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トヨタ「クラウン」にハイブリッド、ハイブリッド専用車も複数投入へ、
着々と進むトヨタのハイブリッド戦略


 ガソリン価格の高騰で、燃費性能の良いハイブリッド車へのニーズが急速に高まっている。最も売れているトヨタ「プリウス」の場合、実走行燃費は22〜23km程度(10・15モード燃費は35.5辧砲函同じ大きさの車に比べ2倍以上の低燃費だ。2月にフルモデルチェンジする「クラウン」にもハイブリッド車を設定する。さらに、プリウスに次ぐハイブリッド専用車を、トヨタブランドとレクサスブランドで設定する計画だ。ホンダもハイブリッド専用車を09年に市場投入する。専用車が増えることで、ハイブリッド車の売れ行きに拍車がかかりそうだ。

 原油価格の高騰でガソリン価格が値上がりし、ハイブリッド車に対する関心が一段と高まっている。これまでは環境問題に関心の高い一般ユーザーが主な顧客と言われてきたが、最近では、タクシー会社や一般企業が購入するケースが増えている。とはいえ、トヨタの現在のハイブリッド生産能力は年間40万台。ハイブリッドシステムの生産能力に限界があるため、計画した生産量しか販売できない状況にある。供給力が高まれば、プリウスは国内でも、もっと売れる可能性がある。

トヨタは、世界初の量産ハイブリッド車を開発したメーカーとして、ハイブリッド車の普及にさらに力を入れる考えだ。昨年秋に策定した「グローバルビジョン2020」では、すべての車種にハイブリッドを設定していく方針を示した。だが、ハイブリッドの設定車種を増やせば売れるというものでもない。現在「ハリアー」「アルファード」「エスティマ」などにハイブリッド車を設定しているが、どれもガソリン車が売れており、プリウスのようには販売が伸びていない。

 ディーラーによると「プリウスはカローラなどのセダンから乗り換える人が多い。一方、エスティマの場合、実走行燃費が15卍度。パンチがなく、パワー不足の面もある。モーターのオーバーホールも必要。それならガソリン車でいい、という人が多い」という。SUVやワンボックス系の車とプリウスとでは、使われ方に違いがあるだろう。それが、売れ行きの差になって現われているのかもしれない。実際、トヨタも「どの車種にハイブリッドを設定するか難しいところ」(同社幹部)と明かす。

 トヨタは、電池やモーターを含めたハイブリッドシステムのサイズ、重量、コストをすべて、現行の2分の1にするという開発目標を掲げ、第3世代ハイブリッドシステムを開発中だ。09年にフルモデルチェンジされる見通しのプリウスから搭載される見込みだ。現行プリウスは、同じクラスのモデルに比べ、60万円程度高いと言われている。トヨタの言う通りなら、新型プリウスでは、この価格差は30万円程度に縮小するということになる。

 トヨタは、新型プリウスの投入時期に合わせ、ハイブリッドシステムの生産能力を現在の年間40万台から60万台に高めることを明らかにした。09年には現行「ハリアー」が廃止され、国内でも海外同様、レクサス「RX」としてレクサス店にラインアップされる。RXにも、新世代ハイブリッドシステムが搭載されると見られる。

 ホンダは「シビックハイブリッド」に続いて、ハイブリッド専用車を09年から市場投入する。独自のハイブリッドシステム「IMA」(インテグレーテッドモーターアシスト)を進化させ、軽量・コンパクト化したシステムを搭載する。同社は、ハイブリッドスポーツカーのコンセプトモデル「CR-Z」もモーターショーでお披露目しており、ホンダもいよいよハイブリッドを本格展開していこうとする姿勢が見える。

 ハイブリッドスポーツというコンセプトで、トヨタも「FT-HS」をモーターショーで披露している。今後、スポーツモデルにも、環境とハイパフォーマンスを両立するハイブリッドモデルが登場する見通しだ。

 トヨタは、2010年代の早い段階でハイブリッド車の販売を年間100万台にするという目標をかかげている。計算すると、全販売に対する割合は10%程度となる。ホンダも「2010年頃には、総販売台数の10%がハイブリッドになる」との見通しを示している。

 環境対応車は燃料電池車が本命、との姿勢を崩していなかったゼネラルモーターズ(GM)など欧米メーカーも、ハイブリッドへの戦略を強めている。中国メーカーの一部も、ハイブリッド車のコンセプトモデルを発表するなど、ハイブリッドの開発競争が世界で加速する見通しだ。トヨタが圧倒的に先行するハイブリッド車。システムの小型化・低コスト化と同時に、性能・耐久性・コストに優れた次世代電池を最も早く開発できたメーカーが、今後のハイブリッド戦略を優位に進めることができると見られる。