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ヤマダデンキがEV販売に再挑戦、家電量販店で車は売れるのか?


ヤマダデンキがEV販売に再挑戦、家電量販店で車は売れるのか?

 ヤマダデンキ三菱自動車が 電気自動車(EV)の販売で提携すると発表した。7月4日からヤマダの神奈川と埼玉の5店舗で法人向けに三菱の軽商用EV「 ミニキャブ・ミーブ 」と新型軽EV「eKクロスEV 」を販売する。ヤマダは10年ほど前にも三菱のEV「アイミーブ」の販売に挑戦したが、実績が上がらずに途中で断念している。2度目は成功するのか。

 三菱自は直営販社の東日本三菱を通しヤマダに車両を卸す。ヤマダは、まず横浜の3店舗と埼玉の2店舗で販売を開始し、今後、11店舗まで拡大する計画だ。アフターサービスはヤマダと車検などで提携している日本自動車車体補修協会(JARWA)が担当するという。販売計画台数などは公表していないが、ヤマダは充電器、太陽光発電、ビークル・トゥ・ホーム(V2H)、自動車整備という「EVのワンストップサービス」を提供するとしている。

 ヤマダと三菱自は2010年にもEVの販売で提携している。アイミーブをヤマダの東京、神奈川、埼玉の17店舗で売るというもので、特に法人向けに限定したものではなかった。しかし、航続距離、価格の高さ、充電器の未整備といった課題がネックになり、当時、市場は本格的には拡大しなかった、日産自動車も10年に発売したEV「リーフ」の販売では苦戦を強いられてきたのが実情だ。

 今回なぜヤマダは再びEVの販売に参入したのか。それは、EVを取り巻く環境が大きく変わったからにほかならない。政府は50年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)を打ち出し、35年までに乗用車の新車販売をすべて電動化する方針を掲げた。電動化といっても、ハイブリッド車も該当するが、EVも特に軽自動車で普及させる方針を掲げた。

 政府の方針を踏まえ、日産と三菱自はアライアンスを生かして軽乗用EV(日産は「サクラ」、三菱自はeKワゴンEV)を共同開発し、22年に発売した。23年度内にはトヨタ自動車、スズキ、ダイハツ工業が共同開発の軽商用バンEVを発売する計画もある。サクラやeKワゴンEVは、発売当初からメーカーの想定を上回る受注を獲得しており、日本では軽自動車からEVが普及するとみられている。

 法人による需要の高まりも背景にある。投資家や社会が企業に脱炭素化を求めるようになったためで、この動きを敏感に察知した新興EVメーカー(ASFHWエレクトロフォロフライなど)が誕生している。ヤマダが今回は法人向けでEV販売に再参入するのは、法人需要の高まりによるものとみられる。

 ヤマダと三菱自が再び組む背景には、三菱自の事情もある。同社の国内販売台数は22年度で9万2111台と乗用車メーカーでは最下位、このうち登録車では4万7729台といすゞ自動車も下回る規模に縮小している。市場拡大が見込まれる東南アジアに投資を振り向けてきたこともあり国内は縮小の一途を辿っている。

 販売台数の減少に応じ、三菱自はこの10年、直営販社を広域化して販社数を減らしてきた。地場ディーラーは生き残り策として、スズキ車など他ブランド車を並行して扱うようになっている。三菱自にとって、ヤマダの集客力でEVが売れればメリットになる。

 EVの商品特性からみると家電量販店での販売は適している面もある。EVの利用には少なくとも充電設備が必要だ。太陽光発電や建物への給電も出来る方がEVの特徴を発揮できる。

 もちろんディーラーでもそうした設備の販売や施工は可能だろうが、「ディーラーは高い」という固定観念がユーザーには沁みついている。ヤマダがいずれ個人向けにもEV販売を広げるのは確実とみられる。安さと品揃えで集客する家電量販店でEV販売が広がる可能性は以前よりも高い。

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 EVは性能、充電インフラを含めまだ課題が多い上、電池のコストが高く、メーカーにとっては儲からない代物であるのが実態だ。家電量販店で売るメリットが創出できるほど台数が増えるかどうかも未知数ではある。

 しかし、EVが自動車産業の敷居を下げたことは事実であり、長くメーカーとディーラーの信頼関係の上で成り立ってきた自動車販売という狎三茘瓩砲睇穴が開く可能性がある。既得権益に守られてきたディーラーの存在意義がEVによって改めて問われるとも言えそうだ。

 




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