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トヨタがダイハツから軽OEM


 トヨタ自動車が子会社のダイハツ工業から軽自動車のOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受けることを決めた。乗用車および商用車の3車種、年間6万台をダイハツが供給する。トヨタの販売会社はダイハツの軽自動車の取次ぎ販売をこれまでも行ってきたが、2011年秋からはいよいよ、トヨタブランドでも販売することになる。トヨタが軽市場に進出することで、全ての乗用車メーカーが軽を取り扱うことになる。当面、台数は限定的だが、中長期的に見ると販売現場への影響は必死と見られる。
 トヨタとダイハツは9月28日にトヨタの東京本社でトヨタの一丸陽一郎副社長、ダイハツの伊奈功一社長が出席して記者会見し、トヨタが軽自動車のOEM供給を受けることを発表した。発表された内容は、ダイハツがトヨタに軽3車種を年間6万台OEM供給し、カローラ店、ネッツ店で販売するというもの。さらに、軽自動車の販売比率が50%以上の地域(2008年実績)、具体的には四国全県、福岡県を除く九州全県、鳥取、島根、秋田、青森の全15県ではトヨタ店、トヨペット店でも販売する。展示販売する店舗はショールームの広さの関係から300店程度になるとしている。
 トヨタは軽のOEM供給を受ける理由について「市場における軽の比率が高まっているため」(一丸副社長)と説明。トヨタの顧客の中にも軽を要望する顧客が増えており「トヨタおよびトヨタ販売店とお客さまの関係を持ち続けていくためにグループの経営資源を活用することにした」としている。供給車種は「ムーヴコンテ」と「ハイゼット」(トラック・バン)で、2011年秋から順次導入する。もう1車種は12年に導入予定で車種を検討中だ。
 トヨタは販売店の要請に応じ、トヨタとして軽をどう取り扱うかを販売店とともに検討してきた。検討段階ではネッツ店の一部をダイハツの軽を売る店舗に転用する案も浮上していた。だが、結局はバッジを付け替えるだけで投資が少なくて済むOEMに収まった。トヨタブランドなら既存のショールームで展示販売できトヨタの販売店にとって余計な投資をしなくて済む。
 トヨタが軽に参入するのは、時代の趨勢と言える。どこよりも品揃え豊富なトヨタの販売店といえども、需要が軽にシフトするなかで軽を取り扱わないわけにはいかなくなったためだ。

 トヨタとしては「パッソ」「パッソセッテ」「ヴィッツ」「iQ」といったコンパクトカーを取り揃えている。しかし、高齢化や景気低迷による所得の減少により、税金や保険の安い軽自動車の需要は、市場全体が縮小する中でもむしろ高まっていくと見られる。実際、日産自動車もスズキや三菱自動車の軽OEM車を年間13万台も売っている。
自動車メーカーはグローバルモデルを増やして経営の効率を高めたい。日本独特の軽を開発・生産し続けることは実は非効率だ。あのスズキでさえ、目線はすでにインドに向いており、国内ではダイハツに軽シェア1位を明け渡している。しかし、軽は国民の生活の足としてすでに定着してしまっており存在を無視することはできない。
国内最大の販売網を持つトヨタの軽への参入が軽自動車市場に与える影響は大きい。ダイハツディーラーやダイハツから軽OEMを受ける富士重工業にとっては特に影響が大きい。伊奈ダイハツ社長は「販売店への影響が大きいため、トヨタには6万台以上は絶対に出さない」と明言しているが、ダイハツはトヨタの子会社だ。トヨタの意向によっては、車種や供給台数を増やすこともあり得るだろう。
トヨタはグループ経営を重視しており、軽はダイハツ、という位置づけで、軽の販売も表面上は役割を明確に分けてきた。しかし、トヨタ系販売店の今後の経営を考えると、こうした役割分担にもこだわっていられなくなったというのが実情だ。実は、トヨタはチャンネル別の専売車種の集約もひそかに進めている。軽OEMは車種の減少を補完する役割もあると言えそうだ。