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トヨタがEV導入計画を上方修正 日本もいよいよEV時代に突入か?


トヨタがEV導入計画を上方修正 日本もいよいよEV時代に突入か?

 2021年12月、 トヨタ自動車が電気自動車(EV)の導入計画 を上方修正して発表し、大きな話題を呼んだ。従来、EVと燃料電池車(FCV)を合わせて30年に200万台としていた計画を350万台へ7割、上方修正したほか、30年までの電池への投資額も従来の1.5兆円から2兆円に5千億円上乗せした。「トヨタがようやくEVに本腰を入れる」との世間の評価だ。トヨタが本気になったことで、日本もEV時代に突入するのだろうか?

 トヨタは21年5月に30年にHV、プラグインハイブリッド車(PHV)を含む電動車の販売を世界で800万台とし、このうち200万台をEV・FCVのゼロエミッション車とする方針を発表していた。電池の開発や製造には同年までに1.5兆円を投じる計画も公表していた。今回、これを半年余りで大幅修正することになったのは、世界的にEV化の流れが加速しているためだ。

東京・お台場の総合展示施設、メガウェブ(21年12月末に営業終了)で発表会に臨んだ豊田章男社長は、「世の中やお客さまの動向が分かった時点で素早く追随していく」と話し、EVへのニーズが欧州や中国を中心に高まっていることに対応した計画見直しであることを明かした。

 発表の中で特に注目されたのは、レクサス ブランドのEV専用化だ。30年までに100万台をEVとし、35年にはEV専用ブランドにする。欧州の高級ブランドでは、アウディがEV専用ブランド化の方針を示すなど、 テスラ の成功に対抗した戦略を打ち出すメーカーが相次いでいる。トヨタもこの流れに追随し、レクサスをHVからEVへと切り替える。

 EVの販売計画を大幅に修正したことにより、「トヨタはEVで後れている」という世間の評価は一旦、鳴りを潜めるとみられる。しかし、トヨタ流の「全方位戦略」は維持したままだ。豊田社長は「今は選択と集中というより、全てを一生懸命やらせていただく」と述べ、HV、PHV、内燃機関車も維持することを強調した。 

では国内市場でトヨタはEVをどれだけ売る方針なのか。トヨタはEV販売計画の地域別内訳を明らかにしていない。ただ、EV最大市場の中国と欧州を合わせたトヨタの販売台数は、コロナ前の19年で約270万台。これに、EV専用ブランドに変更するレクサスを加えると、350万台を上回る計算になる。こうしたことを踏まえると、国内ではレクサスはEV化しても、トヨタブランドでは依然としてHVが大半を占める商品戦略を練っているとみられる。

日本ではEV市場がどれだけ成長するのか不透明だ。日産自動車 の「リーフ」は10年前に投入したにも関わらず、思うように販売を増やせなかった。21年はホンダマツダ もEVを発売したものの、4〜9月のEV販売台数は輸入車を含めた市場全体で1万台余り。新車販売に占めるEVの割合は0.5%とわずかだ。しかも、半分はテスラなど輸入車が占め、国内メーカー車は苦戦している。

日本政府は50年のカーボンニュートラル実現に向け、35年に乗用車の新車販売の全てを「電動車」とする方針を示しているが、欧州とは異なり、そこにはHVも含まれている。しかも、軽自動車に配慮し、モーターを補助的に使うマイルドHVも認められている。それを踏まえると、国内では35年の段階でもHVが主流になっている可能性が高い。

政府が21年6月に策定した「グリーン成長戦略」の「自動車・電池戦略」は、豊田氏が会長を務める日本自動車工業会の要望を踏まえたものになっているという。HVを維持したいトヨタの意志が色濃く反映されていることは明らかだ。ただ、いつまでもHVにこだわれば、国内市場が「ガラパゴス化」してしまうという指摘もある。 そうならないために、政府はEV用電池の生産や開発、充電インフラの整備を強化する方針を打ち出している。

また22年はトヨタがSUVタイプのEV「bZ4X 」を、スバルは同じプラットフォームを使った「ソルテラ」を発売する。日産もSUV「 アリア 」のほか、三菱自動車と共同開発した軽乗用EVを発売する予定だ。三菱自は軽商用車「 ミニキャブ・ミーブ 」の再販売も検討している。ホンダ、マツダに加え、トヨタ、日産などのEVがようやく出そろうことになる。

充電インフラの不足も指摘されているなかで、政府は購入補助金も大幅にアップして、EVの市場形成を支援する方針だ。先行する中国や欧州に対し、各新型車の売れ行きがどれくらいのものになるのか、 日本のEV市場を占う試金石になりそうだ。

 




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