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金融危機が米新車販売を直撃、世界的な需要減速の懸念も


 

 米サブプライムローン問題に端を発した金融危機で自動車の販売が世界的に減速している。同問題が顕在化し始めた2007年8月以降、自動車産業は先進国市場の厳しさを新興国でカバーする構図が続いてきたが、金融危機による米国の景気冷え込みの影響が輸出の減少で中国の景気にも波及。日本も自動車輸出が減り始めた。金融危機を背景に9月の米国市場は大幅な落ち込みとなり、トヨタ自動車など日系メーカーの販売も大きく減少した。金融危機が実体経済に波及し始めており、米自動車市場は来年も厳しい状況が続くとの見通しが強まっている。
 9月15日の米証券大手、リーマン・ブラザースの経営破綻に始まった金融危機の第2幕。今回の金融危機が金融工学を駆使した住宅ローン証券化という複雑なものだけに、問題の根深さが指摘されている。米自動車市場の回復は来年以降に持ち越されるとの見方が強まっており米国で大きな利益を上げてきた日本メーカーへの影響も懸念される。
 10月1日にまとまった9月の米国新車販売。金融危機が実態経済にも波及するとの懸念から注目されたが、その結果は前年同月比26.6%減の96万4000台と17年ぶりの低水準。米新車販売が単月で100万台を割り込んだのは15年ぶりという落ち込み方だった。9月の実績は年率換算にすると1250万台という非常に厳しいもの。昨年の米新車販売実績は1615万台で、これに比べ370万台近くも新車の需要が落ち込んでいることを示している。日本の登録車市場よりも多い数の新車が売れなくなったという状況だ。
 2008年前半までは、原油価格の高騰で大型ピックアプトラックなど燃費性能の悪い車種の売れ行きが落ち込んでいた米国。だが、金融市場の混乱による景気の落ち込みで、これまで堅調だった小型車の販売も減速し始めた。ゼネラルモーターズ(GM)、フォード・モーター、クライスラーの米ビッグスリーだけでなく、小型車で優位な日本勢も減速している。9月はトヨタと日産が3割の大幅減となるなど大きく落ち込んだ。
 米国でシェア2位のトヨタの9月の販売は前年同月比29.5%減だった。ピックアップトラックやSUV系車種だけでなく「カローラ」「カムリ」「ヤリス」「プリウス」といった車種も減速している。レクサスも前年同月比33.4%減と不振だ。米国トヨタ販売(TMS)は10月3日、不振の販売をてこ入れするため、トヨタとしては異例のゼロ金利ローンを開始したことを発表。11月初めまでの購入客を対象に、SUV・ピックアップトラックのほか、カローラ・カムリなど11車種で実施する。
 米新車販売は7月が大きく落ち込んだが、8月は回復し、このまま底打ちする可能性があるとの見方もあった。しかし、住宅を担保に自動車を購入するユーザーの多い米国では、金融市場の混乱による住宅価格の下落が自動車の販売を一段と押し下げた。住宅価格が回復してこなければ、自動車の販売も回復しないと見られている。
 米国景気の悪化は、高水準な株価や輸出で景気が好調だった中国の自動車市場にも影響し始めた。北京五輪後の景気減速が予想されていた中国。米国を震源地とした金融不安の影響が連鎖的に拡がっている。
 中国で前年同月比3割〜4割の増加を続けていたトヨタの販売も、8月は1ケタ台へと増加幅が縮小した。西欧や東欧も減速感を強めており、米国発の金融危機が世界に連鎖的に影響を拡がり始めた。
 日本の国内生産も減速し始めている。日本自動車工業会がまとめた8月の生産は前年同月比10.9%減と13カ月ぶりに減少した。同月は四輪車輸出が前年同月に比べ2.2%減となり37カ月ぶりに減少したからだ。
 国内市場が縮小を続けるなか、為替相場が円安だったこともあり、輸出で高水準の生産が続いてきた国内生産。世界的な需要の減速で今後、減速に移っていく可能性がある。こうなると、できるだけ早期に国内需要の下げ止まりが望まれるところ。
 しかし国内市場の先行きにも、まだまだ不透明感が漂う。9月の登録車の販売実績は前年同月比5.3%減。1−9月累計は前年同期比2%減、4−9月は同2.9%減と一進一退の状況になっている。軽も比較的高水準とはいえ、4−9月は前年同期比2.4%減と上期として2期連続で減少した。米国の景気悪化による輸出の減少、株価下落による資産価値の目減りといったマイナス要因が日本国内の消費にも影響を及ぼしかねない状況になっておい、国内市場のさらなる底割れにも注意が必要な情勢になってきた。