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GMが破綻、重くなる日本メーカーの役割


 トヨタ自動車と並んで世界最大規模の自動車メーカー、ゼネラルモーターズ(GM)が6月1日付けで米連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)を連邦破産裁判所に申請し、ついに経営破たんした。GMはこれまでも幾度となく経営危機に直面してきたが、昨秋からの自動車需要の急減でとうとう資金繰りが行き詰った。世界最大市場の米国は、日系メーカーにとってもドル箱とされてきた。しかし、リーマンショック以降の市場の大幅な縮小で、トヨタやホンダも難しい事業運営を迫られている。GMの破綻は高コスト構造の自動車産業が転換を迫られていることの象徴とも言え、世界の自動車産業が直面する課題とも言える。
 破産法を申請したGMの再建案は60〜90日をかけて裁判所で審理され「新生GM」として生まれ変わることになる。米政府は破産法を申請したGMの支援に300億ドルを拠出し、新GMの株を約60%取得し国有化する。昨年末の200億ドルのつなぎ融資を含めると500億ドルもの資金が投入される。債権者や全米自動車労組(UAW)の合意を事前にとりつけた事前調整型破綻とはいえ、多額の公的資金が投入されるため、裁判所の審理も慎重なものになると見られている。
 再建案ではブランドの数や米国内の工場閉鎖、販売店削減が提示されている。10以上あるブランドは、オペルやサーブ、サターン、ハマー、ポンティアックといったブランドを廃止または売却し、新生GMには「キャデラック」「シボレー」「ビュイック」「GMC」のみを残す。米国内の工場は47から33へ減らし、販売網は6246店舗から3600店舗へ42%削減する計画だ。GMの生産・販売網の縮小は米国の雇用や経済に少なからぬ影響を及ぼすと見られる。GM自身の米国内の市場シェアも2008年末の22%から18.4〜18.9%に低下する見通しだ。
 破産法申請でGM再建の方向性は見えたとはいえ、懸念されるのは顧客のGM離れ。イメージの低下で一段と販売が落ち込めば、再生を果たすことなく崩壊への道をたどる可能性もある。
 GMに起こった事態は日本の自動車メーカーにとっても決して対岸の火事ではない。米市場はピークだった2007年の1700万台レベルから1千万台を切るレベルにまで落ち込んでいる。市場がここまで急激に落ち込まなければGMやクライスラーが破産法を申請する必要もなかった。米市場の回復に時間がかかれば、日本メーカーも米国事業のリストラを迫られる可能性がある。
 特にトヨタはGMなどビッグスリーの後を追うように、米メーカーの牙城だったフルサイズピックアップトラックや同SUVの市場に打って出た。だが、その後のガソリン高により大型車の売れ行きは鈍り、インディアナやテキサスといった大型車の専用工場は稼働率が大幅に低下し、設備や人の維持が負担になっている。
 一方でGMの破綻は、日本メーカーにとって米国市場でのビジネス拡大のチャンスとも言われている。オバマ政権が推し進める環境対応車の政策に合致した商品ラインアップをすでに揃えているのは日本メーカーであり、現代自動車やフォルクスワーゲン(VW)などに比べ、実績の面でも有利であることは間違いない。
 とはいえビジネスチャンスをそのままモノにできるほど米国は甘くない。日本メーカーはかつて輸出規制や日米自動車摩擦の問題でさんざん米メーカーや米政府に叩かれた経験がある。日本車叩きは今や過去の遺物だが、GMという大きな傘があったからこそ、日本メーカーは米国で事業を拡大できたとも言える。GMが第一線から退く米国市場で、これから誰が新たな商品を投入し、新規の需要をつくっていくのか。ビッグスリーに次ぐシェアを獲得するようになった日本メーカーは、米国で自ら需要を掘り起こし、市場をつくっていくという役割が課せられることになる。