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震災1カ月、自動車メーカー生産
再開も、なお残る部品供給不安


 東日本大震災後、生産活動を休止していた自動車メーカーが徐々に生産を再開し始めた。メーカーの生産停止期間は1カ月にも及び、ようやく商品供給が再開されることにほっとする関係者も多いはずだ。しかし、再開と言ってもその実態は、いつまたストップするかもしれない綱渡りでの状況であることに変わりはない。
 日産自動車(震災関連ニュース)とホンダ(震災関連ニュース)は、震災からちょうど1カ月後の4月11日から完成車工場の稼働を再開した。両社は地震後、しばらくして補修用部品や海外生産用部品の生産は再開していたが、完成車の生産はこの間、ずっと休止していた。東北や北関東地区の部品メーカーが被災し、生産用部品が十分に確保できなかったからだ。だが被災した部品メーカーの早期復旧への努力もあって、ようやく生産再開のめどがついた。トヨタ自動車(震災関連ニュース)も3月28日から生産を再開した「プリウス」「HS250h」「CT200h」のハイブリッド車3車種に加えて、4月18日からはボディメーカーを含む国内全ての完成車工場で全車種の生産を再開する。
中堅メーカーではスズキ(震災関連ニュース)が4月11日から全工場で生産を再開。マツダは4日から全工場で完成車の生産を再開している。三菱自動車(震災関連ニュース)は地震後も断続的に生産を行っている。富士重工業(震災関連ニュース)は6日から登録車の生産も再開した。ダイハツ工業(震災関連ニュース)も滋賀工場やダイハツ九州(大分)第一に続き、11日から大分第二工場の生産も再開する。トラックメーカーも在庫部品で徐々に生産を再開している。
 メーカー各社は、地震発生から1カ月してようやく生産再開に漕ぎ着けたが、当面は50%程度での稼働率で操業する。理由は部品調達網が完全に復旧していないためだ。生産再開といっても、部品不足の問題が解決したわけではなく、依然として在庫に頼らざるを得ない部品が残っている。在庫があるうちに部品の供給が再開されなければ、再び生産停止に追い込まれる危険性がある。だが、すでにかなりのバックオーダーが積み上がっており、いつまでも生産を止めているわけにはいかない。
 自動車の場合、調達が困難になった部品の発注先を変えるといった代替手段は簡単ではない。同じような部品でも、メーカーごとに専用設計になっている部品が多いほか、車種ごとに微妙に設計が異なる部品もある。発注先を変えるといっても、金型から起こす必要があれば供給開始までに数カ月を要するほか、品質やデリバリーといった調達の要件を全て満たす仕組みを、代替先の部品メーカーと新たに構築しなければならないからだ。メーカーはリスク対応として、代替も平行して検討しているが、被災した部品メーカーが復旧することへの優先度が高いのはこのためだ。
 加えて東北や茨城県などの北関東地域は自動車産業だけでなく、幅広い産業の裾野に当たる素材や材料の生産を担っていることも、生産活動の正常化に向けた高いハードルになる。半導体や素材産業の製造設備が地震や津波で大きな被害を受け、今、問題となっている部品の不足が解消しても、時間差をおいて、今度は半導体や素材が不足するという問題が懸念されている。
 自動車メーカーの生産遅れはメーカー全社合計ですでに60万台以上と、2010年の国内生産実績の6.2%に及ぶ。生産再開後も数カ月間は稼働率が半分と見られるほか、7〜9月は夏場の節電によって生産活動が停滞することが確実だ。自動車産業における震災の余波はこの先、半年近く続くことになり、少なくとも今年いっぱいは国内市場への影響が続くことになりそうだ。