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エンジン不正が拡大 日野の再生の行方は?


エンジン不正が拡大 日野の再生の行方は?

 日野自動車 エンジン認証不正 が拡大した。同社は 8月2日、3月に公表 したエンジン認証に関わる不正行為が2003年の排ガス規制対応から行われていたと発表。さらに22日には小型トラックでも不正があったと発表し同日出荷停止にした。3月の公表時も含めた出荷停止車種は大型トラック・バス、中型トラック・バス、小型バスと、そして積載量2鼎両型トラック「デュトロ」と、国内販売のほぼ全車種に広がった。早期の出荷再開が待たれる日野だが、その時期がさらに遠のきそうだ。

 外部有識者で構成する特別調査委員会の調査報告や自社での検証の結果、不正の範囲が広がった。03年の新短期、05年新長期、09年ポスト新長期、16年ポスト・ポスト新長期の規制対応のためのエンジン性能試験だ。05年に導入された重量車燃費基準では主に大型エンジンの燃費を偽っていた。国土交通省が16年に全メーカーに指示した排ガス・燃費試験のチェックでも、不正があったのにも関わらずそれを隠し、不正はないとの虚偽の報告を行っていたことが分かった。

  国交省 は日野からの報告を受け、基準不適合車の速やかなリコールと企業体質の改善を指示。3日には日野本社(東京都日野市)への立ち入り検査を行った。 経済産業省 は事実関係の究明を指示するとともに、生産停止に伴うサプライヤーへの影響を調査し必要に応じて対応していくと発表した。

 不正なプロセスによって認証を取得したことが分かったエンジンは、現行生産エンジン14機種のうち12機種(産業用も含む)に及ぶ。日野車だけでなく、OEM(相手先ブランドによる生産)先のトヨタ自動車いすゞ自動車 、そして産業用エンジンの販売先である建機メーカーにも影響が広がっている。

 販売済みの車両台数は従来公表の11万8千台から56万6千台に拡大した。日野は不正のあったエンジンを搭載した車両の出荷を停止している。

 さらに、これまで不正はないとしていた小型トラックでも不正があったことが、国交省の立ち入り検査で判明した。排出ガスの劣化耐久試験で、決められた測定回数を守っていなかったという。

 現在、販売可能な製品はトヨタ製エンジンを搭載した積載量1.5鼎両型トラックと電気自動車「デュトロZ EV」、大型路線バス「ブルーリボン」、中型路線バス「レインボー」のみとなっている。

 日野の国内販売台数は21年度で5万8千台。このうち出荷停止となった車種が占める割合は、大中型トラック・バスだけで53%だったが、小型トラックが出荷停止となったことで、9割以上が出荷停止となった。世界販売に占める割合としては4割に上る。

 22年4〜6月期決算では国内販売が前年同期比26.6%減となり、営業利益は同73.3%減の43億円と大幅に減少した。出荷停止によるサプライヤーへの補償を20億円を計上したことにより、当期純利益は同88.6%減の7億円に落ち込んだ。出荷停止が長引けば、サプライヤーへの補償はさらに増え、業績への影響が大きくなることが予想される。

 より深刻なのはサプライヤーだ。日野はサプライヤーへの影響をできるだけ小さくするため、出荷再開時期が未定ながら、大型トラックの生産を再開している。しかし生産数量はわずかで、出荷停止が長引けば、中小企業や小規模事業者が多いサプライヤーの経営が困難になる恐れがある。

 販売店にとっても厳しい状況が続きそうだ。ただでさえ半導体不足の影響で顧客を待たせているところに不正問題が重なったことで、待ちきれない顧客が他ブランドに流れる可能性も出てくる。新車販売の減少は、後々、サービス収入にも跳ね返り、販売会社の収益に影響が出る。

 親会社のトヨタ自動車は25日、いすゞ自動車などとの商用車連合、コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT)から日野を除名すると発表した。豊田章男社長は「長期間にわたりエンジン認証における不正を続けてきた日野は、550万人の仲間として認めていただけない状況にある」とコメントした。

 CJPTはCASEに関わる商用車の課題を解決するため、豊田社長がいすゞと日野の仲介となり、トヨタ、いすゞ、日野の共同出資で21年に設立した。その後、ダイハツ工業、スズキも加わり、現在はトヨタが6割を出資し、4社が1割ずつ出資している。日野の出資分はトヨタが引き受け、連合は継続するという。日野が抜けることで、当初の構想は大幅に修正せざるをえなくなる。

 トヨタは01年に日野を子会社化してからというもの、現在の小木曽聡社長を含めトヨタは通算5人のトヨタ出身者を社長として日野に送り込んでいる。日野は独立した上場企業であるとはいえ、トヨタグループの一角を占めるメーカーであり、突き放すわけにはいかない。

 小木曽社長は2日の記者会見で、トヨタの豊田章男社長から「日野自動車が起こした不正行為は、すべてのステークホルダーの信頼を裏切るもので大変遺憾。報告書の内容をしっかりと拝見させてもらいたい」というメッセージを受け取ったことを明らかにした。小木曽氏は「トヨタとともにしっかり対応していきたい」と話していただけに、小型トラックでのさらなる不正発覚はトヨタをさらに激怒させたとみられる。

 日野は基準不適合の機種についてはリコールなどの市場措置を早急に取るとしている。基準には適合しているが認証プロセスに不正があった機種については、出荷再開に向け国交省の指示を待つとしているが再開の時期は不明だ。

 一方、再発防止のための企業改革として、今後3カ月をめどに管理監督体制の強化をはじめとした企業統治体制を取りまとめるという。日野の立て直しにはトヨタの意向が強く働くとみられる。1999年3月期に赤字に転落した日野を資金面、経営面で助けたトヨタ。そのトヨタが今回の問題にどう対処するのか。それが日野の命運を決めることになりそうだ。

 




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