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  ■ ホンダがアキュラブランドの
     国内導入を延期〜市場低迷が理由


 ホンダが08年秋をめざしていたアキュラブランドの国内導入を、2年間延期することを決めた。7月18日に本社で開催した恒例の年央会見で福井威夫社長が発表した。理由は「国内市場の不振」。だが、福井社長は、アキュラの国内導入は「必ずやる」と強調している。

 ホンダは2005年12月に、国内四輪販売の新体制として、プリモ、クリオ、ベルノの3チャンネルを統合すると同時に、国内にアキュラブランドを導入することを発表した。チャンネル統合は06年3月に「ホンダ」チャンネルに一本化し、店舗の屋号を「ホンダカーズ」に変更した。

 アキュラ店は、大都市を中心に全国100店舗を出店する計画となっていた。このうちの約8割がホンダの直営で、2割程度が地場ディーラーが出店する予定となっていた。出店場所の選定などもかなり進み、いよいよ店舗の建設準備に入ろうかという段階だったという。

ただ、地場ディーラーからは、ホンダが示すアキュラモデルの国内導入計画や店舗の採算計画について「投資の回収に時間がかかりすぎる」など、疑問視する声も出ていた。ホンダは、同日の会見で、軽自動車事業の強化計画を発表している。国内は軽を優先し、アキュラは後回しという構図だ。福井社長は「軽を含め、プライオリティーの高いものはたくさんある」と説明。「アキュラを焦って入れる必要はない」と延期の理由を話す。

 アキュラ導入延期の最も大きな引き金となったのは、厳しい国内市場だ。福井社長は「この1、2年の間に、市場環境は思っていたより悪い状況になっている。当然、今後2年間で好転するとは思っていない。しばらく厳しい状況が続く」という。アキュラは、08年秋から順次ラインアップを揃えていくと見られていた。ホンダは、2年間の延期で「より強化された商品とラインアップで国内にアキュラを導入できる」と説明する。だが「プレミアムカーの市場すら厳しい」(ホンダ)という市場環境のなかで、アキュラを本当に導入できる日が来るのか、疑問が残るところだ。

 ホンダだけではなく、日産もインフィニティブランドの国内導入をすでに断念している。トヨタ、日産、ホンダの日本メーカーは、米国で高級ブランドを育ててきた。しかし、自国に高級ブランドを導入できたのはトヨタのレクサスのみだ。これほど、今の日本市場は厳しいといえる。レクサスも、セルシオユーザーによる代替が中心で、台数的にはまだまだ厳しい状況だ。

 海外の業績が順調なことが日本メーカーの救いになっている。トヨタは1−6月の世界販売(ダイハツ、日野を含む)が、ゼネラル・モーターズ(GM)を抜いて世界一になった。GMは中国、中南米などの米国以外での販売が伸びているが、年間でトヨタが初の世界一になるのは、ほぼ確実だ。ホンダも、海外での販売が順調に拡大を続けている。

 一方、国内市場はトヨタですら手をこまねいている状況だ。「魅力的な市場創造型の商品が必要」(渡辺捷昭トヨタ自動車社長)というが、トヨタもこれといったヒット商品がなく、販売実績は6月まで10カ月連続で前年実績を下回っている。
トヨタは「市場活性化プロジェクトチーム」なる社内横断的組織を立ち上げ、なんとか国内需要を活性化しようという試みを開始している。しかし、やはり、新商品を投入していくことが販売増には必要だ。

 トヨタが6月に発売した新型「ヴォクシー/ノア」や、ホンダが秋にフルモデルチェンジする「フィット」は、保有母体が大きいため、需要喚起への期待がかかる。だが、需要の底上げには、ユーザーが代替したくなるような新技術・新商品の投入が必要。メーカー各社には、国内市場という大きな課題がのしかかる。