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トヨタ販社で不正車検が相次ぎ発覚 販社表彰制度を見直しへ


トヨタ販社で不正車検が相次ぎ発覚 販社表彰制度を見直しへ

トヨタ自動車の系列ディーラーで相次いで不正車検が見つかった。まず中部運輸局の監査で愛知県豊橋市の店舗の不正が判明。続いてトヨタが行った自主調査で全国11社12店舗での不正車検が行われていたことが分かった。対象台数は累計6503台に上り、国交省は台数が多く特に問題の大きい愛知、東京、山梨の3店舗に対し指定自動車整備事業(指定工場)の指定を取り消す処分を行った。トヨタは毎年実施している販売店表彰制度が不正を助長したと判断し、同制度を見直す方針だ。

 最初に不正が発覚したのはネッツ愛知 (名古屋市昭和区)プラザ豊橋(愛知県豊橋市)だった。一部検査の未実施、指定整備記録簿への虚偽記載など道路運送車両法に違反する行為を行っていたという。対象台数は2018年12月22日〜21年1月13日までの約2年間で5158台に上る。中部運輸局は3月30日付で同店舗への指定工場の取り消しと、自動車検査員7人の解任命令を出した。同店舗には8月、愛知県警が家宅捜索に入っている。

プラザ豊橋の不正車検を踏まえ、トヨタは全国のディーラーを対象に、同じような問題がないかを調査。その結果、トヨタ直営ディーラーである トヨタモビリティ東京 (東京都港区)でも不正が判明。しかも、こともあろうに高級ブランド、レクサスの旗艦店である「レクサス高輪」で行われていたという。対象台数は2年間で517台とプラザ豊橋より規模は小さいものの、レクサスブランドの国内第一号店として全国のモデル店となってきた店舗だけに、ブランドを大きく傷つけた。

さらに、ネッツ山梨 の本社セイリア店(山梨県甲府市)でも260台での不正が判明。結局、トヨタの自主調査の結果、11社12店舗で、合計1345台に対し不正な車検が行われていたことが分かった。国交省はプラザ豊橋に続き、レクサス高輪とネッツ山梨本社セイリア店に対しても指定工場の取り消し処分を発表した。加えて、トヨタモビリティ東京江戸川瑞江店、カローラ山口安岡店、広島トヨタ広店、鳥取トヨペット米子店、カローラ愛媛沖縄トヨタ 宮古店の合計6店舗に、それぞれ一定期間の保安基準適合証の交付停止処分を行った。

 国内で圧倒的な市場シェアを誇り、盤石な販売・サービス網を築くトヨタ陣営でこれだけの規模の不正が判明したのは恐らく初めてだ。なぜこのようなことになったのか。

オンラインで会見した トヨタの佐藤康彦 国内販売事業本部長は、「とにかく予約を取る営業、それに対してものが言えず、必死でこなすだけのサービス現場。そして営業とサービスの間で十分なコミュニケーションが取れていなかった」と説明。車検の標準時間が不明確なこと、サービス現場の困りごとや悩み事を相談する窓口もなかったことが現場を追い詰めたという。

 こうした状況を背景に、ー屬猟柑匯任い筌罅璽供爾悗硫拱降ろしなどのお願いが出来ていなかった¬槁乎成へ残業前提で多くの予約を受け付けていた車種・年式・車の状態に関わらず一律の時間を組んでいた―など、悪循環を生んでいたという。

およそトヨタディーラーとは思えない状況になっていたわけだが、ここまでサービス現場を追い込んだ原因はどこにあるのか。佐藤氏は、トヨタが毎年実施している販売店表彰制度がこうした状態を助長する要因になっていたとの認識を示した。

表彰制度はどこのメーカーにもあり、販売台数をはじめとした指標によって優秀販売店を表彰している。この制度によって、販売店の経営が「営業成績重視、目標達成型のマネジメントになり、現場に無理をさせていた。現場の声や実態を把握せず現場任せにしていた」(佐藤氏)という。メーカーとしても「店へのサポートが不十分だった」(佐藤氏)と責任の一端を認めた。

改善策としてトヨタは、車検標準作業手順書のひな型や作成ツールの配布、教育コンテンツの提供、工場現場の社員の派遣、工場現場での店舗マネジメント研修など、「 トヨタ生産方式 」(TPS)に基づいた改善活動・販売店支援を行うという。

さらに、販売店との向き合い方・制度の見直しも行う。全国一律の方針・目標管理から一つずつの店舗の困りごとをベースにした働き方を見直し、販売店表彰制度、販売店契約を見直す。トヨタは毎年1月下旬に販売店代表者会議を開き、ここで販売店を表彰している。表彰の在り方について、販社に近々説明が行われるとみられる。販売店契約をどう見直すのかも注目されるところだ。

トヨタは20年5月に全チャンネル全車種併売に移行した。4千店以上に上る全ての店舗が同じ車種を扱うことになり、販売店間の競争は激しくなっている。販社間の行き過ぎた競争が車検の不正を招いた可能性もあり、トヨタは販売政策のさらなる見直しを迫られることになりそうだ。