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ホンダと日産、経営統合が破談に 両社の今後は?


ホンダと日産、経営統合が破談に 両社の今後は?

ホンダ日産自動車の提携交渉が岐路を迎えている。協業の検討で始まった両社の提携交渉は、2024年12月に経営統合にまで踏み込んだが、2カ月足らずで協議終了という結果に終わった。協業自体は進めるのか、あるいはすべてを白紙に戻し、それぞれが新たなパートナーを探すのか、今後の動きが注目されている。

 ホンダと日産は24年3月に協業する方針を発表。8月にはソフトウエアや車載用電池、電気自動車(EV)などの項目で検討を進めることで合意するとともに、三菱自動車も参画を検討することを発表していた。そして12月23日、経営統合に向けた協議を開始する方針を発表。25年6月に最終契約書を結び、26年8月に共同持ち株会社を設立して東証プライム市場に上場。ホンダ、日産の上場は廃止するとしていた。

 状況が変化したのは、ホンダが日産に完全子会社化の提案をしてからだ。業績が悪化している日産のリストラ策が不十分だと判断したホンダが、業を煮やして提案したとされる。対等な立場での経営統合と認識していた日産はこれに反発。2月6日、日産の内田誠社長がホンダの三部敏弘社長に協議の打ち切りを申し入れた。

日産がホンダの軍門に下ることを拒否した形だが、そもそも時価総額が4倍以上の開きがあるホンダと日産が対等というのがおかしいという指摘もあった。12月23日の会見では、共同持ち株会社の取締役の過半数はホンダが指名し、代表取締役または代表執行役社長もホンダが指名するとしていた。ホンダが主導で進めるというメッセージであり、日産もこれに合意していたはずだが、子会社化という提案はプライドの高い日産には受け入れ難かったようだ。

 三菱自も経営統合への参画には慎重だった。同社は1月末までに方針を決定するとしていたが、NHKなどが1月下旬、経営統合への参画見送りの方針を固めたと報道した。 三菱商事 三菱UFJ銀行 など三菱グループが上場維持の方 針を崩さなかったとみられる。ホンダは三菱自のピックアップトラックやプラグインハイブリッド車の技術に関心を持っているとされ、三菱自不在の経営統合ではメリットが薄れると判断した可能性もある。

 国内でシェアを競ってきたホンダと日産。企業文化が違い過ぎ、協業ですらうまくいかないとみられていた。一方で、トヨタ連合に並ぶ国内2つ目の基軸として、日本の自動車産業の競争力向上を期待されていた面もあるのは事実だ。提携の経験が少ないホンダが、事を性急に進めすぎたことも否めない。だが、世界に目を転じると、米テスラ比亜迪(BYD)など中国新興メーカーの台頭により、自動車産業の勢力図が劇的に変化している。何らかの手を打たないとじり貧になるという危機感はホンダにも強い。

 成り行きを見越して、日産買収のタイミングを計っていると報道されてきたのが、台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)だ。ホンハイには、日産で副COO(最高執行責任者)、ニデック(旧日本電産)で社長を務めた関潤氏が、EV事業最高戦略責任者(CSO)として在籍している。ホンハイは日産のEV技術を得たがっているとされており、ホンダとの協議打ち切りを受け、日産との提携交渉を始める可能性がある。

だが、日産とホンハイの提携が実現するかどうかは不透明だ。ホンハイと日産が提携すれば、日本の技術が中国に流出する恐れがある。日本政府が容認するかどうかも交渉の行方を左右する。仏ルノーの動向も焦点だ。日産との関係は薄れているものの、ルノーは依然として日産株の36%を保有する大株主であり、日産株の売却をめぐり、ホンハイがルノーに接触しているとの報道がある。ルノーが日産株を売却する場合は日産の意向を踏まえることになっているが、ホンハイから有利な条件が提示されれば、売却に応じる可能性が否定できない。

業績は悪くないとはいえ、ホンダも新たなパートナーを探す必要性に変わりはない。米ゼネラル・モーターズ(GM)とEVや燃料電池車、自動運転などで協業してきたが、低価格小型EVの開発や自動運転タクシーでは相次いで協業を断念している。GMとの関係を改めて強化するのか、あるいは新たなパートナーを求めるのか、ホンダの判断も注目されている。







 




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