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三菱、新中期経営計画を策定、
日産との協力も拡大


 三菱自動車の事業構造が海外と環境対応車に大きくシフトする。新興国に受け入れられる低価格の車に経営資源を重点化し、一方で、地球環境対応のための電動化も加速する。日本では生産規模の維持を図りながら、他社からのOEM調達により品揃えを確保していく戦略だ。欧米工場の稼働率は低いままで、どう稼働を維持していくかも焦点だ。
 三菱は2010年12月14日に日産自動車と包括的な業務提携を発表した。懸案だった軽自動車の開発については、日産との共同出資会社を設立することで合意。軽をOEM供給する日産と開発費を分担することで、軽の品揃えを維持しながら生産・開発を存続するめどをつけた。軽自動車用部品の調達は日産が担当することも大きな変化だ。
 共同開発会社は近く設立し、12年に新型車を発売する。生産は、三菱自の水島製作所(岡山県倉敷市)が引続き担当するが、調達が日産に変わることで三菱自の仕入れ先に大きな影響が及ぶと見られる。
 軽での協力のほか日産から国内向けに上級セダンと小型商用車のOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受ける。三菱の販売店にはかつて販売していた「ディアマンテ」や「プラウディア」といった上級セダンの客も残っていると見られ、日産からのOEMでこれら顧客の代替需要を確保できると見られる。小型商用車についてはすでに日産から「ADバン」を「ランサーカーゴ」として供給を受けているため「NV200バネット」が候補だ。
 このほか、中東市場向けに三菱のSUV(スポーツユーティリティビークル)を日産に供給することや三菱のタイの工場で日産のピックアップトラック「ナバラ」を生産することでも合意した。海外でも相互補完を進める戦略だ。日産のカルロス・ゴーン社長は「三菱自動車とこれまでに築いたシナジーを最適化し、さらに設計、商品開発、生産の分野にまで広げて追及していく」としている。三菱の益子修社長も「収益拡大につながるウィン−ウィンの案件については積極的に提携を推進していく」と、資本関係はないものの、両社の協力関係は業務レベルで進む見通しだ。
 さらに三菱は1月20日に2011年度〜13年度までの中期経営計画「ジャンプ2013」を発表した。その中心は、世界販売台数を2010年度見込みに対し37%増となる137万台に設定するというものだ。37万台増やすうちの28万台は中国、ロシア、ASEAN(東南アジア諸国連合)、ブラジルで増やす計画で、これらは大半が現地生産となる見通しだ。
 日本、北米、欧州、オセアニアの先進国でも増加を見込むものの、10年度からの増加は合計で9万台に止まる見通しだ。日本市場も厳しいが、生産については日産との軽での協業により台数増と効率化を狙うとしている。
 中計の目玉の一つになるのが、低価格、小型、低燃費をコンセプトにした「グローバルスモール」だ。タイ第3工場で12年3月から生産し、日米欧にも輸出する。このグローバルスモールには電気自動車(EV)も設定し、水島製作所で組み立て、13年度に日米欧で販売する予定だ。グローバルスモールは新興国を中心とした台数拡大のメーン車種となる。
 欧米の工場は稼働率向上へ対策が必要で、米国工場は「ギャラン」「エクリプス」「エンデバー」の後継車投入をとりやめ新生産車を投入する。オランダ工場では「コルト」を生産しているが、三菱はコルトの後継はないとしており、オランダ工場で何を生産するか、今後検討していくという。ただ欧州市場が低迷しているだけに、新機種を投入してどれだけ投資回収できるか難しい面もありそうだ。
 11年度から15年度までにEVを3車種、PHV(プラグインハイブリッド車)を5車種の合計8車種を投入する計画も発表した。11年度には軽商用EV「ミニキャブ−ミーブ」を発売する。8車種合計で、電動車の生産比率を15年度に5%以上に高める。
 さらに、これまでは商品化の方針を示してこなかったハイブリッド車(HV)についても、独自開発のシステムを搭載したモデルを13年度に新興国や先進国で発売する計画を発表した。新興国でも売れる低価格のHVを目指し、新興国でも環境対応車を拡大する。




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