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金融危機で世界自動車需要が縮小へ


 米国サブプライムローン問題に端を発した世界金融危機が世界の自動車市場を急速に縮小させている。最大市場、米国の11月の新車販売は前年同月比36.7%減と10月よりさらに減少幅が拡大。年率換算で1018万台と26年前のレベルに落ち込んだ。日本国内でも景気後退の波が押し寄せており高額な耐久消費財の売れ行きが落ち込んでいる。自動車は登録車が11月は前年同月比27.3%と3割近く落ち込み、4カ月連続でマイナスとなった。世界経済の回復の鍵となる米国ではゼネラルモーターズ(GM)が破綻の危機に直面している。自動車需要の急減を受け日本メーカーも雇用調整や投資の先送りといった対応を講じ始めた。
 金融危機の実体経済への波及が現実のものになってきた。世界最大の消費国である米国で金融機関がローンの審査を厳格化したことにより、住宅や自動車の売れ行きが一段と悪化している。米国の自動車市場の状況は日に日に悪化。11月の年率1018万台というレベルは、2007年実績の1610万台に比べると600万台も車が売れない水準に落ち込んだことを示している。
11月はGMの販売が前年同月比41.2%減、クライスラーが同47.1%減と経営不振に直面する2社が市場を大きく上回る落ち込みとなった。トヨタもほぼすべての車種が前年実績を下回り、同33.9%に落ち込んだ。燃費性能の良い小型車でビッグスリーなどに対し有利な戦いを繰り広げてきた日本メーカーも景気後退の大きな波に飲み込まれている。
 これまで成長市場だった新興国も自動車需要の減速が顕著になってきた。米国に次ぐ世界第2位の自動車市場に成長した中国は米国の消費低迷による輸出の減少により新車販売も急ブレーキがかかっている。11月の新車市場は前年同月比で10%減と、ついに2ケタのマイナスになった。
 長らく市場の縮小が続く日本の市場でも景気後退の影響が懸念される。11月は登録車市場が3割近いマイナスとなり、年間では昨年実績の343万台より20万台程度少ない320万台前後となる見通しだ。登録車販売の前年割れは今年で5年連続となり、長期化する市場の縮小にいつ歯止めがかかるのか見通せない状況。一方で軽自動車の11月の販売は前年同月比0.7%の減少にとどまった。年間では190万台程度と比較的高いレベルを維持することになりそう。景気の後退が明らかになれば維持費の安い軽への需要シフトが強まる可能性もある。
 輸出依存型で“実感なき景気回復”を続けてきた日本経済は北米向け輸出の急減で景気後退が明らかになりつつある。内閣府が12月19日に公表した7−9月の国内総生産(GDP)の改定値は実質で前期比マイナス0.5%、年率換算でマイナス1.8%となり、11月17日公表値(7−9月=マイナス0.1%、年率換算=マイナス0.4%)から大幅な下方修正となった。

また11月の月例経済報告では基調判断を「景気は弱まっている。さらに世界経済が一段と減速するなかで下押し圧力が急速に高まっている」と景気後退の判断を強めた。
 世界市場の減速に加えて日本メーカーにとっては、急速な円高も業績悪化に追い討ちをかける。GMなど米自動車大手救済法案が廃案となった12月12日にはドル売りが膨らみ、円が一時88円台まで上昇した。ドルに対し1円の変動でトヨタの場合、年間400億円、ホンダは同90億円の営業利益が増減する。下期はほとんどの国内メーカーが1ドル=100円を想定しているが、10月以降は想定を上回る円高で推移しており、円高がさらに業績を押し下げる要因となるのは確実だ。トヨタは下期連結営業利益が赤字になる可能性が高まっている。
 ホンダは業績悪化の懸念から自動車レースのF1からの撤退を決めた。トヨタも新規の設備投資案件を凍結したり延期する方針で、労務費の削減や大幅な経費削減も進める。