスなどの公共交通機関を利用せず、マイカーで移動する方が安全だと考える人が増えていることが、各種の調査 (螢妊襯侫ス調査) で明らかになっている。

マイカー保有の動きが実際の購買行動になって表れるのかどうかはこれから注視する必要があるが、少なくともコロナ以前の自動車業界は「保有から利用へ」の流れに対応しようと、カーシェアリングやサブスクリプション(定額利用)といった新たな車利用の形を模索してきた。どんな形であれ、マイカーに関心が向いていることは良いニュースと言える。

マイカー保有を促すもう一つのファクターとして、在宅勤務の定着化がある。緊急事態宣言解除後も在宅勤務制度を続けるという企業は多く、在宅の良さを知った社員が生活費の安い地方に移住する事例も増えてくるとみられている。そうなれば生活の足としてマイカーが必要になる。

その一方で、外出自粛というかつてない経験を経た人々が、自宅にいながらにしてモノやサービスを受け取れる状態をあえて望むことで、人の移動そのものが減少するという予測もある。この動きが加速すればマイカーではなく、商用車の需要が増すだろう。

いずれにせよ、コロナが強いた行動様式・生活様式の変化を自動車も受けることになる。自動車産業は CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化) という大変革の潮流の中にある。コロナという新たなファクターが入り込んだことにより車の価値がどう変わっていくのかという視点も欠かせないようだ。