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自動車メーカー各社の今期業績、円高・販売不振で急速に悪化


 自動車メーカーの2009年3月期の業績が急速に悪化する見通しだ。米サブプライムローン問題に端を発した世界的な金融危機が実体経済に影響を及ぼし始め、西欧や米国を中心に自動車需要が急速に冷え込んでいる。これに加え急激な円高が輸出依存型の日本メーカーの利益を大幅に押し下げる見通しだ。日本メーカーの利益の源泉となってきた米国市場の回復はいつになるのか不透明。また金融危機の実体経済への影響は米国だけでなく、西欧諸国やインド・中国といった新興国市場へも波及し始めている。昨年まで好調を維持してきた自動車業界に一気に冬の時代到来といった様相だ。
 トヨタ自動車が2009年3月期の中間業績と通期業績見通しを発表した翌日の11月7日。株式市場には「トヨタショック」が広がり、トヨタ株は一時ストップ安となる大幅な値下がりとなった。同社が発表した通期業績予想が、市場やアナリストなどの予想をはるかに上回る減益幅だったからだ。発表当日の朝刊で「通期営業利益1兆円割れ」との一部観測報道があったが、蓋を開けてみれば、1兆円を大幅に下回る6000億円という数字。実に昨年度実績に対し74%減。当初予想の1兆6000億円に対しては1兆円の下方修正というもので、報道関係者やアナリストを驚かせた。
 トヨタだけでなく、日産やホンダといった他メーカーも同じような状況であることに変わりない。ホンダの通期営業利益予想は前年度比42%減の5500億円、日産の通期営業利益予想は前年度比65.9%減の2700億円だ。またスズキは同33%減の1000億円、マツダが同44.5%減の900億円、三菱が同54%減の500億円など、全メーカーが大幅な減益予想。各社とも9月の米証券大手、リーマン・ブラザースの破綻をきっかけにした金融危機の広がりを背景に収益見通しの大幅な下方修正となった。ただ、トヨタの場合、前年度比7.6%減という販売台数の大きな落ち込み予想、高級車ブランド「レクサス」の販売不振により、他社に輪をかけて衝撃的な数字となった。
 各社の今期業績に大きな打撃となるのは急速な円高ドル安・ユーロ安だ。ドルやユーロを始めとした外国通貨に比べ、信頼度の高い円に投資家の資金が一気に流れ込み、円はドルに対し10月27日に91円台まで上昇。どの通貨に対しても円だけが高い「円独歩高」。日銀が慌てて利下げの方針を示したことから、現在は97〜98円とやや戻している。とはいえ、2007年の年間平均レートの114円に比べると大幅な円高であることに変わりはない。
 円の値上がりは輸出関連企業の業績に打撃を与えるとして、輸出産業の代表格である自動車メーカーや部品メーカーの株価下落を招く悪循環を引き起こしている。
 トヨタ、ホンダ、日産は、通期の為替予想を1ドル=103円、1ユーロ=145〜149円に設定。この前提でトヨタの場合、前年度に比べ今年度の営業利益の目減り分が年間6900億円にも膨らむという予想だ。トヨタは米国販売車における北米生産車比率が5割程度とホンダなどに比べ低く、より大きな影響を受ける。そのホンダでも1ドル=103円の前提で年間1980億円の営業減益要因となる。
 為替の円高よりも深刻なのは、世界的な自動車需要の冷え込みだ。10月の米国市場(米オートデータ集計)は前年同月比31.9%減の83万8000台。年率換算で1056万台と25年ぶりの低水準に落ち込んだ。ゼネラル・モーターズ(GM)が前年同期に比べ45%減となったほか、トヨタが23%減、フォードが29%減、クライスラーが34%減、ホンダが25%減、日産が33%減。欧州の高級車もメルセデス・ベンツが34%減となるなど、市場は総崩れだった。米新車販売の不振は、金融危機の影響で消費者の与信を厳しくしたことも原因と言われている。
 2007年は年間1610万台あった米国市場は月を追うごと、日を追うごとに悪化しており、米自動車業界に深刻な影響を与え始めた。販売不振によりGMは資金繰りが悪化。11月7日の第3四半期決算発表時にリック・ワゴナー会長はクライスラーとの合併交渉を一時中断し、手元資金の確保を最優先する方針を表明。米政府への支援要請を一段と強めている。

  日本市場も決して例外ではない。自動車の使用期間の延長や人口の減少で、このところ縮小の一途をたどる国内市場だが、10月の登録車販売は前年同月比13.1%減と減少幅が拡大した。景気を支えてきた輸出関連企業の業績悪化により、国内景気は後退局面に入ったとの見方も広がっている。家計は所得が増えない一方、光熱費や食糧品などの値上げで厳しさを増しており、新車市場が一層、冷え込む可能性があり警戒が必要だ。