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ホンダが自動運転「レベル3」の型式認証を世界で初めて取得


ホンダが自動運転「レベル3」の型式認証を世界で初めて取得

ホンダ は自動運行装置「 トラフィック・ジャム・パイロット 」が自動運転の「レベル3」(条件付き自動運転)の型式指定を国土交通省から取得したと発表した。

レベル3の指定は世界初で、ホンダは同装置を「レジェンド 」に搭載し、2020年度内に発売する計画だ。日本では世界に先んじて自動運転を実用化することを目指し、官民が協力し、20年の高速道路での実用化を目指してきた。4月には道路交通法、道路運送車両法上の規定が整い、レベル3の市場導入が可能になっていた。

自動運転のレベルは、米自動車技術会(SAE)が「レベルゼロ」(運転自動化なし)から「レベル5」(完全自動運転)の6段階を定義し、日本でもこれが採用されている(国交省の自動運転のレベル分け)。それによると、緊急自動ブレーキ、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)、レーンキープアシスト(LKAS)といった運転支援機能がそれぞれ単体で働くものを「レべル1」(運転支援)とし、レベル1の運転支援機能を組み合わせたものが「レベル2」(部分運転自動化)となる。

レベル2では、例えばACCとレーンキープアシストの組み合わせなどがそれに相当する。遅い車を自動で追い越したり、高速道路の分合流を自動で行ったりする機能は、高機能なレベル2とされている。ここまでは運転者が運転するものと定義されており、国内外の自動車メーカーがすでに市販モデルを発売している。日産の「プロパイロット2・0」やスバルの「アイサイトX」は、高機能なレベル2に相当する。

ホンダが型式指定を取得したレベル3は、運転者に代わってシステムが運転を担う領域に入る。システムの作動が困難になった場合は運転者が運転を担う必要があり、システムから運転者への安全な権限移譲を行うためのドライバーモニタリングシステムの搭載が、国交省が定めた「 自動運行装置の保安基準 」に規定されている。安全に運転が引き継がれない場合に備え、車を安全に停止させる機能も備える必要がある。システムから運転者への権限移譲をスムーズに行えるかどうかについては、リラックスした状態からすぐに運転を交代できるのか、といったドライバー側の対応力も求められることから、レベル3の市販化には慎重なメーカーも多い。

とはいえ、レベル3は政府が旗振り役となって、開発を推進してきた。内閣の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)が決定した「 官民ITS構想ロードマップ 」では、自家用車について、20年に高速道路でのレベル3の市場化、25〜26年に「レベル4」(特定条件下での完全自動運転)の市場化を目指すとされている。このロードマップに沿って、国交省と警察庁が道路運送車両法と道路交通法の一部を改正し、それぞれ今年4月に施行した。

実はレベル3の自動運転車の市販化は、独アウディが先行するとみられていた。2017年に発売した新型「 A8 」に、レベル3の機能を搭載すると発表していたからだ。 しかし、レベル3の走行を可能にするための法制度が当時は欧州のみならず、日本でも整っておらず、アウディのレベル3車両が公道を走行することはできなかった。

ホンダは17年のメディア向け技術発表会、ホンダミーティングで20年に高速道路での自動運転を実用化するとともに、25年にはレベル4の技術を確立すると宣言した。国交省や警察庁もロードマップに沿い、制度を整備してきた。日本メーカーが世界初のレベル3の称号を得たのは、自動運転分野で日本が世界をリードしたいという政府の方針とホンダとが足並みを揃えて実現したと言える。

ホンダがレジェンドに搭載する自動運行装置は、カメラ、レーダー、 LiDAR(光による画像認識・測距システム) といった外界認識センサー、 高精度地図 GNSS(全球測位衛星システム) 、ドライバーモニタリングカメラ、サイバーセキュリティー、ソフトウエアアップデート、作動状態記録装置−で構成される。また、いざという時のための電源、ステアリング、ブレーキの冗長化システムも搭載されている。

これだけのコストをかけても、システムが作動する条件は高速道路など自動車専用道路で、一定の天候要件を満たした場合の渋滞時のみとなる。公道での自動運転はそれだけ高度だということだ。

他メーカーでは、レベル2の高度化、すなわち「ハンズオフ」機能を搭載する例が増えている。日本では19年夏以降、 BMWがハンズオフ機能 の搭載を始めたほか、日産自動車も「 スカイライン」にプロパイロット2・0 、今年はスバルが新型「レヴォーグ」に アイサイトX を搭載する。トヨタは今冬に発売を予定するレクサス「LS」の一部改良車に運転支援機能「 レクサス・チームメイト 」を搭載する。これも運転者の前方注視が必要なレベル2と位置付けられる見通しだ。

レベル3ではハンズオフに加え、システムが外界を監視することによって、ドライバーの「アイズオフ」が可能になる。ホンダがレベル3を発表したことで、各社が今後、どのような動きに出るのか、その戦略も注目される。




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