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生産正常化は秋〜年末


 4月の新車販売台数が3月に続き大幅な減少になった。生産停止による品不足が市場に広がり始めている。被災地を中心に中古車の引き合いも強まっているが、下取り車が発生しないため中古車の品薄感も強い。一方、メーカーは生産正常化の時期を秋から年内いっぱいと表明しはじめた。電装品に使う半導体のほか、ゴム、樹脂、顔料といった材料の供給がネックになるためだ。自動車業界では震災の影響が年内いっぱい続きそうだ。
 日本自動車販売協会連合会(自販連)が5月2日に発表した4月の新車登録台数は前年同月比51%減の10万8824台。マイナス幅は統計を開始した1968年以来で最大。販売台数も同年1月の13万6074台を下回り過去最低だった。軽自動車も例外ではなく全国軽自動車協会連合会(全軽自協)の発表によると、4月は前年同月比41.1%減の7万6849台となり、マイナス幅は1971年12月の39.2%減を上回り過去最大だった。
新車販売の大幅な減少は、3月11日の震災発生から4月中旬までほぼ1カ月、メーカーの生産が停止状態にあったからだ。3月の販売の落ち込みは震災による消費マインドの冷え込みという側面が強かった一方で、4月の落ち込みは生産停止による商品不足を反映したものだ。メーカーからの商品供給が途絶え、展示車さえ販売に回す店も少なくない。リーマンショックの時とは異なり、需要はあるが売る車がない、という状態だ。
待たれるのは商品供給の再開だが、震災前の正常な状態に戻るのには、まだ時間がかかりそうだ。メーカーは4月18日から全社全工場での生産が再開したものの、部品不足から操業度は通常の半分程度という状態が続いている。バックオーダーの解消をできるだけ急ぐため、部品が確保できたものから生産するといった状態が続いている。ただ半導体などボトルネックとなっている部品や材料の供給全体に制約があるため、在庫がなくなればまた稼働率が落ちる可能性はある。
一本調子に生産を増やしていけないのは、東北地方で生産されている電子部品や素材の供給体制がまだ復活していないからだ。半導体や素材は装置産業であるため、地震による生産設備の損傷による打撃が大きかった。全ての自動車メーカーにとっての懸念材料となっているのが、ルネサスエレクトロニクス那珂工場(茨城県ひたちなか市)で生産する車載用半導体だ。
半導体は3カ月程度の在庫があると言われるため、被災による生産停止によって、在庫が本格的になくなってくるのは7月位からだと言われている。那珂工場の半導体を使っていない自動車メーカーはないと言われる位の集中度で、他の工場に代替できない半導体も多いため、自動車メーカーが早期復旧へ多数の応援者を派遣している。
半導体を始め、ゴム、樹脂といった部品、材料の調達見通しを踏まえ、トヨタは国内生産が地震前の正常な状態に戻るのは11月〜12月であると豊田章男社長が東京で記者会見して発表した。これを受けてホンダも正常化は年内との見通しを表明。マツダの山内孝社長や三菱自動車の益子修社長も2010年度決算会見の席上、10月に正常化したいとの見通しを示しており、どのメーカーも正常化は秋以降と見ている。
輸出も大幅減を余儀なくされるほか、海外の工場にも国内工場と同様の生産調整が始まっており、2011年度前半のメーカーの業績はかなりの厳しさになることが予想される。第1四半期は赤字転落が続出する可能性が高い。新車市場では秋以降の生産正常化まで、どう顧客をつなぎとめておくか課題になりそうだ。