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国産EV相次ぎ投入 普及への起爆剤になるか?


国産EV相次ぎ投入 普及への起爆剤になるか?

トヨタ自動車スバル 日産自動車 三菱自動車 が5月、新型電気自動車(EV)をそれぞれ発表した。トヨタ、スバル、日産はSUVタイプのEVを、三菱自は日産とともに共同開発の軽乗用EVを国内市場に投入する。国産メーカーからこれだけの数のEVが同時期に発売されるのは初めてのことだ。新車販売に占めるEVシェアは1%未満の日本だが、徐々にEVへの関心は高まっており、需要がどう動くか注目される。

トヨタが発売したのはスバルと共同開発したEV専用プラットフォーム「eTNGA」を採用した「 bZ4X(ビーズィ―フォーエックス) 」だ。EV専用車「bZ」シリーズの第一弾で、元町工場で生産し、海外にも輸出する。71.4銑瓢のリチウムイオン電池(LIB)を搭載し、満充電での航続距 離を559銑辰箸靴拭 電池劣化に対するユーザーの不安を踏まえ、日本では売り切り型ではなく、個人向けリースの「KINTO(キント)」で取り扱う。初年度は3000台の契約を見込んでいる。

スバルはこのプラットフォームを使った初の量産型EV「 ソルテラ 」を発売した。bZ4Xと同じ容量の電池を搭載し、航続距離は567銑叩H稜篳法は通常の販売スタイルである売り切り型とし、初年度は月間150台の販売を計画している。いずれもトヨタの元町工場(愛知県豊田市)で生産する。

日産は「アリア」のベースグレード「 B6 」を発売した。66銑瓢のLIBを搭載し、航続距離は470銑叩2010年に発売した「 リーフ 」に比べ、車体サイズも電池容量も大幅に拡大し、長距離ドライブでも電池切れの不安を無くした。栃木工場(栃木県上三川町)で生産する。

最も注目されるのは、日産と三菱自が共同開発した軽乗用EV、日産「 サクラ」と三菱「 ekクロスEV 」だ。軽自動車開発の共同出資会社、NMKVで開発し、生産は三菱自の水島製作所(岡山県倉敷市)で行う。前述のSUV3車種は価格が500万円以上、bZ4Xは月額利用料が10万7800円(国の補助金を含めれば8万8220円)。一方、サクラとekクロスEVは軽ユーザーにも手の届くEVを目指し、電池搭載量を航続距離180銑段の20銑瓢としコストを抑制した。補助金込みの価格を100万円台後半とした。東京都の補助金も加えると130万円程度で購入できる。

軽のEVは三菱自が2009年に 他社に先駆け「 アイ・ミーブ 」を発売。航続距離は100銑団度、価格は400万円だった。これに対し新型車は、日産・三菱自の共同開発によってコストダウンを図った一方で航続距離を延長した。三菱自は販売計画を月間850台に設定した。

価格戦略が奏功したのか、予約受付開始からの3週間でサクラは1万1429台、ekクロスEVは3400台を受注した。三菱自は月販計画の4倍、日産は月販計画を公表していないが、「想定を上回る受注を獲得した」としている。価格に加え、昨今のガソリン高が追い風になった可能性もある。

日本は新車販売台数に占めるEVのシェアが極端に低い。 日本自動車販売協会連合会 全国軽自動車協会 によると、2021年度のEV販売台数は登録車、軽自動車合計で2万5016台と、乗用車全体に占める割合はわずか0.7%だった。登録車が大半を占め、リーフを販売している日産と外国車が半数ずつを占める。ホンダやマツダも量販EVを販売しているが、台数はわずかだ。

一方で、世界ではEVの販売が急速に増えている。 世界エネルギー機関 (IEA)がまとめた「IEAグローバルEVアウトルック」によると、EVの販売台数は前年比2.3倍の465万台に上った。全体の半数を占める中国での市場規模が同2.9倍の273万台に拡大した。米国も同2倍の46万台、欧州もドイツが同83%増の35万台となるなど主要各国で増加した。

新車市場に占めるEVのシェアは中国が16.0%、米国が4.6%、ドイツが26.0%などとなり、世界全体で8.6%に上昇した。いずれの国も、政府が環境対策と産業政策を結び付け、急速なEVシフトを図っていることが背景にある。

これに対し、日本はエンジンの改良やハイブリッド車によって燃費向上を進めてきた実績がある。政府も技術の多様性を重んじ、EVをそれほど強力に推し進めてこなかった。エネルギー部門の脱炭素化には太陽光など再生可能エネルギーによる発電割合を増やすことが必要になる。 変動の大きい再エネを利用するには蓄電池が欠かせない。価格を下げるためにもEVで早期に電池需要を高め、 コストダウンをしていく必要がある。国産EVが普及するかどうかは国のエネルギー戦略の上でも重視される。

EV普及の課題の一つには充電インフラの問題がある。日本も含め、欧州や米国でも、まだまだ公共の急速充電器が足りないことが指摘されている。利用者が少ない一方、初期投資が大きく、維持費もかかることから、なかなか広がらない。その点、街乗り中心の軽自動車の場合、自宅充電が基本になるとみられ、わざわざ給油所に行かずに済むことが利点になる。営業用や事業用など法人需要も高いとみられており、広く普及する可能性は以前よりも高まっている。ホンダやダイハツ、スズキも数年後に軽のEVを発売する計画で、日産、三菱自の売れ行きを注視している。