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メーカー各社の生産が徐々に改善−政府の補助金&エコカー減税の効果


 在庫調整が一段落し自動車メーカー各社の国内生産が上向き始めた。トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車などの国内生産は2月、3月を底に、月を追うごとにマイナス幅が縮小している。海外の在庫調整も進み輸出が少しずつ戻ってきているほか、エコカー減税や補助金制度の導入で国内販売が上向いているからだ。新車の販売にもようやく景気対策の効果が出始めた格好だが、雇用情勢の悪化など景気回復への力強さは感じられず、楽観は全くできない。

 自動車メーカー各社が発表した6月の生産・国内販売・輸出実績によると、トヨタの国内生産は前年同月比31.2%減となり、2月の同66%減を底に、3月から4ヶ月連続で改善した。1月から4月までは生産のレベルを大幅に落とし、在庫削減を優先。新型「プリウス」を発売した5月から少しずつ生産台数が上向いている。

 日産も2月が前年同月比68・8%減だったのを底に、3月から4ヶ月連続で改善。6月は同34.2%減までマイナス幅が縮小した。ホンダは6月の生産が前年同月比30.6%減と、5月の43%減に比べ改善した。ホンダはハイブリッド車「インサイト」を2月に投入し、3月、4月の生産から上向き始めている。昨秋の世界同時不況以後、国内新車販売も激減した。エコカー減税や補助金制度がこの春から導入され、その効果がようやく出始めている。国内自動車産業は最悪期を一応は脱し、生産は底入れしたと見られる。

【09年1〜6月生産実績(自工会発表)】

 ただ、先行きを楽観できる状況ではないことは明らかだ。国内需要の上向きは補助金やエコカー減税によるところが大きい。実際、来年3月末までの登録が期限の補助金について、プリウスの納車が間に合わないことが分かり、トヨタの新型「プリウス」の足元の受注はペースダウンしている。

【09年度国内需要見通し(09.03.24自工会発表)】

 海外でも独や仏といった欧州の国々が自国の自動車産業を支援するため新車購入に補助金などを支給する景気刺激策を打っている。しかし、これら各国政府の施策にも期限がある。米サブプライムローン問題を発端として欧米の金融機能はマヒし、ローンで車を購入する割合の高い欧米の自動車需要が大きく落ち込んだ。今、需要に力強さがあるのは現金で車を購入する人が多い中国だけだ。欧州では東欧発の金融危機がいつまた起こるかもしれないとの危険性が指摘されており、景気回復の見通しは依然として不透明な状況だ。 
 景気の先行きの指標となる雇用統計を見ても、先進国の景気底打ちはまだ見えない。米国の6月の雇用統計によると非農業部門の雇用者数は46万人減少。失業率は9.5%に悪化した。日本の完全失業率も6月は5.4%と6年ぶりの高水準なった。欧州ではユーロ圏の6月の失業率が9.4%と1999年以来の高水準だった。企業のリストラに伴う雇用情勢の悪化は個人消費を冷え込ませ、企業業績の足を引っ張ることが予想される。
 生産の激減で国内自動車メーカー各社は期間従業員を大幅に減らした。部品メーカーなどもこれまで大量に確保していた製造現場の派遣社員を大幅に削減した。生産が上向いてきた今も、自動車メーカーは生産性向上や残業・休日出勤など正社員で増産に対応する方針で、期間従業員の雇用を再開する動きはまだ見られない。しかし、雇用の改善がなければ景気回復もない。自動車メーカーがいつ期間従業員の採用を再開するかも注目されている。