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9月の新車販売、ようやく前年越え


9月の新車販売、ようやく前年越え

9月の新車販売台数(登録車、軽自動車の合計)が15カ月ぶりに前年同月を上回った。半導体の需給が少しずつ正常化に向かう兆しが見えてきた形だ。ただ、完全には元の状態に戻っていないうえ、24年ぶりの円安を背景に輸出が増える兆候もある。国内市場はこのまま回復に向かうのか。

日本自動車販売協会連合会(自販連)全国軽自動車協会連合会(全軽自協) が発表した9月の新車販売台数は、登録車が前年同月比17.8%増の24万2042台、軽自動車が同35.6%増の15万3121台となり、 合計では同24.1%増の39万5163台となった。単月の新車販売台数が前年同月を上回るのは2021年6月以来となる。登録車が前年を越えたのは13カ月ぶりだ。

新車販売台数は新型コロナウイルスが世界的にまん延し始めた2020年4月に前年同月比28.6%減と大幅な落ち込みとなり、以後、停滞が続いてきた。同年10月には消費増税の影響が一巡したことにより、13カ月ぶりのプラスに転じたものの、その後、半導体不足の影響が顕在化し、翌年の21年7月からマイナスに転じた。今年は半導体不足に加え、春には中国・上海市が感染拡大によりロックダウン(都市封鎖)に踏み切り、中国からの部品供給が停滞。夏にかけて国内メーカーの生産に影響が及んだ。

9月がプラスに転じたのは、上海のロックダウンの終了により、中国からの部品供給が正常化したことや、半導体の需給が緩んできたことによるものだ。コロナ禍による物流の混乱や半導体の供給は少しずつ改善する方向にあるとみられ、今後は生産が正常化していくことが予想される。そうなれば、長期化した納期が短縮し、新車販売が上向いていくことが期待される。代替えが進み中古車市場にも商品が出回るようになれば市場全体が活気づく。

だが、一本調子に販売が回復するかどうかは見通せない。半導体の需給が正常化しても、これまでの受注が積み上がっており、納期が正常化するまでには、まだ時間がかかるとみられるからだ。物価高の影響も懸念される。世界的なエネルギー価格の高騰と、24年ぶりの水準という円安が重なり、消費者の生活を圧迫している。支出を見直す人が増えれば、旺盛だった新車の購買意欲を失わせる恐れがある。

新車価格の引き上げも購買意欲を削ぎかねない。原材料価格の高騰によって、メーカーでは新車を値上げする動きも始まっている。マツダが「マツダ3」「CX−3」で、 三菱自動車 が「アウトランダーPHEV」「デリカD:5」「ミラージュ」の値上げに踏み切ったほか、 日産自動車 も電気自動車「リーフ」の価格改定を行う予定であるとし、9月22日以降の受注を停止している。今後、一部改良などのタイミングで価格転嫁が広がる可能性がある。

1ドル=145円という円安によって、日本からの自動車輸出が増える可能性も高い。自動車メーカーにとって、今の相場は同じ車を造るなら、国内で売るよりも輸出した方が儲かる相場だからだ。特に、原材料高で部品調達コストが大幅に膨らんでいる今年度は、円安のメリットを生かして収益を稼ぐことが必要になる。

供給能力が限られる以上、輸出が優先されれば国内向けは後回しにならざるを得ない。実際、 日本自動車工業会 によると8月の輸出は前年同月比16.5%増と、国内販売のマイナスが続く中で、8カ月ぶりに増加に転じた。日米金利差が解消されない限り、現在の円安水準は当面続くとみられており、メーカーが輸出を増やす可能性は高い。

 さらに気になるのは、新車の供給が正常化したとして、コロナ禍前の水準に需要が戻るのかどうかということだ。9月はコロナ前の19年比では41.9%減、18年比では34.4%減と低水準にとどまっている。22年度上期(4〜9月)は前年同期比で6.2%減と1桁台のマイナスにとどまったものの、19年4〜9月比では26.6%減、18年4〜9月比では22.5%減と、コロナ前の8割弱の水準にとどまっている。

原材料高に加え、電動化や安全装備の強化によって、新車の価格はそもそも上昇傾向にある。装備を簡素化して買いやすい価格の車を用意するなど、メーカーは「コロナ後」を見据えた商品政策を打つ必要があるのではないか。

 




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