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日野の排ガス・燃費不正、型式指定取り消しに


日野の排ガス・燃費不正、型式指定取り消しに

国土交通省は3月29日、日野自動車 のエンジンと車両の型式指定を取り消した。日野が4日に公表した 中・大型エンジンでの排ガス・燃費検査の不正行為 を踏まえた措置で、 型式指定の取り消し は、道路運送車両法に基づく同制度ができた1951年以来、初めてのことになる。型式の取り直しには数カ月かかるとみられ、生産や販売への影響が続くとみられる。

不正は北米向けエンジンの排ガス認証に関わる調査から発覚した。 国内向けエンジンにも調査対象を広げた結果、中型エンジン「NC04(HC―SCR)」で排ガス性能を偽っていたほか、 大型エンジン「A09C」「E13C」2機種では、燃費性能の測定で不正を行っていた。 またマイクロバスに搭載している小型エンジンでも、燃費に有利な測定や、複数回測定した結果のうち最も良い値を採用するといった不正行為を行っていた。

不正はいずれも意図的なものだ。中型エンジンでは排ガス性能の劣化耐久試験で基準に適合しない可能性を認識し、途中で第2マフラーを取り換えて試験を継続していた。大型エンジンでは、燃費測定装置の操作パネルで燃費流量校正値を燃費に有利に働くような数値を設定し、実際よりも良い燃費が表示されるようにしていたという。

一連の不正行為について国交省は行政処分を発表。中型エンジン「A05C」の型式指定を取り消すとともに、 同エンジンを搭載した「レンジャー」の型式および燃費評価を取り消した。また大型エンジン「A09C」「E13C」を搭載した大型トラック「プロフィア」、大型観光バス「セレガ」の型式指定と燃費評価も取り消した。 小型エンジン「N04C」を搭載したマイクロバス「コースター」「日野リエッセ供廚鮴渋い靴討い織肇茱深動車や、大型エンジン「A09C」搭載の大型観光バス「ガーラ」を製造していたいすゞ自動車にも、それぞれ型式指定と燃費評価を取り消す処分を行った。

今回の不正行為は大型車であったため、三菱自動車などによる過去の燃費不正とは異なり、世間の風当たりはそれほど大きくはない。そもそも半導体不足によって需要に供給が間に合っていないことや、新型コロナウイルスの感染拡大による外国人観光客の激減で観光バスの需要も大幅に減っている。

とはいえ、今回不正のあったエンジンを搭載した車両の販売台数は、合計で月間平均1879台(2021年度)、年間にすると2万2000台に上る。中・大型トラックは日野が国内市場シェア1位を堅持する主力製品だ。生産・販売の停止が長引くと、業績への影響も無視できない。

日野は行政処分が出た29日、22年3月期の業績予想を修正した。車両の出荷停止による影響で、売上高を従来予想の1兆4600億円から1兆4200億円に、営業利益を540億円から320億円にそれぞれ下方修正した。加えて、北米での補償や国内でのリコールための費用、税制優遇追加納付費用などで合計680億円の特別損失を計上し、最終損益が従来予想の150億円の黒字から540億円の赤字となる。同期は東南アジアなどの海外販売が復調していたが、不正行為が足を引っ張る形になる。

23年3月期も影響を避けられない見通しだ。日野は型式指定を取り直す方針だが、通常でも型式指定の取得には2カ月程度かかるという。今回は不正が背景にあり、さらに時間を要する可能性がある。型式取り消しとなった機種は、日野の普通トラック販売の6割、小型トラックを含めた国内販売全体の3割を占める。生産停止が長引くと影響は大きい。少なくとも、23年3月期第1四半期(4〜6月)は、売上高・利益とも大幅な減少を覚悟する必要がある。

日野にはトヨタから長年、社長が送り込まれている。現在会長の下義生氏は久しぶりの生え抜き社長だったが、21年に小木曽聡社長が就任し、再びトヨタ出身者が経営を担う形になった。今回の不正発覚を受け、トヨタが今後、どう動くかも注視する必要がありそうだ。