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マツダがEV販売比率を引き上げ 30年に最大4割に


マツダがEV販売比率を引き上げ 30年に最大4割に

 マツダは世界販売に占める電気自動車(EV)の割合が 2030年に25〜40%になるとの見通しを示した 。世界的なEV普及のスピードが想定以上に早いことを踏まえ、これまで25%としていた見通しを引き上げた。国内メーカーではスバルもEV強化の方針を示している。欧米、中国が主導するEV競争に、日本の中堅メーカーも参戦せざるを得ない状況になってきた。

 マツダは内燃機関の効率化を軸として、段階的に電動化を進める「 ビルディングブロック構想 」を打ち立てている。世界で広く低炭素化するには、まずは内燃機関の効率を高めることが重要だとの考え方に基づくものだ。だが、海外のEVシフトは予想以上に早い。

欧州では10月28日、欧州理事会と欧州議会が、乗用車と小型商用車を対象に35年以降、内燃機関を搭載する新車の販売を禁止することで合意した。欧州はマツダにとっても重要な市場であり、欧州の規制動向を無視するわけにはいかない。

  欧州自動車工業会(ACEA) は11月25日、欧州新車市場のEV比率が30年に70.7%(22年は14.1%)になるとの見通しを発表した。中国は58.5%(同19.3%)、米国は44.8%(同6%)になるという。欧米、中国ではあと10年足らずで、新車販売の半分以上がEVになる計算になる。

マツダでは2021年度の世界販売のうち35.0%を北米が占め、続いて欧州が15.2%、中国が13.6%と6割超が欧米、中国という状況だ。これをベースにACEAの推計を当てはめると、30年にはマツダの世界販売の34%がEVということになる。逆に言えば、これだけのEVを売れる競争力がなければ、世界でのシェアを失っていくことになる。丸本明社長は「各国の規制動向、お客さまのニーズの変化を鑑み、レンジを持たせた」と述べた。

マツダはEVの中核ユニットである駆動装置「eアクスル」を生産するため、広島のサプライヤーやロームなどと協力するほか、もともと日産自動車の子会社で現在は中国系となった電池メーカー、エンビジョンAESCから電池供給を受けることでも合意した。内燃機関は維持するものの、EVへの投資を前倒しする必要性が出てきたと言える。

世界エネルギー機関(IEA) の「グローバルEVアウトルック2022」によると、EVの新車販売台数は21年に世界で470万台(うち中国が270万台)となり、22年も1〜9月の累計で中国が前年同期比89.4%増の287万台、欧州が同25.7%増の100万台、米国が同68.9%増の56万台と、中国と欧米では大幅な増加が続いている。補助金政策の効果もあるが、電池性能の向上によって、EVが商品としてユーザーに受け入れられ始めていると言える。

 こうした状況を踏まえ、スバル もEVへの取り組みを強化する方針を今春発表した。25年から群馬県の自社工場でEVの生産を開始し、27年以降には専 用工場を建設する方針だ。中村知美社長は「EVに対する市場の見方がこの1年間で急速に変わってきた。ディーラーからの質問が急速に増えた」とEV強化の理由を話した。

 中国や欧米はEVを産業政策と位置付け、政策的にEVを強化している。戦略物資である電池生産のサプライチェーンを自国・地域内で構築し、電池産業の覇権を握るのが狙いだ。その電池産業でトップを行くのは、国策で支援を受ける寧徳時代新能源科技(CATL)などの中国勢だ。

韓国の調査会社、SNEリサーチによると、2022年1〜10月の車載電池の世界シェアは CATLが35.3%、 中国・比亜迪(BYD) が13.8%、韓国・LGエナジーソリューション が13.2%で、日本のパナソニック は7.9%と4位だ。EVの世界最大市場である中国の電池メーカーが全体の5割を持つという状況になっている。日本の自動車メーカーもCATLとの提携を相次いで発表しており、最近ではダイハツ工業が、日本や東南アジアで生産するEV向け電池の供給を受けることで合意した。パナソニックなど日本勢がCATLにコストで対抗するのは至難の業で、中国勢のシェアは益々上昇する見通しだ。

EV市場は10年以上前に三菱自動車が軽自動車EV「 アイミーブ 」で切り開き、 日産が「 リーフ 」で世界に打って出た。しかし、今やテスラやBYDといった新興メーカーが台頭し、日本メーカーはゼネラル・モーターズやフォルクスワーゲンといった既存メーカーからも大きく引き離されている。ハイブリッド車を持つがために、EVでは出遅れたと言われるゆえんだ。

だが、日本メーカーもホンダ が40年にEV専業メーカーになると宣言したほか、トヨタ自動車 は30年に350万台のEVを販売すると表明しており、いずれ世界と戦えるラインアップが揃う。

EVの世界販売台数は大きく伸びているとはいえ、市場全体の6%に満たない。競争はこれからが本番であり、デザインや走りといった商品魅力、電費向上などの基本性能を向上することによって、日本も先行メーカーに追いつくことができるのではないか。

 




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