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排ガス不正の日野、出荷再開未定で今期見通し出せず


排ガス不正の日野、出荷再開未定で今期見通し出せず

 排ガス・燃費不正で一部車種の型式指定取り消し処分を受けた日野自動車 の2022年3月期決算は、最終損失が847億円と過去最大の赤字となった。型式指定の取り直しの時期が見通せず、23年3月の業績見通しも開示できなかった。生産再開時期が延びれば、仕入れ先などへの補償費用の負担が増える可能性もあり、業績はさらに悪化する恐れがある。下義生会長は退任を発表しており、今後、親会社トヨタ自動車の対応も注目される。

 日野が4月27日に発表した 22年3月期決算 は、売上高が1兆4597億円、営業利益が338億円、当期純損益が847億円の損失(前期は75億円の損失)だった。同期から会計基準を変更したため、前期との正確な比較は公表しなかったが、最終損失は3月25日時点の予想540億円から307億円拡大した。23年3月期の業績悪化を見越して繰延税金資産を取り崩したことによるものだ。

 同期の世界販売台数は15万6473台と前期を9.7%上回った。海外が同18.6%増の9万8315台だったことによるもので、北米を除き増加した。国内は半導体など部品不足で商品の供給が滞り、同2.5%減の5万8158台だった。トヨタ向けビジネスも増加し、営業利益は前年同期の123億円(旧会計基準)から増加した。

一方、当期最終損益は、3月4日に発覚した中・大型車での排ガス・燃費不正に伴う認証費用、税制優遇追加納付、北米エンジンに関する補償費用、繰延税金資産の取り崩しにより、847億円の赤字になり、期末配当は無配とした。

日野は中・大型エンジンの一部で排ガス・燃費性能の測定に不正があったことを発表。さらに25日には小型エンジンの一部機種でも燃費測定の不正を行っていたとあ明らかにし、それぞれ生産を止めている。出荷再開がいつになるのか、今期の見通しが注目されたが、「現時点で出荷再開の時期が未定」とし、業績予想を開示しなかった。不正のあったエンジンを搭載した機種は日野の国内販売全体の3割を占めており、生産停止が長引けば業績への影響が大きくなる。半導体不足により、もともと納期が遅れていたとはいえ、さらに納入が遅れれば、顧客が他ブランドに移る可能性も出てくる。部品の仕入れ先や販売会社、架装メーカーへの影響が大きくなる。

型式指定の再申請の時期について、オンラインで決算会見に臨んだ小木曽聡社長は、「型式指定の取り消しは前例がない重大な事案であり、われわれがこう考えていると説明することは控えたい」と述べた。また不正の原因などを調査する特別調査委員会の報告書の提出時期についても「調査委員会は独立している。徹底して調査してもらう」として言及しなかった。

不正の原因や責任の所在も明らかになっていない段階だが、同社は定時株主総会を開催する6月23日付で下義生会長(63)が退任する人事を発表した。下氏は2017年に16年ぶりの生え抜き社長となり、21年にトヨタ出身の小木曽氏に社長を譲っていた。下氏の退任について日野は当初、「任期満了のため」と説明していた。決算会見で小木曽氏は「引責ではない。本人から、今回の事案を鑑みると株主の理解を得られないだろうと申し入れがあった」としたが、事実上の引責とみられる。

下氏の後任として、新たにトヨタから役員が派遣される可能性もある。トヨタは生産技術、調達といった分野から、日野に歴代、役員や社長を送り込んできたからだ。

2000年代前半に三菱ふそうトラック・バス が起こした品質問題では、ハブの破損によって外れたタイヤが歩行者を直撃し人命が失われる事故が起きた。組織ぐるみの隠ぺい体質が明るみになり、経営トップが逮捕されるなど、大きな事件に発展した。

今回の日野の不正は排ガスや燃費と、直接、人命に関わるものではない。しかし、他社の燃費不正事例が数年前にあったにも関わらず、それが生かされていなかった点で企業統治に甘さがったことは否定できない。

電動化などの気候変動対応、自動運転など、今後ますます技術力が問われる大型車業界の中で、日野がどう企業体質を改め組織を建て直していくのか。まずは一日も早く型式指定の取り直しを実現することが、関係企業への影響を最小限に抑えることにつながる。さらに、その後の信頼回復と経営の立て直しが経営陣にとって重い課題となる。

 




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