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金融危機で世界自動車需要が縮小へ



 国内新車市場の縮小に歯止めがかからない。2008年の新車販売台数実績は登録車・軽自動車合計で前年比4.2%減の508万2133台と3年連続で減少。日本自動車工業会は09年の需要見通しを前年比4.9%減の486万台に設定した。この見通しが当たれば日本の新車市場は1978年以来、31年ぶりに500万台を割り込むことになる。新車市場の縮小を背景とした損保3社の経営統合へ向けた動きも明らかになった。生産・販売ともに広い裾野を持つ自動車の不振が今後、関係業界へも広がっていきそうだ。
  国内市場は1990年の777万台(含軽)をピークに縮小を続けている。96年に700万台を回復したものの、それ以後は570〜590万台と600万台を切る水準で推移してきた。大幅に減少したのは2007年で、前年を40万台近く下回る535万台。08年はさらにこれを27万台も下回り、07年、08年の2年間だけで65万台も減少したことになる。01年(590万台)から06年(573万台)までの5年間の減少が17万台だったことを考えると、直近の2年間の減少がいかに大きいか分かる。

 自動車市場の縮小は周辺業界に影響を及ぼし始めた。三井住友海上グループホールディングス、あいおい損害保険、ニッセイ同和損害保険の3社が経営統合の方向で協議に入ったとNHKが昨年末に報道。三井住友海上グループホールディングスは傘下に損保業界3位の三井住友海上火災保険を持つ。三井住友海上と、業界4位のあいおい損保、同6位のニッセイ同和損保の3社が合併すれば、1位の東京海上ホールディングス、2位損保ジャパンを上回り、第1位に踊り出る。
 損保は営業品目に火災保険や海上保険があるものの、収入の半分は任意保険や自賠責など自動車の保険。損保各社は新車市場の縮小とそれに伴う保有台数の減少という中で、生き残りをかけた経営統合を迫られていると見られる。

   

 

 3社の動きは存亡の危機に立たされる損保各社がそれぞれ、生き残りを賭けた提携の可能性を模索するなかで顕在化したものと見られる。
 また3社の動きの背景には、あいおい損保に33.4%を出資するトヨタ自動車の意向もあるものと推測される。あいおいは旧大東京火災海上保険とトヨタの子会社だった旧千代田火災海上保険が合併し2001年に発足した会社。だが業界4位に甘んじるあいおいは、三井住友や東京海上に比べ海外事業の基盤が弱い。国内市場も縮小するなかで、あいおい単独では生き残れないとの危機感がトヨタ内にはあったようだ。あいおいは米サブプライムローン問題で多額の損失を出しており、あいおいのリスクヘッジのまずさもトヨタにとっては頭の痛い問題だ。
 経営統合に向けた協議は今後本格化すると見られるが、3社合併となるのか、それとも持ち株会社を設立し、3社が事業会社としてぶら下がるのかなどは未定の段階。またトヨタによる統合後の会社への出資、人の派遣など、どれくらい関与するかなども含め協議の行方が注目されている。
 損保再編にもつながる自動車市場の縮小はどこまで続くのか。自工会が示した486万台という09年需要見通しは500万台という水準をあっさり割り込むショッキングな数字と言える。内訳は登録車が300万7000台(前年比6.9%減)、軽自動車が185万3000台(同1.6%減)と、登録車は300万台割れすれすれとなる。

 08年に日本自動車販売協会連合会(自販連)がまとめたディーラービジョンでは、2020年に登録車需要が300万台を割り込むと予想していた。自工会の需要見通しが正しければ、自販連の見通しよりも大幅に早い段階で300万台を割り込むことになる。国内の企業業績や雇用情勢は、米サブプライムローン問題をきっかけに08年10月以降、急速に悪化しており、自動車市場の縮小に輪をかける可能性がある。

 一方で、国内には7000万台もの保有があり、買い替えを促進することで需要を喚起できる。政府は来年度の与党税制改正大綱で低炭素車など環境対応車の税金を減免する制度を打ち出した。環境対応車の普及を促進しながら、市場活性化につながると業界の期待も高まっている。だがこれも来年度予算がきちんと成立しなければ実現しない。『天下の愚策』と言われる定額給付金の問題に終始する国会だが、景気対策を盛り込んだ来年度国家予算だけは滞りなく成立させてもらう必要がある。