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代替サイクル短縮へ、個人向けリース・残価設定型ローンにも注目


 登録車の新車販売が2月で20カ月連続の前年割れとなった。新車の不振で、低年式の良質な商品が不足する中古車の販売も振るわない状況だ。新車投入で何とか市場活性化を図りたい自動車業界だが、ローン金利の優遇など、買いやすい環境を整えることも重要。残価設定型ローンや、リースという選択肢も見直されるようになってきている。

 新車不振の理由には、若者のクルマ離れや、代替期間の延長がある。サラリーマンの賃金がほとんど増えていないことや、パート、派遣労働者など、非正規の労働者の増加もある。自動車メーカーの業績は海外での販売増加により順調だが、トヨタをはじめ、ほとんどのメーカーで国内販売が減少。いまや国内市場が最大の悩みの種となっている。

 自動車メーカーは、新車が売れない最大の理由として「魅力ある商品が不足している」ことを挙げる。確かに昨年の新車は軽自動車が中心で、登録車の新車投入は少なかった。今年はすでに三菱の「デリカD:5」、ホンダ「クロスロード」が登場。これからもトヨタ、富士重、マツダも主力車種のフルモデルチェンジを予定している。2年に1度の東京モーターショーの年でもあり、新車市場が活気づくことへの業界の期待感がある。

 新車の投入もさることながら、代替需要が中心となった市場では、新車の代替サイクルをいかに短くしていくかが新車の売れ行きを左右するポイントとなる。かつては車検に合わせ2、3年で代替する人が多かったが、今は1台を長く乗るという志向の人が多い。この代替サイクルを短縮することで、新車市場は活性化し、低年式の良質の中古車も市場に出回るようになる。

 トヨタなどは、いかに代替を促進するかに注目し始めており、残価設定型ローンや個人向けリースを積極化しようという動きがある。残価設定型ローンやリースは、通常3年後の残存価値を差し引いて、月々の返済額を決めるため、通常のローンに比べ購入者の負担が少ない。これらの手法は比較的、高い残価率を設定できる輸入車で先行しており、トヨタは高級ブランドの「レクサス」で、残価設定型ローンやリースによる販売を積極的に推進している。また、トヨタブランド車についても残価設定型ローンやリースの取り扱いについてディーラーに働きかけを始めている。

 すでに欧米では個人向けにもリースが一般化している。日本では、クルマを財産と見る傾向が強く、リースが馴染まない土壌にはある。しかし、軽がこれだけ売れる市場を見ると、クルマを道具として見る人も増えてきていると見られ、少ない負担でクルマを利用できるリースや残価設定型ローンが日本でも広がる可能性はある。

 個人向けリースや残価設定型ローンが日本であまり一般的でないのは、販売店の売り方にも理由があるという。セールスがしっかりこれらの売り方を理解し、購入方法の一つのオプションとして、顧客に説明できれば、リースや残価型を選ぶ顧客は少なくないと見られる。都内のあるディーラーでは、個人向けリースを積極的に扱う取り組みを展開している。

 また関東のあるディーラーは軽自動車でも、リースを利用するお客が増えてきているという。リースの場合、リース料にガソリン代や駐車場代以外の経費がすべて含まれ、保険や税金などに関わるわずらわしさもない。リースにすれば、サービスなどの車両管理も行うことができ、サービス需要の囲い込みという点で、販売店側にもメリットが大きい。

 管理が行き届く分、リースアップした車両は良質の中古車として高値で再販できるといった好循環を生み出す。販売店にとって、メンテナンス収益は非常に重要な収益源であり、リースは顧客にとっても販売店にとってもメリットが大きい。

 自動車リース会社も、個人向けリースの開拓に乗り出している。自動車リース専業最大手のオリックス自動車は、昨年から個人向けリースの再強化に乗り出している。「2年ごとに新車に乗り換えられる」をキャッチフレーズに、需要の掘り起こしを狙っている。同社は、レンタカー会社やカーシェアリング会社も傘下に持っており、顧客に合わせた、様々な自動車の利用形態を提案している点で注目される。

 日本自動車工業会の今年の国内市場見通しは、登録車が363万5000台、軽が199万5000台。合計すると563万台と前年実績を2%下回る予想。人口減少社会に突入した国内で、これ以上、新車市場を落ち込ませないようにするには、メーカーによる魅力的な商品の投入も当然だが、売り方の工夫も必要になりそうだ。



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